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237話「海!海!!海!!!①」
しおりを挟むとある夏休みのお昼過ぎーーーなんでも探偵部の部員である間宮 傑は、部室へと向かい廊下を気だるそうに歩いている。
廊下の窓は全開に開けられてはいるものの、夏のお昼時の気温は窓を開けただけではどうにもならず、間宮はカバンからタオルを取り出し、額に滲む汗を拭き取る。
間宮「あぁ...暑い...。なんで夏休みなのに学校に来なきゃいけないんだろうか...? まだ部室着いてないけど、もう帰りたい...。週三なんてバカみたいなこと、言わなきゃよかった...。」
自分の発言を後悔しながら、開けられた窓へと視線を送る。
窓の向こう側では、日が直接当たり室内よりも暑いであろう空間にも関わらず、何人もの生徒が部活という青春を思う存分満喫している。
間宮「...まぁ、いいか。」
汗を拭き取り、タオルをしまう。大人たちが見れば羨ましくなるほどの青春シーンから視線を外し、自分自身も青春を満喫するために、再度蒸し暑い廊下を歩みだす。
間宮「こんにちわー。」
関「傑くん!!」
張間「野球しようぜ!!」
部室に着き扉を開ける。涼しいクーラーの風と共に出迎える、野球のユニフォームを着た部員二人。
間宮は何事もなかったかのように扉を閉めると、来た道を早歩きで戻っていく。
張間「逃すか、ごらぁぁぁぁぁ!! 待てぇぇぇ!!」
間宮「ふざけんなぁぁぁ! こんな暑い日に、野球なんてするわけないだろうがぁぁぁぁ!」
逃げる間宮を全速力で追いかける、野球少女。
夏の暑さを微塵も感じさせない涼しげな顔でみるみる先輩との距離を縮めると、地を蹴り上げ、間宮の身体に腕を回す。
張間「捕獲完了!! はっはっは!私から逃げようだなんて、百億光年早いわ!!」
関「おい、間宮! 野球しようぜ!」
間宮「離せぇぇぇぇぇ! 涼ませろぉぉぉぉぉ!」
張間「そんなこと言わずに、間宮先輩~~! 間宮先輩だって、甲子園見て熱くなってるでしょ!? 心が熱く盛り上がってるでしょ!?」
関「熱盛りぃぃ!」
間宮「甲子園は見てません! よって心は熱く盛り上がってません!!」
関「しょんぼりぃぃ!」
張間「私たちは、甲子園見て熱くなってるんです! さぁ、やりましょう! やるって言ってくれないと、ずっとこのまま抱きついてますからね!」
張間「あ~~暑い日にこんな密着されたら、暑いですね~~! 涼みたいですよね~~? それとも、張間 彩香ちゃんとずっと密着してたいんですか~? きゃ♡ 間宮先輩ってば♡」
間宮「早く離れろぉぉぉ!」
張間「嫌ですぅぅ! さぁ間宮先輩、野球やるって言ってください!」
間宮「絶対にしません!」
張間「ダメです! やります! さぁ、観念してーーー」
「ま、ま、間宮 傑...貴様ぁぁぁぁぁ!!」
探偵部員「「ん?」」
暑苦しいやり取りの中に、さらに温度を上げるような絶叫が廊下に響く。
三人の視線の先に映り込む、男子生徒ーーーバドミントン部に所属する金持ち男の綾小路 俊之助は、誰が見てもわかるほどに怒りを滲ませ、歯をギリギリと鳴らしながら間宮を睨みつけている。
綾小路「き、き、貴様、咲ちゃんという超絶美少女と付き合っていながら、他の女の子とイチャイチャ抱きあっているなんて...ゆ、許せん!断じて許せん!!」
綾小路「この綾小路 俊之助が、咲ちゃんに不釣り合いのクズ男を今すぐに抹殺してやる!! 咲ちゃんは、僕が守るぅぅぅ!!」
間宮「え? えぇぇ!? ちょっ、待っ...!!」
張間「綾小路くんは、間宮先輩をご指名なので...私は、ここいらで失礼ーーー」
間宮「ふざけんな!! てめぇも道連れだぁぁ!!」
張間「へ? い、いやぁぁぁ!? は、離してください、間宮先輩!! 私まで巻き込まれるじゃないですかぁぁぁ!!」
間宮「巻き込むつもりなんだよ、こんちくしょうがぁぁ!!」
張間「嫌だぁぁぁぁ!! 男同士の争いに巻き込まないでぇぇぇぇ!!」
綾小路「許しはしないぞ、間宮 傑ぅぅぅぅ!!」
関「いや~昨日の甲子園の試合よりも盛り上がってますねぇ、ここは。あっはははは~!」
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