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316話「学祭っ!1日目⭐︎②」
しおりを挟む催し物の出番ではない張間と間宮は、探偵部の部室に集まり、学祭のパンフレットをジッと見つめている。
張間「いいですか、傑先輩!こういうお祭り事は、まずどこから攻めていくかを明確に決めてから行動するものです!しっかりちゃんとパンフレットを見て、行く順番を決めて、全部制覇しますよ!わかりましたね!?」
間宮「別に夢の国じゃないんだから、近場から一つずつ行けばいいじゃん。」
張間「この、おバカ!傑先輩のおバカ!東咲高校の学祭舐めんなよ、コラ! 私たち生徒だけではなく一般の方も来られる...つまりそれは、夢の国とほぼ一緒と言ってもいい! それに、部長に聞いたところによると、人気のアトラクションはマジで並ばないとダメだそうですよ!だから、しっかりちゃんとどこから攻めるか決めなきゃですよ!!」
間宮「アトラクションなんて大掛かりなもの、どこもやってないわ。というか、今更だけど...一緒に回るの、僕でいいの?」
張間「あーでましたでました、傑先輩の悪いところ!そうやってテンション下がることをすーぐ言う!! 私がいいからいいんです!はい、この話はお終い!!」
間宮「張間さんがいいならいいんだけど。」
関「やぁやぁ、お二人さん。おはようございます。」
間宮「あっ、先輩。おはようございます。」
張間「おはざす!!ついに学祭当日ですね、部長! 楽しんで、楽しみましょうね!!」
関「えぇ、もちろんですよ!隅から隅まで楽しみ尽くしますよ~! ってことで、では~。」
張間「え!?もう!? 何しにきたんですか、あなたは!?」
関「荷物置きにきただけで~~す。」
張間「あれま、もう行っちゃった。傑先輩、部長は去年もあんな感じだったんですか?」
間宮「うん。1日目は自分のペースで回りたいって言って一人で回ってたし、今年もそうするんじゃない?」
張間「なるほどなるほど。一人より誰かと回った方が絶対に楽しいと思うんだけどな~。」
間宮「まぁ、楽しみ方は人それぞれだよ。それより、決めるなら早く決めようよ。」
張間「ですね!よ~し、学祭楽しむぞ~!お~~!!」
間宮「......。」
張間「...いや、傑先輩も「お~~!」って言えや!!」
ーーー
一般の方が校内へと入り始めて数時間が経過した頃ーーー
新沼「私と一緒に...あ~そ~ぼ~...!!」
セリフを言い終わると同時に、新沼は自身の顔を懐中電灯で照らす。突然背後から現れた血塗れの新沼に、客は大きな悲鳴を上げながら出口へと駆けていく。
新沼「はぁ...。」
新沼(ちょっと歩いてセリフ言うだけだけど、まさか、こんなにも疲労するとは...。驚かす側って、思った以上に疲れるんだなぁ...。もうちょっとしたら交代だし、頑張ろ...。)
新沼(というか、さっきから全然客の列が途切れないんだけど、どうなってるの...?少しでいいから休ませてほしい...。お化け屋敷なんて来る人そんないないと思ったから一票入れたのに、まさかこんなに来るなんて...しんどい、疲れた...。)
「いや~ん!暗~い!怖~い!」
新沼(さらに、来るやつ来るやつバカップルばっかりだから、さらに疲労度が増すばかり...。いい加減にしてほしーーー)
新沼「...ん?」
聞き覚えのある声に、新沼はジッと声の主へと目を凝らす。視線の先で、懐中電灯を持つ男性の腕にギュッと身体を寄せる見慣れた人物ーーー張間 彩香の姿。
張間「あれ~?傑先輩、めちゃくちゃ震えてませんかぁ~?もしかして、怖いんですかぁ~?」
間宮「いや、だって...さすがに暗すぎない、これ...?」
張間「確かに。懐中電灯ないと、何にも見えないですよね。おっ、なにかありますよ傑先輩!」
間宮「何か書いてあるね...。なんでこんな、おどろおどろしい書き方するんだよ...?」
大賀「...張間じゃん。あいつ、あの先輩と付き合ってんのか?」
綾小路「ぐぬぬぬ...!憎き間宮 傑め...!この僕の前に、のこのこと現れやがって...!というか、咲ちゃんという超絶可愛い女の子がいるというのに、他の女の子とイチャイチャベタベタするなんて、断じて許せん...!!」
大賀「ん?あの先輩、新沼と付き合ってんのか?」
綾小路「違ーーう!付き合っていない!!そんなの僕が許しはしない!!」
大賀「バカ!デケェ声出すな!バレんだろうが!! ほら、さっさと仕事すんぞ。」
綾小路(間宮 傑め...貴様の魂胆は丸見えだぞ...!お化け屋敷をスマートに突破し、咲ちゃんにカッコいいところを見せようというんだろ...!そんなこと、絶対にさせやしない...!このベタベタスライムを貴様にぶつけて驚かせて、咲ちゃんに「間宮先輩、そんな情けない声出すんですね。幻滅しました。」って言わせてやるぅぅぅ!!覚悟しろ、間宮 傑ぅぅぅ!!)
間宮「うひぃぃ!?」
張間「びっくりしたぁ!なんですか、急に!?」
間宮「く、くくくく首になんか当たった!首に!」
張間「首に?どうせ、こんにゃくが当たったとかそんなんでしょ?それくらいで変な声出しちゃうなんて、傑先輩は可愛いんだかぁばぶぅ!?!?」
間宮「な、なにごと!?」
張間「お、お腹が...お腹がぁぁ...!!」
間宮「お、お腹にこんにゃくでも当たったの...?」
張間「こんにゃくなんて可愛いもんじゃない...!殴られた...!誰かが私の腹を思い切り殴りやがった...!!」
綾小路「...大賀くん、さすがにやりすぎじゃ...?」
大賀「俺じゃねぇよ!あいつらの後ろにいる俺が、どうやって張間の腹にぶつけろと!?」
綾小路「た、確かに、そう言われると...。じゃあ、一体誰が...?」
「うふふふふ...!」
綾小路・大賀「ん?」
間宮「え!?わ、笑い声が...!?」
張間「怖っ!流れてるBGMとマッチしてて、ちょー怖い!!やりすぎだよ、これ!」
「嬉しいな嬉しいな...!私、とっても嬉しいな...!かっこいいお兄ちゃんと、可愛いお姉ちゃんが遊びに来てくれて、私とっても嬉しいな...!」
間宮・張間「ひぃぃ!?」
大賀「...なぁ、綾小路?」
綾小路「な、なに?」
大賀「あんなセリフ言うやつ、いたっけ...?」
綾小路「いや、いなかったはず...。あの声は、咲ちゃんだと思うんだけど...咲ちゃんは、アドリブとかするような人じゃないと思う...。」
大賀「じゃあ、一体誰が...?」
張間「逃げましょう!傑先輩、今すぐに逃げましょう!」
間宮「こっち!出口こっち!」
張間「こんなところに長居したら、どうなるこっちゃわかったもん...じゃぁぁぁぁ!?!?」
間宮「こ、こここ今度はなにさ!?」
張間「あ、足を!?誰かが私の両足を掴んでいらっしゃる!?」
間宮「嘘でしょ!?そんな怖いこと言わないでよ!」
張間「嘘じゃないです!傑先輩助けて!ヘルプヘルプ!!懐中電灯で早く照らして!早く!!」
間宮「無理無理無理!怖い怖い怖い!これは流石に怖いって!!」
大賀「...足掴む役なんて、いたっけ?」
綾小路「いや、いないと思う...。お客さんに触るのNGだった気が...。」
大賀「じゃあ、一体誰が...?」
綾小路「もしかして、本物の...!?」
ビビりながらも、間宮は張間の足元を照らす。
照らし出されるのは、張間の足をガッチリと掴んで顔を俯かせる、赤い着物を来た女。
新沼「うふふふ...!! 私と一緒に...あ~そ~ぼ~...!!」
間宮・張間「んぎゃぁぁぁ!?!?血塗れお化けぇぇぇ!!」
綾小路・大賀「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?!?」
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