なんでも探偵部!

きとまるまる

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244話「海!海!!海!!!⑧」

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 関たちに罰を与え終えた新沼は、大きなため息を吐き出しながら、間宮がいるパラソルへと一人戻っていく。


新沼「はぁ...なんでバラしちゃうのかな...? あぁ、まためんどくさいことになりそうだなぁ...。どうしよう?」

新沼「...嘘の関係、か。なんか、辛いなぁ。」

新沼「私の好きは、本物なのに。」

新沼「...あれ?」

間宮「......。」

新沼「寝てる。」

間宮「......。」

新沼「傑せんぱーい?」

間宮「......。」


 呼びかけに応じず、パラソルの下で気持ちよさそうに眠る間宮。

新沼はしゃがみ込み、ジッと間宮の顔を見つめる。と、指を伸ばし軽く頬を突いてみたり、鼻を軽く摘んでみたりと小さなイタズラを次々と行っていく。

一通りの行為を楽しみ終えると、新沼は静かにまたジッと間宮の顔を見つめ始める。


新沼「...やっぱ、好きだなぁ。自分でもびっくりしちゃうくらい、好きだ。こんなに好きになるなんて、思ってもなかった。」

新沼「ねぇ、傑先輩...私たちの恋人ごっこは...本物に、なれますか?」

新沼「私の好きは、嘘じゃないです。本物ですよ。」


 指を伸ばし、間宮の額を軽く突く。それを合図にするかのように、間宮の瞼がゆっくりと開く。


間宮「...ん...あっ、咲ちゃん...。」

新沼「あ、は、はい! おはようございます!」

間宮「うん、おはよ...。んんん...結構寝てたな...。」

新沼(び、びびびびっくりしたぁ...! まさか、今起きるなんて...というか、さっきまでのやつ、聞かれてないよね!? 大丈夫だよね!?)

間宮「あ、そうだ。咲ちゃん。」

新沼「あ、はい! なんでしょうか!?」

間宮「綾小路くんと仲直り、できた?」

新沼「...へ? 仲直り?」

間宮「その反応だと、まだみたいだね。」

新沼「は、はい。というか、謝ってきても許しません。いつもいつも邪魔ばっかりしてきて...!」

間宮「綾小路くんってさ、咲ちゃんのことすごく好きだよね。」

新沼「...それは、否定しません。」

間宮「あれだけ一途に突き進めるのって、すごいことだなぁってたまに思うよ。まぁ、ちょっとやりすぎだなぁって思う時もあるけどね。」

新沼「ホントですよ。全く、あいつは...!」

間宮「お祭りの時のやつは、流石に僕もやりすぎだって思ったけど...本当に咲ちゃんのことが好きなんだなぁって改めて思ったよ。綾小路くんの愛は、本物なんだなぁって。」

新沼「......。」

間宮「咲ちゃんと仲直りしたいって気持ちも、本物だと思うよ。綾小路くん、僕に会いたくないだろうにわざわざ探偵部に来てさ、仲直りしたいから助けてくれって...本気で思ってないとできないことだよ。」

新沼「...本気で...。」

間宮「だからさ、綾小路くんと仲直りしてあげてくれないかな? それで、これからはこういうことしないでってハッキリと言ってあげたほうが、咲ちゃんにも綾小路くんにもいいことなんじゃないかなぁって、僕思うんだ。」

新沼「......。」

間宮「一人で色々とハッキリ言いづらいなら、僕も着いていくし、あれだったら僕が代わりに...って、綾小路くんの場合はやめた方がいいかな...? 僕、多分めちゃくちゃ嫌われてるだろうし...。」

新沼「...傑先輩が、仲直りしろと言うのなら...します。」

間宮「仲直り、してあげて。」

新沼「...わかりました。口は利くようにします。」

間宮「すぐに元通りは難しいかもだから、少しずつお願い。僕も、色々何かできることがあるなら手伝うからさ。遠慮なく言ってね。」

新沼「わかりました。」

間宮「ありがとう。僕のワガママ聞いてくれて。」

新沼「い、いえ...ごめんなさい...。私のことで、色々と巻き込んでしまって...。」

間宮「僕のことは気にしないでいいよ。咲ちゃんが困ってることがあったら、これからも助けてあげるから。遠慮せずに言ってね。まぁ、僕に出来る範囲でだけども...。」

新沼「はい、ありがとうございます、傑先輩。」

間宮「そういや、あいつらどこ行ったんだろ? 全然姿見えないけど...。」

新沼「私、呼んできますね。傑先輩は、ここで待っていてください。」

間宮「うん、わかった。ありがとう。」

間宮「...咲ちゃんは、優しい子だなぁ。」
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