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317話「学祭っ!1日目⭐︎③」
しおりを挟むメイド・執事喫茶をしている1-Bクラス。時刻はお昼を少し過ぎた頃ということもあり、教室内は多くのお客さんで賑わっている。
自由時間を終えた張間はメイド服へと着替え、教室内で可愛らしい笑顔をお客さんに振りまいていた。
張間「おかえりなさいませ、ご主人様~!こちらの席へどうぞ~!」
狗山「はぁ...なんで俺が、こんな格好しなきゃなんすかね...?」
北台「いつまで同じこと言ってんのよ、あんたは? いい加減諦めなって。」
狗山「はぁ...今すぐに帰りたい...。」
北台「そんな落ち込むことでもないでしょ。似合ってんだから。」
狗山「似合ってねぇっすよ...。冗談言うなっす...。」
北台「冗談じゃないわよ。ってか、あんたいつまでカーテンの裏にいる気よ?」
狗山「自分の持ち時間が終わるまでっす。」
北台「働け。さっさと出てこないと、うるさいのにギャーギャー言われるわよ?」
張間「おいこら、そこぉ!なーにサボってんじゃい!キビキビ働かんかい!キビキビと!」
北台「ほーら、怒られた。はい、さっさと出てくる。」
狗山「はぁ...早く終わんねぇかなぁ...?」
張間「あなたたちねぇ、元気がないよ!元気が!!そんなのじゃ、お客さんは全然喜んでくれやしないよ!元気よく挨拶は、基本よ!基本! はい、北台ちゃんから!元気よく!」
北台「おかえりなさいませー。」
張間「全然ダメ!ませー。ってなにさ、ませー。って!もっと元気よく! 次、羽和ちゃん!」
狗山「い、いらっしゃいませー...。」
張間「違ーーう!挨拶からまず違う!いらっしゃいませじゃなくて、お帰りなさいませ!あなたは何度言えばわかるの!?」
狗山「す、すいませんっす...。」
北台「いや、そもそもなによ、これは?新人研修みたいになってんじゃないの。お客さんいる前で恥ずかしいことさせないでくれる?」
張間「もぉ、全然ダメ!あなたたち、ダメダメのダメよ! 私が見本を見せてあげる。しっかり見てなさい。」
北台「私の話を聞け。」
張間「おかえりなさいませ~!ご主人様♡」
間宮「ちゃんとメイドしてるんだね。」
新沼「二名でお願いしま~す♡」
張間「おかえりくださいませ~♡お出口は、あちらでございま~す♡」
新沼「えぇ~そんな酷いこと言わないでよ~。私たち、友達でしょ♡」
張間「咲ちゃん咲ちゃん、傑先輩と近すぎじゃない?近すぎだよね?そんな近づいてたら、傑先輩困っちゃうでしょ?早く離れなさいよ。」
新沼「私も、近すぎるって思ってるんだけど...これくらいの距離でいないと、私ナンパされちゃうから...。」
張間「安心しなさい、咲ちゃんや。世の男たちは、皆賢い生き物なんです。だから、皆あなたの内面に気づき、誰も近づきゃしませんよ。」
新沼「それ、どういう意味~?咲、わかんな~い。」
張間「なーにかわい子ぶってんだ!!自分のこと名前で呼ぶキャラじゃないでしょうが!!やめんか、気持ち悪い!!」
間宮「張間さん、僕らどこ座ればいいの?後ろにまだお客さんいるから、早く教えてほしいんだけど。」
新沼「そうよ、早くして。」
張間「この...!あとで覚えておれよ、貴様...!! こ、こちらへどうぞーー!」
新沼「は~い♡」
北台「...なに、あれ?」
狗山「気にしない方がいいっすよ...。」
北台「そう?んじゃ、私料理運んでくるわ。」
狗山「いってら~。」
張間「では、ご注文をお伺いいたします!傑先輩、何にしますか!?」
間宮「ん~...オムライスにしようかな?」
張間「かしこまりました!咲ちゃんは、ドッグフードでいいよね?」
新沼「喧嘩売ってるのかな、彩香ちゃん?」
張間「当店、そのような商品は売ってませんので、別のものをお選びくださ~い!」
新沼「うふふ...!彩香ちゃん、あとで体育館裏に来てね♡」
狗山「あーあー...またなんかしてるっすよ...。」
関「やれやれ、日に日にヒートアップしてる気がしますね、あの二人。」
狗山「ほんとっすよ...。またそのうち爆発しそうで、めちゃ怖いっす...。」
関「その時は、よろしくお願いしますね、羽和くん。」
狗山「いやいや、俺に押し付けないでくださいっす。幸先輩も、なんとかして...ん?」
関「やあやあ、こんにちわ。」
狗山「んぎゃぁぁぁぁぁ!?!?ゆ、ゆゆゆゆ幸先輩!?いつの間に!?!?」
関「ついさっきです。というか、そんなに驚くことですか?」
狗山(さ、さささ最悪だぁぁぁぁぁ!!よりにもよって、一番見られたくない人に見られてしまったぁぁぁぁぁ!!無理無理無理無理、今すぐに逃げたい!!穴があったら全力で飛び込みたいぃぃぃぃぃ!!こんなの、絶対に似合ってないって思われてるっすぅぅぅぅ!!)
関「結局着たんですね、メイド服。あなたのことですから、最後の最後まで抵抗すると思ってましたよ~。」
狗山(ぎぃやぁぁぁぁ!?もうやめてくれぇぇぇぇ!!服の話は、もうやめてーーー)
関「いやしかし、可愛くてとても似合ってますよ、羽和くん。皆が着せたがる理由も、よくわかりますよ。」
狗山「......はい?」
関「ん?どうしました?」
狗山「か、か、可愛い...?」
関「はい。可愛くてお似合いですよ。」
狗山「か...か、かかかかかか、かわ...かわい...!?!?」
目を見開き、顔を真っ赤に染め上げた狗山は、そのまま動くことなく背中から床へと倒れ込む。
張間「えぇぇぇ!?ちょっ、羽和ちゃぁぁぁん!?」
北台「あんた、なにしてんの!?大丈夫!?」
狗山「か、かかかかか...かわ...!?」
関(これから、羽和くんへの発言は気をつけなければですねぇ。)
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