【完】グランディール学院の秘密

伊藤クロエ

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「まだ足りないようですね」
 そう言われてアリスティドは唇を噛みしめる。
「……随分と、貪欲な人だ」
 その低く擦れたような声を「黙れ」「もうお前は必要ない」と跳ね付けられればどんなにすっきりするだろうか。だがつい先ほどまで内腿に触れていた唇がそろそろと這い上がって来て、今まで散々太くて節立った指にぬるぬると愛撫され続けて疼くソコをあたたかくざらついた肉厚な舌が縁を広げて中へ潜り込んでくるのを、アリスティドはどうしても拒むことができなかった。
「……っあ、あう、んっ、ひうっ」
 ぬちゅぬちゅと抽挿を繰り返す舌と指が、またアリスティドの身体に火を点ける。
 自分よりも遥かに大きくて重い身体に覆いかぶさられて後ろから延々と愛撫されながら、アリスティドはふとベッドの前の壁を見つめた。その壁の向こうは8号室。アリスティドと同じアードラー寮の監督生のテオと二学年下のアルフがいる部屋だ。
(……もし彼らが、私がこの部屋で何をしているのか、知ったら)
 一体なんと思われることだろうか。
 伝統あるこの王立グランディール学院始まって以来の俊英だ、栄えある筆頭監督生だと持ち上げられながら、その実こんな恥ずかしい恰好であらぬ場所を弄られてたまらなく感じてしまっている。しかも、自分より年下の、――――に。
「っふ、あ、あう、っひ」
 枕に敷いたタオルを唾液で濡らし零れ続ける喘ぎはとても男のものとは思えないほど甘く、いやらしい。
(ああ、いやだ、いやだ)
 指が白くなるほど強く敷布を握りしめてアリスティドは頭の中で繰り返す。
(はずかしい、きもちいい、たまらない)
「ココ、お好きですよね」
 突然増やされた指の腹で、夜ごと愛撫されて続けてぽってりと腫れたナカのしこりを強く押されて思わず悲鳴を呑み込んだ。
「ひっ! あ、いやだ、ソコ、あ」
「イヤじゃないでしょう」
「だめ、あ、あ」
 ナカを掻きまわす指とガチガチに勃起したモノを愛撫する手の両方に激しく責め立てられる。そして背後から伸し掛かってきた大きな身体をぴったりと背中に押し付けられ、太く擦れた声で囁かれた。
「…………好きなくせに」
「や、ぁ゛、あ゛うぅ~~~~~~~~ッツ!!」
 すでにアリスティドの身体を知り尽くしたその指にこの夜二度目の絶頂を味合わされて、アリスティドは浮かぶ涙を必死に隠しながらビクビクと痙攣して果てた。
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