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216話「夏と恋と祭りと花火⑤」
しおりを挟む北台たちと別れて行動を始めた張間たちは、屋台でリンゴ飴を購入し、人通りのない道へと外れていく。
張間「いっただきまーーす!」
狗山「お前、ほんとよく食うっすね。」
張間「食べなきゃやってけない!!」
狗山「やってけないって...なんかあったんすか?」
張間「なーんにも!」
狗山「ほんとっすか?」
張間「ほんとに!」
狗山「なら、いいっすけど。」
張間「......。」
狗山「...なぁ、彩香。」
張間「ん? なに?」
狗山「お前、まだ食えるっすか?」
張間「当たり前だ! まだまだ食べられる!」
狗山「おーし! じゃあ、リンゴ飴の次は綿菓子食うっすよ!」
張間「おっ! いいねいいね~! 食べよ食べよ! 綿菓子綿菓子~!」
ニコニコ笑顔を取り戻しリンゴ飴を齧る張間を見て、狗山はフッと微笑み張間の頭を軽くポンポンと数回叩く。
張間「ん? 羽和ちゃん?」
狗山「食うことでお前が笑顔になれるんなら、とことん付き合うっすよ。」
張間「羽和ちゃん...。」
狗山「なにがあったかはわかんねぇっすけど、今日はなにもかも忘れて食うっすよ~~!」
張間「うん! ありがと、羽和ちゃん!」
狗山「せっかくの夏祭りなんすから、楽しまなきゃ損っすよ! 楽しんでこうぜ!」
張間「そうだね! よーし、屋台全部食う勢いで行こう!」
狗山「いや、さすがにそれは無理っすよ。あと、西田たちともちゃんと合流するっすよ。」
張間「ダメだよ、羽和ちゃん!」
狗山「は? なんでっすか?」
張間「人の恋を邪魔しちゃダメなんだぞ! めっ!! それに、羽和ちゃんは私とデート中なんだから~! 他の男のことは考えちゃダメダメ♡」
狗山(西田、お前もう諦めた方がいいっすよ...。)
張間「...ん?」
狗山「彩香、どうしたんすか?」
張間「なんか、あっちの方騒がしくない?」
狗山「ん? ...確かに、言われてみれば。」
張間「なんかあるのかな?」
狗山「有名人とか来てるんっすかね?」
張間「有名人!? それは是非とも会ってみたい! ってことで...いくぞぉぉ~!!」
狗山「え? ちょっ、待つっす! そんな急がなくても...って、おぉぉぉぉい! 話を聞けっすぅぅぅ!!」
狗山の静止を無視して、張間は一人人混みをスイスイ掻き分けて騒がしい方へと駆けていく。
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