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310話「一度気になったらもうずっと気になる」
しおりを挟むテスト期間中で部活動が休みとなっており、運動部の活気のある声が聞こえてこない寂しい放課後となった東咲高校。
テスト期間中のルーティーンとなっている一時間ほどの軽い運動を済ませたバドミントン部の新沼と狗山は、少し汗のかいたジャージから制服へと着替え直し、テスト勉強をするべく1-A教室へと向かっていた。
新沼「あっ、部長さん。」
関「やぁ、羽和くんに新沼くん。こんにちわ。」
新沼「こんにちわ。」
狗山「こ、こここここんちわっす!!」
関「君たち、今から帰るのかい?」
新沼「いえ、これから教室戻ってテスト勉強するつもりです。いつもいつも、軽く運動してから勉強するようにしてるんです。」
関「そうでしたか。遊んでばかりはいけませんが、勉強ばかりというのも肩なりなんなり色々とこっちゃうので、良いことだと思いますよ。」
新沼「部長さんは、何してるんですか?」
関「私は、暇なので校内をフラフラしています。部室にいても、傑くんが「存在が邪魔」とか酷いこと言ってくるので居づらくてですね...。」
新沼「部長さんは、テスト勉強しなくていいんですか?随分と余裕あるんですね?」
関「余裕というか、私はきちっとしっかり授業聞いてるのでしなくても大体なんとかなるんですよ。日頃の行いのおかげです。」
新沼「その言い方だと私たちが授業きちっと聞いてないからテス勉しなきゃいけないとも解釈できるんですけど?」
関「いえいえ、そうは言ってません...が、新沼くんの言うように、そう思われても仕方ない発言でしたね、今のは。謝罪いたします。申し訳ございませんでした...!」
新沼「発言には、十分に注意してくださいね♡」
関「ところで、先ほどからずっとそっぽ向いてますが...どうしたんですか、羽和くん?」
狗山「あ、いや、これは、その...!」
新沼「ワンちゃんは恥ずかしがってるだけですよ、部長さん。ね、ワンちゃん♡」
狗山「な、ななな何言ってんだ、お前は!?俺は別に恥ずかしがってねぇし!こ、これは、その...そ、そう!寝違えたんす!寝違えてこんな風になったんす!ただそれだけっす!」
関「寝違えたんだとしたら、早く病院に行きなさいと伝えるレベルですよ、それは。」
新沼「部長さんの言う通りです。てことで、ワンちゃんを保健室に連れて行ってあげてくださーーー」
狗山「あーーーー!!治った!たった今治ったっす!ほら、ほら!こんな動く!寝違え、治ったぁぁぁ!!」
関「羽和くん羽和くん、そんな激しく首動かしてたら、本当に痛めてしまいますよ?」
関「さてさて、お話はこれくらいにしておいて...私は部室に戻って勉強しましょうかねぇ?」
新沼「そうしてください。余裕ぶってる姿見ていると、イライラしちゃいますから。」
関「ほんと、人って十人十色ですねぇ~。テス勉しなくていいと言えば「すごい!」って素直に褒めてくれる人もいれば、このようにイライラされてしまうこともあり...感じ方は人それぞれ。改めて、素晴らしいことを学べましたよ。ではでは、私はこの辺で~。」
新沼「あっ、ちょっと待ってください、部長さん。」
関「言っておきますが、イライラぶつけるのだけはやめてくださいね?私、全力で逃げますよ?」
新沼「違いますから安心してください。私とワンちゃんも、探偵部で勉強してもいいですか?」
狗山「はぁぁ!?おまっ、何言ってんすか!?」
新沼「別に、勉強するところなんてどこでもいいでしょ?」
狗山「それなら、教室でもいいじゃないっすか!なんでわざわざ探偵部でーーー」
新沼「そっかそっか。ワンちゃんは、部長さんがいるから恥ずかしーーー」
狗山「恥ずかしくねぇし!!全然余裕だし!!幸先輩がいてもいなくても、俺は全然余裕だし!!」
新沼「てことで、いいですか?」
関「私は別に構いませんよ。」
新沼「ありがとうございます。では、今日は探偵部にお邪魔しまーーー」
張間「呼ばれて飛び出て、張間 彩香ちゃんで~~すっ!!」
新沼「呼んでません。帰ってください。」
張間「いやいや、呼びましたよ。なんでも探偵部と言えば張間彩香ちゃん、張間彩香ちゃんと言えばなんでも探偵部...つまり、探偵部と言えば張間ちゃんを呼んでいるということと同じ!!」
新沼「同じじゃありません。帰ってください。」
張間「そんなこと言わずに、仲良く一緒に勉強しましょうよ~!へっへっへっへ...!」
関「で、張間くんはどうしてここに?教室で勉強しているのではなかったんですか?もしや、抜け出してーーー」
張間「待った!部長、話を聞いてください! 私、張間 彩香は先ほどまでずっっっと勉強しておりました!今は休憩中なのです!休憩中に、どこぞの泥棒猫が悪さをする予感がしたので、駆けつけたのであります!予感的中であります!」
新沼「泥棒猫って、誰のことかしら~?」
張間「あらあら、言わずともわかっているくせに~!おほほほほ~!」
関「いつの間にやら、張間くんも恐れることなく攻撃するようになりましたね。」
狗山「そうっすね...。」
関「そして、このまま放っておいたらとんでもないことになるのは目に見えています。この火種は、早めに鎮火しましょう。」
狗山「そうっすね...。おい、お前らーーー」
新沼「売られたケンカは買いたいところだけど...そんなことしていたら、せっかくの勉強時間がなくなっちゃう。だから今回は、私たちと傑先輩は彩香ちゃんの教室で、ワンちゃんと部長さんは部室で勉強するで手を打ちましょう。」
張間「仕方ねぇ...優しい私に感謝しな。」
狗山「おい待てぇぇぇぇ!!お前らの話に俺を巻き込むなっすぅぅぅぅ!!」
関「それにあなたたち、それだと仲良し一年ズの中にぶち込まれる二年の傑くんが気まずいでしょうに。傑くんのことも考えてあげてください。」
新沼「大丈夫ですよ、部長さん。私も、今彩香ちゃんが一緒に勉強してる人たちと仲良くないというか話したことないので♡だから、傑先輩は気まずくないですよ♡」
張間「き、貴様、まさかそれが狙いでーーー」
新沼「では、傑先輩呼んできま~す!」
張間「待て待て待てぇぇぇい!貴様の好きにはさせんぞ、泥棒猫がぁぁぁぁぁ!!」
関「あーあ、あぁなってしまった彼女たちは、もう止まることはないさ。こっちに飛び火してほしくないし...残念ですが、傑くんには生贄になってもらいましょうか。」
関「で、羽和くんはどうします?せっかくですから、一緒に勉強しますか?嫌でしたら、別にーーー」
狗山「いやいやいや、嫌とかそんなことは全然ないっすよ!?ただ、えっと、その...!」
狗山(いや、待て!待つっす! これはきっと、神様が俺に与えた試練っす!「どんな状況でも、冷静でいられるようになるんだぞ、狗山...!」というやつっす!これを乗り越えれば、俺はきっと冷静な女になり、今後あいつらの攻撃も軽く冷静に受け流すことができるっす!きっと、そうっす!)
関「どうしますか?羽和くーーー」
狗山「やるやる!やります!やらせてください!!やるっす!! 俺は、必ずやこの試練を乗り越えて、冷静な女になるっす!!」
関「やるのは、ただのテスト勉強ですよ?わかってます?」
張間(M)気合を入れて試験に臨んだ羽和ちゃんだったが...!!
新沼(M)結果は、言うまでもなく...撃沈しましたとさ。
狗山「お前ら、マジで覚えてろよぉぉぉぉ!!」
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