なんでも探偵部!

きとまるまる

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293話「相手にしたことは、いつか自分に返ってくるからね④」

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 校庭内で、辺りを警戒しながらスマホへと視線を落とす不知火。
今回の遊びのために作られたチャットグループには
「笹原 冬華 狩られました!」
「暁 秋斗 爆散!」
「百瀬 凪 まいりました~」
「間宮 傑 やられました」
と、それぞれが敗北者であることをアピールしている。


不知火(今、お互いに残るは二人ずつ...。でも、向こうはあのうるさいやつと関先輩...それに対してこっちは、私と地味男...お荷物でしかない、圧倒的に不利...! このままでは...!)

立花「夏帆先輩~!」

不知火「ちぃ...! お荷物クソ地味男が...!」

立花「なんで舌打ちプラスボロカス言われなきゃいけないんですか!? 僕、一人倒してきたんですけど!? 褒めてくださいよ!」

不知火「どうせ間宮くんでしょ。あんなの、誰だって倒せるわよ。その程度で褒めろだなんて、おめでたい脳みそね。笑わせないで。」

立花「それは僕だけじゃなく、間宮先輩に対してかなり失礼ですよ!? 謝ってください、僕と間宮先輩に!」

不知火「大声出すな、地味男。バレたらどう責任とるつもり?」

立花「あ、すみません...。仲間がいる安心感から、つい...。」

不知火「まだ勝負はついてないわよ。気を抜くな、お荷物が。」

立花「あの、お荷物呼びはやめてもらえませんか? 傷つきます。」

立花「それで夏帆先輩、これからどうしますか?」

不知火「...残り時間は?」

立花「えっと...あと30分ですね。なんだかんだで、もう1時間か...早いなぁ~。」

不知火(残り30分...今二人いるこの状況で、どうにかして関先輩だけでも倒しておきたい。たぶんあの二人は別々で行動しているはず...だからーーー)

立花「か、夏帆先輩...!」

不知火「おい、邪魔すんな地味ーーー」

立花「あれ!あれ!!」

不知火「は?」

関「やぁやぁ、こんにちわ~。調子はいかがですか~?」

不知火「...探す手間が省けたわね。」

立花「まさか、一人で僕たちの前に...い、いや、どこかに張間ちゃんがいるのかも!? か、夏帆先輩、注意してください! 気をつけてください!」

不知火「うるさい、黙れ。」

立花「は、はい!」

不知火(地味男の言うように、どこかにあのうるさいのが隠れてる...? いや、身を隠せる場所は、私たちからだいぶ離れた位置にしかない。仮に隠れていたとしても、出てきた時にはすぐに気づけるし対応できる。)

不知火(堂々と姿を現したのは、私たちに「近くに一人隠れてるのでは!?」と考え込ませて、戦いに集中させないようにするための罠...現状の人数を確認できるからこその戦略ね。)

関「私、コソコソ隠れるよりもこうやって正々堂々と戦う方が好きなんですよ。だから、逃げずに付き合ってくれますよね?」

不知火(さりげなく「一人ですよ」アピールまでして...私を騙したかったんでしょうけど、そうはいかない...! 私は、どうしても負けられない...!何がなんでも勝たなければいけない...!なんとしてでも...!)

立花「か、夏帆先輩夏帆先輩...!」

不知火「あ"...?なによ...?」

立花「こわっ...怖すぎますって...! 僕は、味方ですよ...!」

不知火「周りにあのうるさいバカはいないはず。関先輩だけに集中しろ。」

立花「ですよね...! 僕も、そう思いました...! だから夏帆先輩、僕が囮になるので、その隙に関先輩を倒してください...!」

不知火「は?」

立花「相手は一人...どっちかが捨て身でいけば倒せると思います...! 僕が残っても張間ちゃんどうこうできないと思うので、夏帆先輩に全てお任せいたします...!」

不知火「ふん...! 自分の立場をよく理解してるじゃない。今回は褒めてあげるわ、地味男。」

立花「ありがたき幸せ...!」

関「作戦会議は終わりましたか?」

不知火「その余裕な態度、後で後悔しても知りませんからね。」

関「させてください、後悔。」

立花「うわぁ...凄い強者感...! 足震えてきた...!」

不知火「とっとと突っ込め、地味男。」

立花「わ、わかってますよ! 僕らの前に一人で来たこと、後悔させてやります! うおぉぉぉぉぉ!!」


 プニプニバットを構え、勢いよく関へと接近する立花。少し距離が離れたのを確認し、不知火も地を蹴り上げ立花を追いかけーーー


立花「あっ...。」


 不知火が地を蹴りあげるとほぼ同時に、情けない声を上げる立花。踏み出した足は地面を掴むことなく、身体が宙を軽く舞う。

不知火は慌てて足を止め、豪快に転けた立花に怒りの視線を向ける。


不知火「なにやってんだ、クソ地味男がぁぁぁぁぁ!!」

立花「言い訳を!言い訳を聞いてください! ここ!ここ微妙に段差あります! 見てください、ここ!!」

関「申し訳ないですが、これ以上は待ちませんよ!!」

立花「へ? あ、ちょっーーー」

関「情け無用! もらったぁぁぁぁぁ!!」


 体勢を慌てて立て直そうとする立花の頭めがけて、関は勢いよくプニプニバットを振り下ろした。
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