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217話「夏と恋と祭りと花火⑥」
しおりを挟む騒がしいところへと一人駆け出した張間だったが、張間が到着する頃には騒ぎは収束しており、通常の祭りの賑わいへと戻っていた。
張間「うーん、特に何も無しか...。もうちょい早く来ればよかったなぁ...。」
張間「羽和ちゃーーん、特になにもなかったよ~。」
張間「...あれ? 羽和ちゃ~~~ん?」
張間「...はぐれちゃった。連絡すればいっか。スマホスマホ~。」
危機感を全く抱くことなく、張間は小さな手提げバッグを漁る。
張間「......あれ? あれ、あれ? ない? あれ? 一体どこに...あっ、着替えた時、そのまま机に置きっ放しにした気が...。」
張間「......。」
連絡手段がないことを確認し終え、狗山が来る気配が全くないことに気づき、ようやく危機感が迫ってくる。周りの騒がしさが一層大きくり、孤独感が張間へ押し寄せる。
張間「そ、そうだ! 部長のお店に行けば~~! 部長~~!」
関が働いていた屋台へとたどり着いた張間。しかし、部活の先輩の姿はどこにもなく...筋骨隆々の白タンクトップのお兄さんが焼きそばをかき混ぜながら不思議そうに張間を見つめる。
男「部長? なんだ、それ? うちはトロピカル焼きそばしか売ってねぇぞ?」
張間「あ、いや...さ、さっきまでここでトロピカルな焼きそば作ってた...えっと...こ、高校生の男です! どこですか!?」
男「高校生? あぁ、幸のことか。あいつはちょっと前に女の子とどっか行ったぞ。」
張間「え...? い、いつ頃戻ってきますか!?」
男「もう勤務時間終わってるし、戻ってこねぇと思うぞ。」
張間「...え?」
男「らっしゃいらっしゃぁぁぁい! トロピカル焼きそばだよぉぉぉ! トロピカルな焼きそばだよぉぉぉぉ! あっ、嬢ちゃんも食うか? トロピカルーーー」
張間「部長のばかやろぉぉぉぉぉぉぉぉ!! うわぁぁぁぁぁん!!」
男「あっ、おい! どうしたんだ、嬢ちゃん!?」
男「...幸のやつ、もしかして二股か? 高校生のくせに、なかなかエグいことしてんな、あいつ。」
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