なんでも探偵部!

きとまるまる

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264話「昨日の敵は今日の友⑩」

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仲本「今の時間、混んでそうだねぇ~。」

間宮「でも、車少なくない? 大丈夫でしょ。」

仲本「いやいや、私たちみたいな学校帰りの学生がわんさかいるよ、きっと~。」

間宮「あーそれはありえる。」

仲本「ってか、関先輩急にどうしたんだろうね? パフェ半額券とか、あとお金も。」

間宮「さぁ? あの人の考えてることは、よくわかんないし。」

仲本「ね。悪い人じゃないんだけど、何考えてるのかさっぱりわかんないんだよねぇ~。」

間宮「紗英、なんかしたの?」

仲本「してないしてない! むしろ、私が何かしたのかも!?ってドキドキしてる。」

仲本「というか、こういうことは私の方がしなきゃなんだけどなぁ...色々とお世話になってるし。」

間宮「何かあったの?」

仲本「いやぁ...ほら、あれ。」

間宮「あぁ、あれね...。」

仲本「私たちじゃ、むしろ刺激させるだけだしね。」

間宮「もう少し落ち着いてほしいよ、かなねぇには...。」

仲本「来年は落ち着いてもらわないと...関先輩いないわけだし...。」

間宮「た、確かに...!? 来年から、どうしよう...!?」

仲本「今のうちに、関先輩から色々レクチャー受けといてね。」

間宮「はぁ...。もう今から不安でいっぱい...。」

仲本「あはは~! 傑はほんと、昔から変わんないよねぇ~!」

間宮「そ、そんなことないわ! 僕だって、色々とーーー」

張間「あっ、間宮先輩だ~~!」

間宮「ん?」

張間「こんばんわ、間宮先輩!」

間宮「あっ、張間さん。先輩との用事、終わったの?」

張間「はい、終わりました! バッチリです!」

仲本「張間ちゃん、久しぶり! 私のこと、覚えてる?」

張間「それはもちろん、覚えておりますとも! この先も、忘れることはないでしょう!」

仲本「よかったよかった、覚えてもらえてて! あの時は、お世話になりました。」

張間「いえいえ、こちらこそ。かなねぇの件では色々と...! かなねぇの代わりに、私が頭を下げておきます!」

間宮「お前は、かなねぇの親族か?」

仲本「で、隣の子は? 張間ちゃんのお友達?」

張間「はい、そうです!」

新沼「初めまして。新沼 咲と申します。」

仲本「初めまして、私は仲本 紗英って言います! 二年生で、テニス部で、この隣の男の幼馴染です! よろしくね!」

間宮「別に最後の紹介はいらないでしょ。」

仲本「まぁまぁ、いいじゃんいいじゃん!」

間宮「ところで新沼さん、狗山さんは?」

新沼「ワンちゃんは、先に帰りましたよ。ワンちゃんに何かご用が?」

間宮「いやいや、特に用があるとかじゃなくて。いつも一緒にいるイメージだったからさ。」

新沼「そうですね。部活も一緒なんで、こうしてバラバラで帰る方が珍しいかもしれないです。」

仲本「傑も、この子と知り合いなんだ?」

間宮「うん。探偵部に来てくれてから、話すようになって。」

仲本「そうですかそうですか~! こんな可愛い後輩の知り合いが二人もいるなんて...やるじゃん! このこの~!」

間宮「や、やめろよ...!」

張間「もぉ~可愛いだなんて~!」

新沼「ところで、傑先輩はこの後ご飯ですか?」

間宮「うん。あそこのファミレスで食べる予定。」

張間「あっ、そうなんですか!」

新沼「私たちも、あそこでご飯食べる予定なんです。」

間宮「そうなんだ。」

張間「じゃあじゃあ、せっかくなんで一緒に食べましょうよ!」

間宮「...え?」

新沼「それ、すごく良い考えだね! どうですか、傑先輩?」

間宮「あ、いや、えっと...う、うん。いいよ。」

張間「わーい、やったー! ありがとうございま~す!」

新沼「では、行きましょうか、傑先輩♡」

間宮「...え?」


 張間と新沼は間宮を挟むように左右に別れ、間宮の腕に手を回しがっちり固定すると、そのまま力任せに間宮を引っ張っていく。


間宮「え!? ちょっ、待っ...!」

張間「待ちませんよ~! 早くしないと、席がいっぱいになるかもですし!」

新沼「今の時間帯は、混みますからね! 早く行きましょ、傑先輩♡」

間宮「わ、わかったから! わかったから自分のペースで...ちょっ、引っ張らないでぇぇぇ!!」

仲本「あらあら、なんか凄いことになってるねぇ~。あの傑が...。」

仲本「...私の知らないところで、しっかりちゃんと成長してんじゃん。いつの間に、あんなモテモテ男になったのやら? 小さい頃は、泣き虫で私に頼ってばっかりだったのに。」

仲本「なんか、ほんのちょっぴりだけど寂しいかも。」


 幼馴染の成長に、ふふっと小さく笑みを浮かべる。

少しずつ遠くへと行ってしまう幼馴染を追いかけるように、仲本は笑顔を浮かべながら駆け出した。

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