なんでも探偵部!

きとまるまる

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278話「どすこいっ!紙相撲!恋のつっぱり編④」

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津々浦「では、探偵部の皆さんよろしくお願いします! おっす!」

間宮「いやいやいや、よろしくって言われても...。」

花ノ山「うふふ、ちゃんこティーのお味はどう? おいしいかしら?」

張間「部長、ちゃんこティーってなんですか?」

関「私も気になります。なんでしょうね?」

張間「私、気になります! ってことで、間宮先輩聞いてきてください。」

間宮「絶対に嫌です。で、どうするんですか...? 通常運転の花ノ山さんですら手こずるだろうに、こんな状態の花ノ山さんを相手しろだなんて...。」

張間「どうしましょうね? 私は、さっぱり一つも良い案が思い浮かびません!」

間宮「堂々と言うな。考えろ。」

張間「考えろって言われましても~。」

関「案が何も思い浮かばない...そんな時は、一度最初から見直しましょう。見直すことで、新たに見えてくる道や、自分のミスなどに気づくこともできます。途中まで来た道を戻ることには、少し抵抗があるかもしれませんが、道半ばで立ち往生するくらいなら、勇気を出して一度戻ってみましょう。」

張間「なるほど! 了解です!!」

関「では、来た道を戻りましょうか。まずは「我々のやるべきこと」はなんですか?」

張間「花ノ山さんを元に戻す!!」

関「そう。おままごとをしている花ノ山くんを、元に戻すことです。では張間くん、花ノ山くんを元に戻してください。」

張間「お任せを...って、んなことわかってたらもうやってますよ!!」

関「我々は、おままごとをしている花ノ山くんを元に戻さなくてはいけない。でも、このように、肝心の戻し方がわからない...。では、戻し方を知るには、どうしたら良いと思いますか?」

張間「え? え、えっと...うーん...。どうしたらいいって言われても...。」

間宮「どうしてこうなったのか原因を調べる。」

関「その通り。お見事です、傑くん。」

張間「おぉ!? すごい、間宮先輩!」

間宮「これくらいのこと、わかるでしょ。」

関「傑くんの言うように、どうしてこうなったのかを知ることが大切です。それを知ることにより、さまざまな道が見えてきます。」

関「張間くん。」

張間「はい、なんですか?」

関「仮に、あそこにある時計の針が動かなくなったとしましょう。」

張間「はいはい。」

関「張間くんのやるべきことは、時計の針を動かすことです。どうします?」

張間「どうって、急に言われましても...。」

関「あの時計は、私たちがなにもしていないのに急に止まってしまいました。」

張間「何もしてないなら、電池切れかなって...あっ!電池を変える!」

関「正解です。時計は基本的に電池を使用して動いています。何も触っていないのに止まったのなら、電池が切れてしまっている可能性が高いです。つまり、この場合は電池を変えれば動くはずです。」

関「では張間くん、針が止まってしまった原因が「時計を落としてしまった」だったら、どうですか?」

張間「えっと、時計を落としただから...落とした衝撃で、電池が取れた! それか、壊れた!」

関「止まった原因がわかれば、動かすためにはどうすればいいのかがわかりますよね? 「何もしてないのに止まった」なら、新しい電池に取り替えてみる。「落として止まった」なら、電池がちゃんと入ってるか確認し、それでもなお止まっているのなら、針を動かすためのパーツが落とした衝撃で破損した可能性がある...つまり、修理しなければいけない。」

張間「すごい! どうすればいいのかよくわかる!」

関「では、例に出した時計を花ノ山くんに置き換えて考えてみましょう。」

関「「花ノ山くんを元に戻す」は「時計の針を動かす」です。どうしてそんなことをするんですか?「花ノ山くんが、おままごとをしていて普段と違うから」時計だと、なんですか?」

張間「えっとですね...針が止まってるから!」

関「そうです。針が止まってしまってるから動かすんです。次は、なんでそうなったんですか? 時計は?」

張間「さっきのだと、突然止まったと落とした!」

関「花ノ山くんは?」

張間「えっとですね......わからん!」

関「時計の場合、原因がわかったから動かすためにやらなければいけないことがわかりましたよね? つまり、花ノ山くんのことも、こうなってしまった原因がわかれば、元に戻すためにやらなければいけないことが見えてくるかもしれないということです。わかりました?」

張間「や、やべぇ...こんな難題をすぐに理解してしまうなんて...! 私、もしかして天才...!?」

間宮「ここまで丁寧に解説されてる時点でアホ認定されてることに気づけ。」

関「花ノ山くんがこうなってしまった原因...津々浦くんは「紙相撲の大会、夏場所が終わってから」と言っていました。つまり原因は、紙相撲の大会で何かがあったと考えるべきでしょう。」

張間「紙相撲の大会で...! こりゃ、とんでもねぇ事件の香りがするぜ!」

間宮「で、どうやって紙相撲の大会で起こったことを確認するんですか? 出場した人たちに一人一人聞いて回るんですか?」

関「そんなことしてたら、とんでもなく時間がかかってしまいます。だから、本人に聞きましょう。」

張間「え? 本人に?」

間宮「そんなことできたら、苦労してませんよ。」

張間「へい、花ノ山さん! どうしたんだい!?」

花ノ山「あらあら、どうしたの? あなたもお茶会に参加したいのかしら? うふふ!」

張間「ご覧の結果でございます! おいおい部長さんよ~! 散々色々言ってたくせに、お手上げかい~? かぁ~使えねぇやつだぜ!!」

間宮「どの口が言ってんだ?」

関「ではでは、続いての問題で~す。」

張間「きたきたきたぁぁ!! どんな問題でも、かかってこいや!」

関「張間くん、傑くん、あなたたちはスパイです。とある情報を手に入れろと依頼を受けました。」

張間「おっ、いいですねいいですね! このスーパースパイの張間 彩香ちゃんが、どんな情報でも必ず仕入れてみせますよ!」

間宮「問題は黙って最後まで聞け。」

関「そのとある情報というのは、花ノ山くんが持っています。花ノ山くんから情報を聞き出すには、どうしたらいいですか?」

張間「はいはいはーい!」

関「はい、張間くん。」

張間「脅す!!「おらおら、花ノ山さんよぉ~! 命が欲しけりゃ...言わなくてもわかるよなぁ...?」みたいな感じで!」

間宮「可愛い顔して考えが荒すぎだろ!!」

関「まぁ、それもありっちゃありですが...今回は、穏便に済ませろとも言われています。なので、その方法以外で。」

張間「えぇ~。」

関「傑くんは、なにか思いつきました?」

間宮「うーん...穏便に済ませるのなら、やっぱり同じ立場になるのが一番手っ取り早いし安全ですかね?」

張間「同じ立場?」

関「私も、それが一番良い方法だと思います。張間くんのための、解説!!」

張間「おねしゃす!!」

関「張間くんが言っていた「脅す」という方法も間違いではありません。拷問などで苦痛や恐怖を与えて情報を聞き出すことも、可能といえば可能...ですが、我々がそんなことすれば...これは、言わなくてもわかりますね?」

張間「探偵部、ぶっ潰れます!!」

関「そして下手すりゃ、刑務所へGO!です。絶対にやめましょうね。」

張間「うっす! 了解っす!」

関「張間くんに質問です。張間くんは、自身の個人情報をネット上にポンと上げられますか?」

張間「いやいやいや、何をおっしゃいますか!? そんなの、ダメに決まってるでしょうに!」

関「なぜですか?」

張間「知らない人や悪い人も見るでしょうに! そんなことになったら、この張間 彩香ちゃんは大変なことになりますよ!!」

関「では、どんな人になら自分の個人情報を教えられますか?」

張間「どんな人...そりゃやっぱり、信頼というか信用というか、大丈夫!って思ってる人です。」

関「続いてまたまた質問です。張間くん、あなたは今、裸です。すっぽんぽんです。」

張間「え? きゃ、いやーーん!!」

関「我々は、張間くんの持つ個人情報が欲しいです。私は、服を着たまま教えて欲しいと言いました。津々浦くんは、服を脱ぎ、下着だけの状態で教えてと言いました。傑くんは、服を脱ぎ、下着も脱ぎ、張間くんと同じくすっぽんぽんの状態で教えてと言いました。」

津々浦「おっす! 下着だけっす!」

間宮「おい、なんで僕を脱がす? お前が脱げよ。」

関「張間くんの、我々に対する好感度は全員100とします。全く一緒。みんなのこと、等しく好きです。そして、あなたはこの中の一人に個人情報を伝えます。誰に伝えますか?」

張間「うーん...全員好感度一緒なんですよね?」

関「はい。全員一緒です。」

張間「それじゃあ、間宮先輩ですかね?」

関「どうして、傑くんなんですか?」

張間「同じくすっぽんぽんだからです。やっぱり自分と同じ人の方が、なんというか...信用?できそうな気がするから。」

関「大抵の人は、張間くんと同じ答えを出すと思います。全く違う境遇の人よりも、自分と近しいもしくは同じ境遇の人の方が、信用できるはずです。その方が、自分のことを理解してくれると思うから。」

張間「つまりつまり、花ノ山さんから情報を聞きたければ、花ノ山さんと同じことをしろと言うことですね!?」

関「そういうことです! 素晴らしい、お見事!」

張間「えへへ、それほどでも...!」

間宮「もうほとんど答え出てたでしょうが。」

関「確実に聞き出せるという保証はありませんが、今の彼と話し合うためには、彼と同じステージに立ち、彼を安心させ信頼を勝ち取ることが大切です。」

張間「いきなり「教えろや、ごら!!」じゃなくて「私たちも仲間だよ! 仲間だから、教えてね☆」とやるんですね!? そういうことですね!?」

関「お見事、張間くん! その通り!」

張間「よっしゃよっしゃ~! 100部長ポイントゲットだぜ~!」

間宮「どこでどう使えるんだ、そのポイントは?」

津々浦「おっす! いきなり100部長さんポイントを手に入れるなんて、さすが張間ちゃんです! おっす!」

間宮「あれ? もしかして、僕だけ? このアホみたいなポイントの存在を知らないの。」

関「我々、なんでも探偵部がやるべきことは「花ノ山くんを元に戻すこと」しかし、どうやって戻せばいいのかわからない...だから、まず最初に彼がこうなってしまった原因を探る...!」

張間「こうなってしまった原因は「紙相撲の大会、夏場所が終わってから」だと言っていた...! でも、これだけじゃまだまだわからない...! 答えを見つけるには、もう少し原因を深掘りしなければいけない...!」

関「本人に話を聞こうも、彼は彼の世界に入っており、話が通じない...! では、彼をこちら側に引きずり出し、無理やり話を聞くのかい?」

張間「いやいや、なにをおっしゃいますか! そんなことすれば、花ノ山さんは怖がって話さなくなるかもしれない! 仮に話したとしても「無理やりあの手この手されて話してしまった」と生徒会に伝われば、なんでも探偵部はぺっちゃんこになる!」

関「相手を傷つけるやり方では、いけない! 相手を安心させ、こちらを信用させ、相手から話させるんです!」

張間「そうするために、私たちは仲間だと花ノ山さんに伝える! そう、仲間だと伝える! 信頼できるのは、仲間! 信用できるのも仲間! 仲間、バンザイ!」

関「さぁ、いくぞ! 花ノ山くんも元に戻すために! 我々は怖くない、素敵な素敵な仲間だと伝えるために...!」

関・張間「やるぞ、おままごとを!!」

間宮「長々と説明されてたから薄々気づいてたけども、やっぱりこの答えは納得ができなぁぁい!!」
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