なんでも探偵部!

きとまるまる

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328話「終わりはいつか必ず来る②」

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 挑発にまんまと引っかかった牛寅は、眉間にシワを寄せながら黄島たちの案内に従い、とある教室の前へとやってくる。


黄島「着いた着いた。」

青海「ここだよ。ここ、ここ。」

牛寅「ここにあいつがいるのね...!とりあえず、出会いがしらに一発殴る...!」

黄島「カカ・ワーリ様は、ここにはいないよ。」

青海「ここをクリアしたら、次のステージに進めるよ。どんどん進んだ先に、いるよ。」

牛寅「はぁ!?そんなめんどくさいことできるか!さっさとやつの居場所を吐け!!さぁ、早く!!」

猪山「灯、少し落ち着け。そんな荒れてる状態では、冷静に物事を判断できなくなるぞ。」

牛寅「そ、そうですね...すみません、落ち着きます...。というか、会長は先に戻っていてもいいですよ。カバン取られてるの、私だけですし。会長がこんなめんどくさいことに付き合う理由なんてーーー」

猪山「そんな寂しいことを言うな。俺たちは、長々と共に支え合ってきた仲だろ。お前には、助けられたことも多い。今は、俺がお前を助ける番だ。」

牛寅「か、会長...!ありがとうございます...!」

黄島「イチャイチャしてるね、ウミ。」

青海「ね、ソラ。すごくイチャイチャしてるよ。」

黄島「イチャイチャだ。」

青海「イチャイチャ。」

牛寅「おいこら、そこぉぉぉぉ!!な、なななな何言ってんのよ!?別に会長と私は、そんな関係じゃないし!!というか、イチャイチャなんてしとらんわ!!変なことを言うな!アホ!バカ!ボケ! さ、さぁ会長、こんなやつらは無視して、中に入りましょう!!」


 牛寅は勢いよく扉を開ける。教室内には、数名の男子生徒ーーーワックスで髪の毛をツンツンに逆立て、シャツのボタンを豪快に開け衣服を乱して着ている元野球部メンツは、一目でおもちゃだとわかる拳銃やナイフを手に、ヘラヘラと笑っていた。


福川「ひゃっは~!気分は最高潮だぜ~!」

鶴森「ん~?おいおい、お前ら誰だよ?」

菊谷「ここは俺たち「夜灸武やきゅうぶ」の教室だって知ってて入ってきてんのかぁ!?」

今本「なにジロジロ見とんじゃごらぁ!」

猪山「...なんだ、これは?」

牛寅「あんたたち、そんなことしてて恥ずかしくないの...?」

福川「恥ずかしいわけねぇだろうがよ!こちとら、生まれた時からこの通りじゃ!」

鶴森「ずいぶんと強気なねぇちゃんだなぁ~!まぁ、嫌いじゃねぇぜ~!」

菊谷「そんなダセェ男よりも、俺たちと遊ばねぇかぁ~?ひゃっはっは!」

今本「俺たちと遊んだ方が...あ、あそ...ん、んふふふ...!!」

三人「笑ってんじゃねぇぞ、てめぇぇぇ!!」

今本「もう無理...耐えられないって、これは...!お前ら、おもろすぎ...!!」

福川「やめろぉぉぉぉ!てめぇが笑うことにより、奥底にしまいこんだ羞恥心が飛び出してくんだろうがぁぁぁ!」

鶴森「誰がこんなこと好き好んでやるかってんだよ!!頼まれたから仕方なくだよ!!」

菊谷「ジロジロ見てんじゃねぇぞ!恥ずかしいだろうが、ゴラァァ!!」

猪山「一体なんなんだ、これは?」

牛寅「さぁ...?で、ここでなにすんのよ?」

黄島「ここでは、彼らとクイズで勝負してもらうよ。」

青海「クイズだよ、クイズ。」

牛寅「クイズで勝負!?あいつらのあの見た目で、クイズ勝負なの!?もっと他のことがあるでしょうに!!」

鈴田「んじゃ、こっからは俺が進行するぞ。今から夜灸武チーム対生徒会チームで、クイズ対決します。三本勝負、先に二本先取したチームの勝ちです。解答権は、挙手が早かった方。不正解だった場合、その問題の解答権は無くなります。」

猪山「特になんの捻りもないクイズ対決だな。」

牛寅「まぁ、どんな勝負だろうと、負ける気はないけどね。」

福川「よっしゃ!やってやるぜ!」

鶴森「俺たちの凄さ、見せつけてやるよ!」

菊谷「絶対に、勝ーーつ!!」

今本「んふふふ...!んひひひ...!」

三人「いつまで笑ってんだ、お前は!?」

鈴田「始めるぞ。第一問「今年のプロ野球で、完全試合を達成したーーー」

福川「はいっ!!」

鈴田「夜灸武チーム。」

福川「佐々山 虎之助!!」

鈴田「違います。問題は最後まで聞いてください。」

福川「嘘だろ、おい!?」

鶴森「なにやってんだ、てめぇは!?」

菊谷「解答権無くなっちまっただろうが!!」

福川「お、落ち着け、お前ら!これは、野球の問題だ!あいつらがわかるわけーーー」

猪山「はい。」

福川「えぇ!?嘘だろ!?」

鈴田「最後まで聞かなくてもいいのか?あいつらに解答権は無いんだぞ?」

猪山「これくらいの問題なら、最後まで聞かなくてもわかる。」

鈴田「では、どうぞ。」

猪山「村下 拓也。」

鈴田「...正解っ!!」

鶴森「はいぃぃぃぃ!?」

菊谷「お前、なんで最後まで聞いてないのにわかるんだよ!?チートだ、チート!お前ら、組んでるだろ!?」

猪山「今年のプロ野球で、完全試合と並べても見劣りしない記録といえば、三冠王くらいだろう。そうでなければ、問題が釣り合わん。」

鶴森「ぐっ...!ちくしょうがぁぁ...!」

菊谷「最後まで聞いてないところが、また腹立つぅぅぅ...!」

福川「できる男ですけど?みたいにメガネあげるところ、ムカつくぅぅぅ...!」

牛寅「会長、野球の問題なのによくわかりましたね。」

猪山「これくらいならば、ニュースを見ていればわかるものだ。」

牛寅(会長、かっこいい...!)

鈴田「では、次の問題です。」

鈴田「「雲 雲 龍 雲 龍 龍」これ、なんと読む?」

福川「...は?どういうこと?」

鶴森「そのまま読めばいいんじゃね?」

菊谷「んなわけあるか!!と、言いたいけど、難しく思わせといてそのまま読めばいいだけとかいうオチの可能性も、否定できない!」

牛寅「はい。」

鈴田「生徒会チーム。」

牛寅「たいと。」

鈴田「ファイナルアンサー?」

牛寅「ファイナルアンサー。」

福川「嘘だろ、おい...!」

鶴森「待て、落ち着け!あの答えで合ってるわけないだろ!なんだよ、たいとって?」

菊谷「今のうちに頭を捻れ!考えろ!」

鈴田「......!」

牛寅「そういう間、いらないから。自信あるから。さっさと答え言って。」

鈴田「...正解っ!生徒会チームの勝利!」

福川「なんでだぁぁぁぁ!?」

鶴森「もう終わったぁぁぁぁ!!」

菊谷「つーか、たいとってなんだよ!?何をどうすれば、あれをたいとって読むんだよ!?」

牛寅「雲と龍を三つずつ書いて、たいとって読む漢字があるのよ。というか、なんで知らないの?常識でしょ、これ。」

三人「どこの常識だ、それ!?」

黄島「お前たち、カカ・ワーリ様からお話があるそうだ。画面を見ろ。」

関「みなさん、お疲れ様でした。」

福川「カ、カカ・ワーリ様...!」

鶴森「申し訳ございません!申し訳ございません!」

菊谷「どうか、お許しを!」

関「謝らないでください。頭を上げなさい。あなたたちは、何一つ悪くありません。」

福川「カカ・ワーリ様...!」

鶴森「我々を許してくださるのですか...!?」

菊谷「何もできなかった、私たちを...!?」

関「許すも何も、先ほど言ったじゃないですか。あなたたちは何も悪くありません。今回の件は...君たちに期待していた私が愚かだった。ただ、それだけです。」

三人「...は?」

関「どうして私は君たちを信用していたのでしょうか...?この結果は、分かりきっていたというのに...。そうです、これは私のミス...君たちではない、君たちを信じていた私のミス...本当に申し訳ない。」

福川「なんだと、てめぇぇぇぇ!!」

鶴森「ふざけんじゃねぇぞ、ごらぁぁぁ!!」

菊谷「下手にでてりゃ調子乗りやがって!舐めてんじゃねぇぞぉぉ!!」

関「騒ぐな、負け犬ども!負け犬臭が感染るではないか!早くテレビ通話を消せ!」

黄島「かしこまりました。」

福川「待てや、ゴラァァァ!!」

鶴森「てめぇ、今どこいんだ!?一発ぶん殴らせろぉぉぉ!」

菊谷「探せぇぇぇ!どんな手を使っても、やつを見つけだせぇぇぇ!そして、一発...いや、何発もぶん殴るぞ!!」

福川「どこだ、関ぃぃぃ!!」

鶴森「とっとと出てこいやぁぁぁ!!」

菊谷「お前だけは、許さねぇぇぇぇ!!」

青海「あらあら、行っちゃった。」

黄島「騒がしい人たちだね。」

猪山「で、次はどうするんだ?」

牛寅「残った二人とまたクイズすればいいの?負ける気しないわよ?」

黄島「クイズはもういいよ。」

青海「次に行こう。次。」

今本「あいつら、ほんと...マジで面白いわ...!ふ、ふふふふ...!」

猪山「今本、お前はいつまで笑っているんだ?」

牛寅「会長、放っといて次行きましょ。」
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