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245話「海!海!!海!!!⑨」
しおりを挟む狗山「いや~やっぱり砂浜でのランニングは足腰にくるっすねぇ~! これ、定期的に続けようかな~?」
砂浜という走りにくい場所にも関わらず、前を開けたラッシュガードを風に靡かせながらニコニコ笑顔でランニングを続ける狗山。
「ーーー和ちゃぁぁん...!」
「ーーーくぅぅん...!」
狗山「...ん? なんか、呼ばれたような気がしたっす。」
ふと自分の名前を呼ぶ声が微かに届き、狗山は足を止めてキョロキョロと辺りを見回す。
正面を、海側を、そして道路側を、後ろをーーーと、視線を背後に回そうとした瞬間、狗山は慌てて道路側へと視線を戻す。
想像もしていなかった、あり得ない光景...一緒に海へと遊びに来ていた同級生二人、先輩一人が、首から下を砂地に埋められ、悲しそうな目で自分を見つめている。
張間「羽和ちゃぁぁぁん...!」
関「た、助けてくださぁぁい...!」
狗山「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!?!?」
ーーー
張間「はぁ、はぁ...! し、死ぬかと思った...!」
関「一生、あのままなのかと思いましたよ...! 自由って、素晴らしい...!」
狗山「あ、あんたら、一体何したんすか...?」
綾小路「僕は、なぜ嫌われているんだ...? なぜなんだ...? なぜ、僕は...うぅ...!」
狗山「え、えっと...あっちは、なんであんな落ち込んでんすか...?」
関「察してあげて。」
張間「いつものことさ。」
狗山「わ、わかったっす。」
新沼「あれ? 生首じゃなくなってる。」
張間「さ、さささ咲ちゃん!?」
関「誠に申し訳ございません! 申し訳ございません!」
張間「これは、羽和ちゃんがやったことです! 我々の意思ではありません! 羽和ちゃんがやりました!」
狗山「おい待てぇぇぇぇ! 助けた恩を仇で返すなっすぅぅぅ! 新沼、落ち着くっす! 俺は何にも悪いことーーー」
新沼「何にもしないわよ。で、綾小路は何してるんですか?」
張間「な、何をしているかと申しますと...。」
関「あなた様に攻撃され続けて、心が折れかかっております...。」
新沼「はぁ...めんどくさい...。綾小路のことは私がなんとかするので、部長さんたちは間宮先輩のところに帰っててください。」
関「は、はい!!」
張間「この張間 彩香、命に変えても任務をやり遂げるであります!!」
新沼「ったく...ホントめんどくさいやつなんだから...!」
狗山「...め、珍しいっすね。新沼が、自ら綾小路に歩み寄るなんて。」
関「だね。何か心境の変化があったのだろうか?」
張間「ぶ、部長! 何を呑気なこと言っているんですか!? 早く戻らないと、また咲ちゃんに埋められますよ!!」
関「はっ!? そ、それだけは...! やっと自由になれたんだ! この自由を手放してたまるか! 急いで戻ろう、張間くん!」
張間「はい!!」
狗山「マジで何したんすか、あんたらは!?」
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