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325話「学祭っ!2日目⭐︎〜後編〜②」
しおりを挟む舞台の本番が近づいてきている2-Aのメンツは、空き教室に準備していた小道具やらを体育館へと運んだり、役者の着替えの準備を手伝ったり、皆が慌ただしく動き回っている。
舞台の主役を演じる間宮は、ガクガクと大きく手を振るわせながら台本を見つめ、何度も何度も自分のセリフの確認を行っていた。
間宮「ち、近づいてくる...本番が、少しずつ...!ど、どうしよう...ど、どうしよう...!?」
山本「おい、間宮~?間宮く~ん?」
間宮「は、はい!?なんですか!?」
山本「いや、なんですか!?じゃなくて...緊張しすぎだろ、お前。」
鹿野兎「だ、大丈夫...?」
泉「心配しすぎだって、間宮くん!」
間宮「す、すごいな...なんでみんな、そんな余裕そうなの...?」
山本「俺たちがすごいんじゃなくて、お前が緊張しすぎなんだっての。」
鹿野兎「私は、集会とかで司会進行とかたまにやるから。生徒会だし。だから、ちょっと慣れてるのかも?」
泉「部活の試合とかで、緊張する場面何度か経験してるからかな~?」
山本「それはあるかもな。」
間宮「そ、そうか...。そう考えると、探偵部ってそんな緊張する場面ないし...。やっぱり慣れなんだね、こういうのーーー」
あははと軽く笑いながら、間宮は山本へと視線を向ける。何事もなかったかのようにヘラヘラと笑う山本だったがーーー彼の足は、何重にも見えるほどに大きく横に横にと震えていた。
間宮「...山本くん。」
山本「ん?なんだよ?」
間宮「いや、なんだよじゃなくて...足、大丈夫?」
山本「は?足?別になんともないだろ?」
間宮「あるよ!なんともあるよ!めちゃくちゃ震えてるじゃん!めちゃくちゃ緊張してるじゃん!人のこと言えないじゃん!」
鹿野兎「やめてぇ!これ以上、緊張という言葉を口にしないでぇぇ!わ、私はできる!私はできる!できるできるできるできる......って、思いたいけど、本当にできるのかな...?あぁ...どうして私は、やるって言っちゃったんだろ...?いつもいつも、誰かに流されて自分の意見を...本当にダメな女だ、私は...。」
泉「り、凛ちゃん、落ち着いて!こういう時は、手のひらに人って字を書いて飲み込めば...って、あれ?人、ひと、ひと......ひとって、どう書くんだっけ?あれ?あれれ?」
山本「おい、やめろぉぉぉ!不安が伝染するだろうがぁぁぁぁ!!誰も喋るな、動くな、息をするなぁぁぁぁ!!」
間宮「みんなめちゃくちゃに緊張してんじゃん!僕と同じか、それ以上じゃん!!よくさっき強がれたな!?」
山本「は、はいぃぃ!?な、何言ってんだ、お前は!?俺は別に緊張なんてーーー」
泉「ひと、ひと...あれ?ひとって、なに?そもそも、どうして人という生き物は存在しているの?この地は、どうやって生まれたの?星は、どうして?宇宙は、どこまで?」
鹿野兎「い、泉さぁぁぁん!戻ってきてぇぇぇぇ!お願いだから、戻ってきてぇぇぇぇ!」
間宮「ふっ...ふふふ...!」
山本「おい間宮、何笑ってんだ!?」
間宮「いや、その...緊張してるの、僕だけじゃないんだなぁって思ったら、なんか安心して。僕、一人じゃないんだって。」
山本「何当たり前のこと言ってんだよ?お前には、俺たちがいるだろうが。」
鹿野兎「そ、そうだよ、間宮くん!間宮くんには、私たちが居て、私たちには間宮くんがいる!だから、大丈夫大丈夫大丈夫...!」
泉「そうそう、なんとかなるって~!」
山本「いつの間に帰ってきたんだ、お前は...?」
泉「ん?私、ずっとここに居たけど?」
鹿野兎「記憶が飛んでいらっしゃる...。」
間宮「ねぇ、本番までもうちょっと時間あるし、みんなで合わせない?」
山本「おっ、いいぜ!俺たち四人でいる時多いもんな!」
鹿野兎「わ、私も、ギリギリまで練習したいです...!」
泉「いいねいいね、やろやろ~!」
間宮(不思議だ。さっきまですごく緊張してたのに、一人じゃないって思ったら、震えが止まった。たぶん...いや、みんなとなら、絶対に...!)
山本「で、どこからやる?」
泉「初めからでいいんじゃない?犬と出会うところからで。」
鹿野兎「わ、わかった。間宮くん、私はいつでも大丈夫だよ。」
間宮「うん、僕も大丈夫!じゃあ、やろう!」
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