251 / 330
251話「夏休みが終わったこと以外にも、色々と問題があった②」
しおりを挟む始業式が終わり、HRが終わり...生徒たちは、それぞれの部活動へと歩みを進めていく。
間宮「こんにちわー。」
関「やぁ傑くん、こんにちわ。珍しいですね、君がお昼終わりの日に真っ直ぐ部室に来るなんて。」
間宮「来ない方がめんどくさいってことは、もう学習したので。」
間宮「で、張間さんは何してるんですか?」
関「見ての通りだよ。漫画に夢中です。」
間宮「いいんですか? 明後日、夏明けテストですよ?」
関「傑くんの言うように、よくありません。が、今日はちょっと様子がおかしいというか...。」
間宮「はい?」
関「いつもなら「こんにちわー!! さぁ、今日も元気に部活動を始めましょう!!」みたいな感じでやかましく部室に入ってくるんですが...今日はなにも言わずにスッと入ってきたと思ったら、真っ直ぐ本棚に向かって、ご覧の通りです。」
間宮「...珍しいですね。」
関「今日は珍しいことがよく起きます。まぁ、だからといって許される行為ではありませんけどね。傑くん、勉強するように注意しなさい。」
間宮「自分でやれ。ったく...。」
関(とか言いつつ、やってくれるのよね傑くん。)
間宮「張間さん、なにしてるの?」
張間「......。」
間宮「明後日、テストでしょ? 漫画読んでていいの?」
張間「......。」
間宮「あのね、しっかりちゃんと毎日やってるんだったら、僕らだってなにも言わないよ。でも、張間さんやってないでしょ? サボって困るのは、僕らじゃなくて張間さん自身なんだよ? 確かに、テスト勉強とか気が進まないけど、やることはしっかりーーー」
張間「間宮先輩。」
間宮「なに?」
張間「私、今勉強中です。話しかけないでください。」
間宮「...はい?」
張間「今、集中してるんです。静かにしててください。」
間宮「あ、いや...勉強というか、それ漫画ーーー」
張間「間宮先輩、私、集中してます。邪魔しないでください。」
間宮「あ、はい...。まぁ、漫画は人生の教科書とも言うし、僕も漫画で色々学んだしーーー」
関「傑くーん、負けないでー。」
間宮「せ、先輩...! 張間さん、どうしちゃったんですか...!?」
関「さぁ? 私もさっぱり分かりません。一体、どうしちゃったんでしょうね?」
関「ところで君、お昼は食べたのかい?」
間宮「いや、まだです。今日はお弁当ないので、購買部に行こうかと。」
関「では、今のうちに行ってきなさい。その間に、私が聞いておくから。」
間宮「わ、分かりました。」
普段と違う後輩の態度に、戸惑いを隠せぬまま、間宮は部室を出て行く。
関「さてと...へい、そこの彼女! 一体どうしたんだい!? そんな顔してたら、せっかくの可愛い顔が台無しだぜ、ベイベーイ!!」
張間「......。」
関「おいおいおい、無視なんて酷いじゃねぇか! 俺たちの仲だろ!? もっとガンガンいつものように、はっちゃけていこうぜベイベー!!」
張間「......。」
関「...張間くん、なにかしら反応してくれないと、部長悲しいんですけど。部長だってね、泣きたい時があるんですよ? それが今ですよ? 泣いちゃいますよ? いいんですか?」
張間(やはりそうか...。この漫画でも、男女間でのモノの貸し借りは特別なことのように描かれている...! つまり、あの二人の漫画の貸し借りは、普通以上の出来事なのだ...! なんてこったい...!)
張間(問題は、どちらから提案したのかということ...! 今回のケースだと、提案した側になんかしらの思惑があり、それは淡い恋心であると推測がされる...!)
張間(間宮先輩から...という線は、私の勘が違うと言っている。つまり、提案したのは咲ちゃんとなる。なぜ咲ちゃんは、わざわざ間宮先輩に漫画を貸してなどと...? そもそも咲ちゃんって漫画とかアニメとか、そっち系そんな興味ないよね? だって、お昼に羽和ちゃんと私でそういう話で盛り上がってる時、全然入ってくる気配ないし...。)
張間(咲ちゃんが、なぜかよくわからないが急に漫画に興味を持ち出し、漫画をいっぱい持っている間宮先輩に貸してもらうことにした。とりあえずの結論は、これだ。これに先ほどの推測を混ぜ合わせ...。)
張間(...ん? 先ほどの推測は、提案した側が淡い恋心を抱いている。そして出た結論が、咲ちゃんから貸してと提案した。つまり、その二つを混ぜ合わせると...咲ちゃんが間宮先輩に恋心を抱き始め、出会う口実を作るために漫画の貸し借りをした!? こういうことかぁぁ!?)
張間(ま、まさかまさか! いやいや、そんなことが! あの二人の関係は偽りのもの! 本物ではない! つまり、あの二人は...いや、待て待て待て! もう綾小路くんに偽りの関係だと気づかれたから、二人がやりとりする理由なんて別にない! それを無理やりあーだこーだやるのは、えっとそのつまりだな! これはこれは、まさかまさかの!? いやしかしだ!! 結論を出すには...えぇぇい!なんだ、こらぁぁ!)
張間(最近の二人の距離感とか、なんやかんやのやりとりなどから...もしかして、二人はもう付き合ーーー)
普段使わない脳をフル回転させる張間ーーーしかし、張間の脳は次々と襲いかかってくる情報量に耐えることができず、ぼふっ!と大きな音を立て白い煙を発生させる。
脳をショートさせ、プスプスと頭上に白い煙を撒き散らす張間ーーー白目を向いたまま机へと突っ伏していく。
関「...ほんと、どうしちゃったの、この子...?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる