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281話「どすこいっ!紙相撲!恋のつっぱり編⑦」
しおりを挟む間宮を除く一行は、菊さんのご好意により案内された一室で、お茶やお菓子を食べながらゴロゴロと過ごしていた。
桜井「んん~このお菓子、すごく美味しい~♡」
津々浦「お茶もすごく美味しいです!おっす!」
花ノ山(あぁ...満さんの、あの笑顔...! あの笑顔を見るだけで、お腹が一杯になるでごわす...! こんなの、初めて...♡)
張間「あーあー見てください部長、花ノ山さんのあの顔を。」
関「とろけてますねぇ。とんでもなくとろけてますよ。」
張間「ところで、会わせた後はどうするんですか? その後のことは、全く考えてないんですけども。」
関「張間くん、我々への依頼は「花ノ山くんを元に戻すこと」です。状態異常・恋というステータス持ちですが、こちらとの会話は成立するようになっています。つまり、元に戻ったと言ってもいい。我々の仕事は、ここまで。後は見守るだけです。」
張間「なるほどなるほど、了解です! よかったよかった、これ以上めんどくさいことに巻き込まれることはないんですね...!」
関「張間くん、そういうことは心の中で呟きなさい。」
張間「てへぺろりん☆」
桜井「ところで、花ノ山くんは何をしにここに来たの?」
花ノ山「...ごわす?」
関「おやおや、早速ピンチを迎えていますね。」
張間「部長、手を出したらダメですよ。私たちの仕事は「見守る」です。何があっても、手を出すことは許されません。手を出すのは、目の前のお茶とお菓子だけにしてください。」
関「どんだけ関わりたくないのよ、あなたは?」
花ノ山(おいどんは、なぜここにいるでごわす...?なぜ...なにをしに...? わからなでごわす...さっぱりわからないでごわす...!)
桜井「花ノ山くん?どうしたの?」
花ノ山(わ、わからない...でも、黙ったままだと、満さんにご迷惑をおかけすることになるでごわす...! なにか、なんでもいいからそれっぽい理由を...!)
花ノ山「え、えっとでごわすね!その、アレでごわす!アレ!!」
桜井「あれ?」
花ノ山(アレってなんでごわす!? おいどんが聞きたいでごわす! アレってなに!? 何も思いつかない! このままでは...!!)
津々浦「おっす! アレです、アレ!」
花ノ山(つ、津々浦ちゃん!? まさか、助け船を...!?)
津々浦(花ノ山さん、ここは私に任せてください!おっす! 私が、ばちんと花ノ山さんの背中を押します!おっす!)
張間「おーおー、目で語り合ってますよ。目で。」
関「一体、どうするんでしょうね?」
張間「ここで、平均90点が本当かどうかわかりますな。」
津々浦「おっす!花ノ山さんがここにきた理由...それはズバリ、満さんと紙相撲で勝負するためです!!」
花ノ山「...ごわす?」
桜井「僕と?」
津々浦「そうです! 今から花ノ山さんと勝負して、負けた方がなんでも相手の言うことを聞くという勝負です!おっす!!」
花ノ山「ご、ごわす!?」
関「あーあー、なんかとんでもないこと言い出しましたよ、あの子。」
張間「なんであんな「やってやったぜ!」みたいな顔できるんですかね?」
関「まぁやってやったことには間違い無いですからね。良い悪いは置いておいて。」
張間「やっぱりとんでもねぇ女だぜ、津々浦ちゃんは...。」
花ノ山「な、何を言い出してるんでごわす、津々浦ちゃん!? 本気でごわすか!?」
津々浦「おっす!もちろん本気です! 花ノ山さん、頑張ってください! 勝てば、なんでも言うこと聞いてもらえます!おっす!」
花ノ山「な、なんでもだなんて、破廉恥でごわす!エッチでごわす! 思春期真っ盛りの男子高校生の妄想を、舐めちゃいけないでごわすよ!! というか、そもそもこんな勝負を満さんが受けるわけがーーー」
桜井「いいですよ、やりましょう!!」
花ノ山「えぇぇぇぇ!? や、やるでごわす!?」
桜井「うん! 実は僕も、花ノ山くんと勝負したくてしたくてうずうずしてたんだよ! こんなの、願ってもない機会だよ!」
花ノ山「で、でも、負けたらなんでも言うこと聞くでごわすよ!? いいんでごわす!?」
桜井「それくらいしなきゃ、花ノ山くんは本気で戦ってくれないかもだし、僕はいいよ! そもそも、負ける気ないからね!」
花ノ山「うっ...!? その強気な発言も、可愛いでごわす...!!」
桜井「ん? 可愛い?」
花ノ山「な、なんでもないでごわす! こっちの話でごわす!」
桜井「じゃあ、早速勝負しようよ! ほらほら、早く早く!」
花ノ山「あ、ちょっ!? だから、手を握って引っ張らないで! ドキドキがまた加速するでごわす~~!!」
張間「なんか、とんでもないスピードで物語が進んでいきますね。」
関「「どすこいっ!紙相撲部っ!」は見ていて飽きないですね。」
張間「で、私たちはどうしましょうか?」
関「ここまできたら、最後まで見届けましょう。」
張間「了解でっす!!」
N「この後、花ノ山vs桜井の熱き紙相撲バトルが始まりますが、時間の都合上カットさせていただきます。申し訳ございません。」
N「お詫びとして、間宮 傑とサブローの今現在の様子をご覧ください。」
旅館の庭でフリスビーを投げて遊んでいる間宮。サブローは投げられたフリスビーをジャンプし、空中で華麗に咥えると、尻尾を千切れんばかりにブンブン振り回しながら間宮の元へと駆けていく。
サブロー「ぎゃふんぎゃふん!」
間宮「おーよしよしよし! サブローはすごいなぁ~! よしよしよしよし!」
サブロー「ぎゃふんぎゃふん! へっへっへっへ!!」
間宮「可愛いなぁ~! サブローはすごく可愛いなぁ~! ぎゃふんぎゃふんってすごく可愛いよぉ~! おーよしよしよし!」
サブロー「ぎゃふんぎゃふん! ぎゃふんぎゃふんぎゃふん!」
間宮「よしよしよ~し!!」
サブロー「ぎゃふ~ん!」
花ノ山「そ、そんな...!? お、おいどんの負けでごわす...!」
桜井「やったやった! 僕の勝ちだ~!」
張間「な、なんて熱い戦いだったんだ...!」
関「えぇ...! とんでもなく熱い戦いでした...!」
菊「熱すぎて、ここは熱されたフライパンの上かと思うほどだったよ...!」
津々浦「お、おっす...!」
桜井「僕の勝ちだよ、花ノ山くん! ってことで、一つ言うこと聞いてもらうからね!」
花ノ山「はっ!? そういえば、そんなこと言ってたでごわす!」
張間「あらあら、やっちゃいましたねぇ。」
関「まさか、こんな展開になるとはねぇ。まぁ、満さんのことだから、とんでもなことは言わないでしょうけども。」
張間「ですね。見た目通りの可愛らしいことを言うに違いありませんよ。」
桜井「花ノ山くん...僕と一緒に、温泉に入ろう!!」
予想だにしていなかった言葉に、張間は口に含んだお茶を盛大に吐き出す。
張間「がはっ!ごほっごほっ!げほっ!!」
桜井「あわわわわ!? だ、大丈夫!?」
張間「だ、大丈夫なわけあるか! な、なななな何言ってんですか、あなたは!? え!?何言ってんの!?」
桜井「え? 何って、一緒に温泉にーーー」
張間「バカバカバカバカこのおバカ者! いけませんいけません、そんなの絶対にいけません! 花ノ山さんも、ダメですよ!? わかってますよね!?」
花ノ山(さっきの「あわわわわ」って、なんでごわす...可愛すぎて...可愛いかよ...!)
張間「おい、なんだその顔は!? もう入ってるのか!?脳内では、もう一緒入ってんのか!? いけませんいけませんいけません!!」
張間「津々浦ちゃんも、何黙ってんだい!? あんたがしでかしたことって言ってもいいんだよ、これは! あんたも全力で止めな!!」
津々浦「お、おっす...! 満さん、見た目からは想像できない大胆さをお持ちで...! お、おっすぅ...!」
張間「なぁんでテメェが恥ずかしがってんだい!? 恥ずかしがる要素がどこにある!? もしかして、想像したのか!?想像したんか!? このムッツリスケベ90点が!」
桜井「なんだかよくわからないけど...花ノ山くん、早く温泉行こ! 僕、汗でびちょびちょだから早くさっぱりしたいな~!」
花ノ山「び、びちょび...ご、ごわすごわす...!!」
張間「おいこら、花ノ山さん! なぁに鼻息荒くしてるんですか!? いけませんいけません、絶対にいけません! この張間 彩香が許しませーーー」
桜井「ほらほら、行こう! 温泉に、レッツゴー!」
花ノ山「ご、ごわ~す♡」
張間「待てぇぇぇい! 待て待て待てぇぇぇい!!」
菊「ほっほっほ! 若いもんは元気で良いねぇ~。」
関「いやぁしかし、あんな熱い戦いを見せられたら、身体がウズウズしちゃいますよ。」
菊「おや、あんたもかい? 奇遇だねぇ。もしよかったら、私と一戦どうだい?」
関「よろしいのですか!? 喜んでお受けいたします!」
菊「ほっほっほ! 手加減はせんよ。」
張間「待て待て待てぇぇぇい! なぁにやってんだ、あんたたちは!? なんでそんな冷静なんですか!? 部長、なにしてんですか!? あなたはそれでも部長ですか!?」
関「張間くん、あなたも紙相撲やりますか?」
張間「紙相撲よりもやるべきことがあるだろうがぁぁぁぁ!! いいんですか!?なんでも探偵部は、全年齢対象なんですよ!? それなのに、これから温泉でムフフなことが...!とかやっちゃったら、PTAから批判殺到!謝罪会見!今まで応援ありがとうございました!俺たちの冒険はこれからだ!!ルートですよ!?いいんですか!?」
関「あなたは何を言っているんですか? というか、勘違いしているみたいなので言いますけども...。」
張間「はいぃ!?勘違いだぁ!? 何をですか!?私は何も勘違いなどしていません!!」
関「いやいやしてますよ。とんでもない勘違いをしていますよ。」
菊「おやおや、あんたもしかして気づいてたのかい? すごいねぇ、さすがだよ。」
関「100%の確証は得ていませんでしたが、菊さんの一言で100%になりましたよ。」
張間「おいこら、張間 彩香ちゃんを置いてけぼりにするな! さっさと教えんかい!」
菊「張間ちゃんや、あんたの言いたいことはよぉくわかるよ。でも、安心しなさい。あんたの思っとることは、起こりはせんよ。」
張間「へ...? な、なんでですか?」
菊「なんでって...だって、満ちゃんはーーー」
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