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242話「海!海!!海!!!⑥」
しおりを挟む綾小路「...うぅ......。」
綾小路「...あれ? ここは? ん? あれ?あれれ? 身体が、動かない...!?」
目を覚まし、キョロキョロと辺りを見渡す綾小路。首から上は意志のままに動くものの、首から下はまるで石になったように動くことはない。
恐る恐る下へと視線を向ける。先ほどまでそれなりに距離のあった砂浜が目と鼻の先にあり、自身の身体はすっぽりと地面に埋まっている。
綾小路「...え? えぇ!? なに、これ!? なんでこんなことに!?」
新沼「よ~し、スイカ割りするぞ~!」
綾小路「え? スイカ割り?」
綾小路から数メートル離れた位置では、目隠しをした新沼が木の棒をぶんぶんと素振りしており...スイカ割りという単語と自身の置かれている状況から全てを悟った綾小路の額からは、滝のように汗が滴り落ちていく。
新沼「部長さん、彩香ちゃん、指示出しよろしくね♡」
関「お、お任せください...。」
張間「か、必ずスイカへと導いてみせます...。」
綾小路「ですよね!? もしかしなくてもそうですよね!? 落ち着いて、咲ちゃん! スイカなら、僕が用意してあげーーー」
新沼「どこだどこだ~? スイカはどこだ~?」
綾小路「ぎゃぁぁぁぁ!? た、助けてぇぇぇぇ!!」
新沼「こっちかなぁ~? こっち~?」
関「ひ、左!! もっと左!!」
新沼「こっちですね~!」
張間「違う違う! もっと右にいこう! もっともっっと右だよ、咲ちゃん!!」
新沼「は~い!」
綾小路「咲ちゃぁぁぁん!? 右って言ってるよ!?左って言ってるよ!? なんで一直線に真っ直ぐきてるの!? 指示出してる意味!!」
新沼「綾小路は、ど~こだぁ~?」
綾小路「もう綾小路って言ってるよ! 確信犯だよ! 咲ちゃぁぁぁぁん! このままでは、僕の美しい顔がとんでもないことにーーー」
新沼「ここかなぁ~? ふんっ!!」
綾小路「いやぁぁぁぁぁぁ!?」
勢いよく棒を振り下ろし、目隠しを外す。
棒は、綾小路の顔面スレスレに振り下ろされており、あまりの恐怖に気絶してしまっている綾小路。
新沼「ちっ。外したか。」
関「綾小路くぅぅぅぅぅぅん!!」
張間「生きてるかぁぁぁぁぁい!?」
綾小路「......。」
関「張間くん、急いで掘り出すんだ! 急げぇぇぇ!」
張間「ここ掘れワンワン!ここ掘れワンワン!!」
慌てて綾小路を掘り返す二人を背に、新沼は興味なさげにパラソルの下へと歩みを進めていく。
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