なんでも探偵部!

きとまるまる

文字の大きさ
上 下
283 / 330

283話「能ある鷹は爪を隠すって言うけれど、隠しすぎもダメダメよ①」

しおりを挟む

 放課後となった、東咲高校ーーー退屈な授業から解放された張間は、ニコニコと笑顔を咲かせたまま部室へとスキップで向かっていた。


張間「こっんにちわ~!!」

関「やぁ張間くん、こんにちわ。」

張間「部長、こんにちわ!! さぁさぁ、今日も元気に部活動を始めていきましょう! ファイト、一発!えいえいおーー!!」

張間「ってことで...部長、本日はお仕事ありますか!?」

関「本日は一件予約が入っておりますよ、張間 彩香様。」

張間「ですよね~!本日もいつも通りのお仕事ゼロでございますよね~! まぁ、この可愛いきゃわわな張間 彩香ちゃんが部室にいるんですから、そのうちわんさかじゃんじゃか人が来ること間違いなし!なので、今はのんびり気ままに待ちま......って、ん?えぇ!?よ、よよよよ予約があるぅぅぅ!?!?」

関「笑っちゃうくらい素晴らしい返しですね、張間くん。お見事です。」

張間「部長、嘘じゃないですよね!? 本当ですよね!?」

関「本当ですよ。なんでも探偵部に依頼があるので、放課後に部室に行きますとの連絡がありました。もうすぐ来ると思いますので、張間くんもお迎えする準備をしてください。」

張間「おいおいおい、マジかマジかマジかよ、ふぅ~~! ついに、なんでも探偵部も予約が来るほどの人気な部活になりましたか~! いや~これも張間 彩香ちゃんのおかげですね~! 部長、今夜はパーティしましょう!「なんでも探偵部、人気者バンザイパーティ」です! やりましょうやりましょう!」

関「パーティの準備する前に、予約してくれた方を出迎える準備をしてください。ここでしっかりちゃんとしておかないと、評判悪くなって後から人来なくなっちゃいますよ? いいんですか?」

張間「それはいけねぇ、大問題だぜ!! お掃除すればいいですか!?」

関「ですね。張間くんは、机を拭いてください。」

張間「はーい! いや~なんだか嬉しいですね~! 人が来ないで有名だったなんでも探偵部が、予約されるほど人気になるとは~! 張間ちゃん効果は素晴らしいですね~!」

関「ですねぇ~。あなたがいなくなると、なんでも探偵部は去年のように閑古鳥が鳴くことになりますから、どこにも行っちゃダメですよ~。」

張間「ご安心を! この張間 彩香、生涯なんでも探偵部部員であることをここに誓います!」

関「素晴らしい!素晴らしいお考えです、張間 彩香さん! さぁ、気が変わらぬうちに、この契約書にサインを!」

張間「やだもう、素晴らしいなんて!照れちゃいますよ~! ここでいいですか~?」

関「はい! 気が変わらぬうちに、どうぞどうぞ~!」

張間「はーい! こちらにサインを...書く前に、中身を確認!! えっと、なになに...「これからは毎日勉強を1時間はやることを誓います」誰が誓うか!! こんなクソな契約は、破棄!! ビリビリに破いて、ゴミ箱にグッバイ!!」

関「おやおや、しっかりちゃんと中身を確認するまでに成長してましたか。」

張間「張間 彩香ちゃんの成長スピードを舐めんじゃねぇぞ! いつまでもいつまでも同じやり方が通用すると思うな!」

間宮「うるさいんだけど。廊下にまで聞こえてるよ? もうちょい声のボリューム落としなよ、張間さん。」

張間「あっ、間宮先輩! こんにちーーー」

馬鳥「やっほ~。あやぴー久しぶり~。」

張間「げっ!? あ、あなたは...!?」

馬鳥「あやぴー、その反応はひどくない? さすがの俺も泣いちゃうよ~?」

間宮「馬鳥くん、張間さんになんかしたの?」

馬鳥「いや、特に何かした覚えはないかなぁ~? 俺、まみーたちが生徒会室に来た時以降、あやぴーと会ってないし。ね、あやぴー?」

張間「あ、はい、そうですね...あ、あははは!」

馬鳥「あやぴー、もしかして俺のこと苦手なのかな?」

張間「いえいえ、そんなそんなそんな! 出会う女子皆に「可愛いね~」とか言ってそうなタイプの人だから苦手とか、そんなこと一ミリも思っておりませぬよ! お、おほほほ~!」

間宮「張間さん、出てる出てる。苦手な理由が全部出てる。」

馬鳥「それ、よく言われるよ~。そんなことないんだけどなぁ~。ってことで、あやぴー連絡先交換しようよ。そうすれば、俺がそんな人じゃないってこともわかると思うし~。はい、QRコード。これ読み取ってスタンプでもなんでもいいから送ってきて~。」

張間「あ、いや、えっと...す、すみません...交換したい気持ちは山々なのでございますが、私スマホを持っていなくてですね...。」

間宮「嘘吐くなら、もうちょいわかりにくいやつにしなさい。」

馬鳥「あとさ、久しぶりに会ったんだし、今度の休み一緒に遊びに行かない? 二人きりが嫌だったら、まみーとか誘うからさ。ね、まみー。」

間宮「僕は遠慮します。」

馬鳥「なんでさ? 一緒に遊ぼうよ~。」

間宮「せっかくの休みの日に、疲れを溜めたくない。」

馬鳥「あっははは~! まみーめちゃくちゃ辛辣~!」

関「相変わらずですね、馬鳥くんは。」

張間「やっぱり私、あの人苦手です...。ってことで、あの方の相手は部長と間宮先輩にお任せいたします。予約されている方は、私にお任せください。どんなお悩みでも、パパッと解決いたしやす!」

関「では張間くん、馬鳥くんのお悩みをパパッと解決いたしてください。」

張間「お任せを!じゃないわ! 話聞いてました!? あの方の相手は、部長たちにお任せです! 私は、ご予約してくれた方のお悩み解決をーーー」

馬鳥「あっ、今日探偵部に予約入れたの、多分俺だよ~。」

張間「...え?」

馬鳥「もしかして、俺以外の他に予約してた人いた?」

間宮「いやいや、いるわけ。」

関「丁寧に来る時間等伝えてここに来てくださるの、馬鳥くんくらいですよ。」

馬鳥「あれ、そうなの? 俺ってば意外とちゃんとしてるのかな~? あははは~!」

張間「ほんと、意外の意外です...! まさかこのお方が予約などしっかりちゃんとする方だとは...! 女の子取っ替え引っ替えしてて、当たって砕けろ精神の人だと...!」

間宮「張間さん、さすがにそれはめちゃくちゃ失礼だから、謝りなさい。」

馬鳥「謝らなくていいよ~。俺、全然気にしてないし~。ってか、謝るくらいなら一緒に遊ぼうーーー」

張間「すいませんでした!!申し訳ありませんでした!!本当に申し訳ありませんでした!!」

馬鳥「あやぴーそんなに俺と遊ぶの嫌なの? 流石にちょっと傷ついたから...まみー癒して~。」

間宮「えぇ...。」

馬鳥「まみーもあやぴーも、俺に辛辣すぎるでしょ~!あははは~!」

関「すみませんね、うちの部員たちが失礼なことばかりで...。」

馬鳥「いやいや、全然気にしてないんで謝らなくてもいいですよ~。俺、こういう感じなんで、生徒会でもこんな扱いなんで~。たっつーとかは、まみー以上に酷いからさ~。」

張間「間宮先輩、たっつーって誰ですか?」

間宮「生徒会の木江 辰巳きのえ たつみくんだよ。」

馬鳥「ほら、あやぴーが生徒会に来た時に、俺と女の子ともう一人で審判してたでしょ? そのもう一人だよ~。」

張間「あぁ...うーん...薄らと記憶があるようなないような...?」

馬鳥「まぁ、あやぴー直接関わりないし、覚えてなくて当然かもね~。たっつー残念だね~あっははは~。」

張間「呼び方といいオーラといい発言といい...スーパー陽キャ感が凄いです...。眩しすぎて見てられない...間宮先輩ガード!」

間宮「勝手に人を盾にするな。」

張間「ってかてか、意外です。間宮先輩が、あのスーパーチャラチャラ陽キャマンとお友達だなんて。」

間宮「その呼び方、やめなさい。馬鳥くんとは同じクラスだからね。お昼とか、たまに一緒に食べたりしてるよ。」

張間「え!? それも意外!」

関「さらに意外ポイント...馬鳥くんはこう見えて、学力凄いですよ。」

張間「いやいや、流石にそれは騙されませんよ~! 絶対に私と同じくらいでしょ~!」

馬鳥「あやぴーは、どのくらいなの?」

張間「え? え、えっと...まぁ、全教科半分くらいですかね!」

間宮「嘘吐くな。」

関「全教科赤点ギリギリでしょうに。」

間宮「この前は赤点だったし。」

張間「ワーワーワー!! 聞こえない聞こえない聞こえない~!」

馬鳥「あははは~! 俺、めちゃくちゃ下に見られてんじゃ~ん! まぁでも、あやぴーと同じになれるのなら、それはそれでいいかもね~!」

張間「なんだ、この圧倒的な余裕は...!? こりゃ、とんでもない気が...!」

関「とんでもないですよ、馬鳥くんは。常に学年順位一桁ですもんね。」

張間「ひ、一桁!?」

馬鳥「いやいや、ほぼほぼ全部百点満点のわーりー先輩に比べたら、俺なんて全然ですよ~。」

関「おやおや、どうして私の点数を知っているのですか?」

馬鳥「あかりん先輩が、たまにブツブツと呟いてるんですよ~。」

関「あぁね。毎度毎度私に突っかかってきますからね、あの子。」

張間「ひ、一桁...!? この人が、学年順位一桁...!? 嘘でしょ...!? というか、私の周りはどうして頭いいやつしかいないの...!? まずそこがおかしいでしょ...おかしいよ...!!」

間宮「おかしくないよ。」

関「私たちじゃなくて、あなたがおかしいんです。あなたが低すぎるんです。」

間宮「ほら、張間さんもこっち側に来なよ。」

関「一人でいるのは、寂しいでしょ? こちら側に来れば、たくさん仲間がいますよ?」

間宮「勉強なら、僕たちが見てあげるから。」

関「さぁ、私たちの手をとってーーー」

張間「うるさいあっちいけあっちいけあっちいけ!! というか、私のことよりも馬鳥先輩の話を聞いてあげてください! ほらほら、お客様優先! はい、あっち!!」

馬鳥「あやぴーの勉強なら、俺が見てあげよっか? さっきも言ってたけど、俺こう見えて学年順位一桁だから、色々と教えてあげられるーーー」

張間「勉強のことは、もういいわぁぁぁぁ! さっさと本題にいかんかぁぁぁい!!」
しおりを挟む

処理中です...