なんでも探偵部!

きとまるまる

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247話「海!海!!海!!!⑪」

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関「さてさて、新沼くんたちが帰ってきたら、帰りの支度を始めますか。」

間宮「そうですね。帰りの時間とか考えたら、そろそろ出た方がいいですね。」

狗山「了解っす! あっ、帰る前にもうひとっ走りしてきていいっすか!?」

間宮「狗山さん、まだ走るの...?」

狗山「海なんて中々来ないっすから、走れるうちに走っとこうかと思うっす!」

関「いいねいいね、羽和くんは元気でいいですね~! では、私も思い出作りとして一緒に走りましょうかね~!」

狗山「おっ、幸先輩も走るっすか!? いいっすよ、一緒に走るっす!」

関「ではでは、羽和くん...あの陽に向かって、全速力だ! いくぞぉぉぉ!」

狗山「はいっす! 負けないっすよ!」

間宮「あんたらは熱血部活組かって、もう行っちゃった...。いつもいつも元気だなぁ。少し分けて欲しいよ。」

張間「......。」

間宮「あれ、張間さんは行かないの?」

張間「...行ってほしいんですか?」

間宮「別にそういうことじゃないけど。「私も~!」って言って行くイメージだったからさ。」

張間「どんなイメージなんですか、私。」

間宮「...どうしたの?」

張間「別に、なんでもないです。」

間宮「ホントに?」

張間「ホントです。」

間宮「...やれやれ。」


 間宮は軽く小さく息を吐き出すと、不貞腐れている後輩の頭を優しくポンポンと叩く。


間宮「隠さなくてもいいよ。どうしたの?」

張間「別に、なんでもないって言ってるじゃないですか。」

間宮「言いたくないなら言わなくてもいいけど...僕にできることであれば、何かしてあげるからさ。今じゃなくても、言いたくなった時に言ってくれればいいから。またいつでも頼っていいからね。」

張間「......。」

間宮「あの二人が走ってる間、僕らで片付けられるところは片付けちゃおっか。」

張間「......間宮先輩。」

間宮「ん? なに?」

張間「......水着...。」

間宮「水着?」

張間「...私の水着、どうですか...?」


 少し顔を赤らめ、俯く後輩。目の前の先輩は、優しく、小さく笑う。


間宮「すごく似合ってるよ。いつも可愛いけど、今日はもっと可愛いね。」

間宮「先に言っておくけど、ご機嫌をとろうと思って言ってるんじゃないからね?」

張間「...じゃあ、なんで最初からそう言ってくれなかったんですか?」

間宮「いや、だって...こう言ったら張間さん「もぉ~間宮先輩ってば~!」みたいなこと言って絶対に調子乗るじゃん。」

張間「なっ...!? そ、そんなこと...い、言うかもですけど...!」

間宮「でしょ? それに、面と向かって可愛いとか言うのは、なんかちょっと恥ずかしかったから...。みんなの前だったし...。」

張間「なんで恥ずかしがるんですか!? 別に恥ずかしがることでもないでしょ!」

間宮「張間さんはそうかもしれないけど、僕は恥ずかしいの!」

張間「全然恥ずかしいことじゃありません! だから、もう一回言ってください! はい、もう一回! どうぞ!」

間宮「嫌だよ! なんで何回も言わなきゃいけないんだよ! もう十分でしょ!」

張間「張間 彩香ちゃんは、褒められたら伸びる子なんです! だから、言ってください! もう一回!」

間宮「はいはいはい、可愛い可愛い!」

張間「ちゃんとしっかり心を込めろ! 間宮このやろぉぉぉ!」

間宮「うわっ!? ちょっ、抱き付かないでよ!!」

張間「間宮先輩がちゃんと言わないからですぅ~!! ほら、早く言ってください!」

間宮「さっき言ったでしょ! だから、もう言わない!」

張間「言わないなら、離しませんからね! は~や~くぅ~!」

間宮「早く離れてってば!」

張間「離れませ~ん! えへへへ~!!」

間宮「ほら、こうなるじゃんか! やっぱ言わなきゃーーー」

新沼「危な~い! 避けてぇ~!!」

張間「ん?」
間宮「え?」


 二人は動きを止め、声する方へと視線を向ける。

ブンブン音を立て勢いよく回転する木の棒が、二人めがけ真っ直ぐに飛んでくる。


張間「ぎゃぁぁぁぁ!?」
間宮「うわぁぁぁぁ!?」


 二人は左右に尻もちをつくように倒れる。木の棒は、二人の間を邪魔するようにちょうど真ん中らへんに、ばすっ!と音を立てて突き刺さる。


間宮「あ、危なかった...!」

張間「な、なぜ木の棒が...!?」

新沼「間宮先輩、大丈夫ですか!? 怪我はありませんか!?」

間宮「あ、うん。僕は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」

新沼「そうですか...よかった...!」

張間「ちょっとちょっと! 私のことも心配しなさいよ! 私も危なかったんだぞ!? もう少しで当たるところだったんだから!」

新沼「彩香ちゃんは、仮に当たったとしても大丈夫でしょ?」

張間「どういう意味じゃい!? 私は、どこからどう見てもか弱い乙女でしょうが!!」

間宮「どこら辺を見たらか弱い乙女なんだよ?」

張間「なんだと、間宮このやろぉぉぉぉ!」

間宮「あだだだだ!? ごめんごめんごめんってばぁぁぁ!」

新沼「彩香ちゃ~ん、あんまりそうやってベタベタするの、間宮先輩に失礼だと思うからやめたほうがいいと思うよ~?」

張間「いたたたたたた!? 咲ちゃん、頬つねらないで! なんで私が攻撃されてるの!? なんで!? どうしてぇぇ!!」

綾小路「間宮 傑、貴様ぁぁぁぁ! 彼氏でもないのに咲ちゃんとイチャイチャするんじゃなぁぁぁぁい!」

間宮「どこからどう見てもイチャイチャしてないだろうが! いい加減、眼科に行ってこい!」

綾小路「ゆるさぁぁぁん!! 咲ちゃんの彼氏になり、結婚するのは...この僕だぁぁぁぁ! きえぇぇぇぇ!!」

間宮「ちょっ、待っ...! くるなぁぁぁ!!」

綾小路「にがさぁぁぁん! 待てぇぇぇ!!」

狗山「...なんで、あんなことになってんすかね...?」

関「さぁ? 何があったんでしょうね? 兎にも角にも、巻き込まれるとめんどくさそうなんで、先帰りますか。」

狗山「そ、そうっすね...。」

張間「痛い痛い痛いぃぃぃ!!」
新沼「うふふ~♡」
綾小路「待てぇぇぇ!!」
間宮「くんなぁぁぁ!!」



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