鋼鉄少女王 タイタンメイデン

鳳たかし

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第五話

猛烈!ニュートゥ立つ! その4

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 ニュートゥは付近で最も高いビルの屋上に降り立つと周囲に目を配り、
人の目がないことを確認つつ、星の瞬く空を仰ぎみた。

「ここらへんでいいか……」

ニュートゥが呟くと晴れた星空がゆがみ霞んでいく。
すると、そこに巨大で奇妙な物体が出現した。
剣のように鋭く輝く機首に、研ぎ澄まされた刃のような翼をもつ蒼い飛行物体、
それはすなわち高速移動形態に変形したタイタンメイデン・タオの本体であった。
そしてその上にニュートゥの本体である巨人タイタンニュートゥが脚をそろえて穏やかに腰掛けるように座っている。
高度な光学迷彩機能を使っているため、分体マキナニュートゥと分体マキナタオしかその姿を見ることは出来ないが、
月の光を背に受け、夜の街の輝きを照り返しながら音もなく浮かぶその巨体を人間が目にすることが出来たなら、
それはまるで絵画のような荘厳ささえ感じさせただろう。

「ちょい待ち!ニュートゥ!ホムラの奴がなんか映像を投稿してるぞ」

プレートを取り出し操作するタオ。

「ん?」

ニュートゥもスマホを取り出し、SNSを開く。
そこに表示されているのは数秒の短い映像であった。

「こ、これは!?……って、なんだこれ?」

画面に表示された画像を見てタオが困惑し、声を上げる。

「いや、マジでなんだこの映像?女のパンツ?スカートの中か、これ?」

「うむ、その通りだな」

淡々とした口調のニュートゥに比べ、声を荒げているタオからは、その混乱っぷりが見て取れた。

「はぁ!?なんでそんなもん撮ってんだ?あいつは!意味わかんねぇぞ!」

「いや、タオよ、映像をよく見てみろ。気づくことがあるだろう?」

「気づくことって……え~と、女の下半身が映っていて……この女、妙に肉付きがいいな。
 いわゆる『むっちむち体形』というやつだな。それがなんかあるのか?」

「いや、そこではない。もっとよく観ろ」

「あとは、そうだな……下着の装飾が無駄に多く、面積が小さすぎるな……
 いわゆるパンティーってやつか!ちょっと透けてるし!」

ちなみにタオは、エロい下着=パンティーと呼称する、と勘違いしているようだったが
ニュートゥはあえてそこには触れず、話を続ける。

「いや、それも得られる情報の一つだが、今観るべきところはそこではない」

「ん~?他には……はっ!?布地の一部が股間に食い込んでいるが、もしやそれに何かあるのか!?」

「いや、違う。ディテールではない。カラーだ。
 下着の色、色に注意して観てみろ」

「白だろ?だがそれ以外変わったところは特に見当たらんが?」

「もっとよく観察しろ。ところどころ赤や緑の光の照り返しがあるだろう?」

「ん?ああ、確かにな。だがそれがなんだってんだ?」

「そいつはホムラのチェックランプの照り返しだ。点滅パターンが一致する。
 そしてチェックランプは通常、
 メンテナンスカバーを開いたところにあるのは知っているな?」

「だからそれが何だってんだよ。もったいぶらずに教えろや!」

ニュートゥは軽くため息をついた後、タオに説明をし始める。

「ホムラが人間の前でメンテナンスカバーを開くことはない。
 という事はそれは無理やりこじ開けられたという事になる。
 さらに、その光が白い下着に映りこんでいる、となると
 この女はホムラを地面に押さえつけて座り込んでいるのだろう。
 そんなことは人間には不可能だ。
 だがこの女はホムラを行動不能状態にし、メンテナンスカバーを容易く開いた、
 という事は……」

「そうか!つまりこいつは敵エージェントの分体の映像って事か!」

「その可能性が高いな」

「なんてこった!すぐに引き返してホムラを助けないと!」

「いや、その必要はない」

「見殺しにするってのか!?」

「見殺し?あれはただの道具だぞ?」

さも当然、と言った面持ちで答えるニュートゥに対し、
タオは納得がいかず、反論しようとする。

「ただの、ってお前……」

だが、ニュートゥはタオの反論を待たずにさらに言葉を続けた。

「それにこれは想定の範囲内の事。いや、むしろそのためにアレを置いてきたのだ」

「つまり……囮って事か?」

タオの表情が曇る。

「そうだ。私は、確信はなかったが何者かがわれらの様子を監視している気配を感じていた。
 だがいちいちそれを確認してる暇はない。今は朝日台に急行したいからな。
 我らの朝日台到着が遅れれば遅れるほど、メガミオンはその痕跡を消していくだろう」

「…………」

「ゆえに、あえてアレを残していけば監視者の目を引き付けられる、
 と思ったのだが、正解だったようだ。
 結果、監視者の存在が明白になり、我らはこうして朝日台に急ぐことが出来ている」

ニュートゥのいう事は理解できる。
しかしホムラには感情がある。タオはそれを簡単に切り捨てることが出来ず、
何とかニュートゥの考えを変えようと、言い訳を始めた。

「いや、しかし……
 そ、そうだ!ホムラが敵の手に渡っちまったら、そこからこっちの情報が洩れるかも知んねーだろ!
 やっぱ助けにいこーぜ!」

しかし、ニュートゥから帰ってきた言葉は事務的な一言。

「安心しろ。それに関しても対策済みだ」

「いや、俺が心配してんのはだな……」

さらに食い下がろうとするタオにニュートゥが逆に問いかけてきた。

「タオよ、お前、大丈夫か?」

「なにが?」

「道具に感情移入するなんて、まるで地球人のようだぞ?もしや、ウーの悪影響か?」

ニュートゥがウーの名前を出した途端、タオが感情的になる。

「な!?何んでここでウーが出てくんだよ!」

「お前はウーの教育係に決まってからどうも『人間味』が大きくなってきているように思えてならないのだが…
 もしそうなら、私よりお前がヨミに調べてもらった方がいい。任務に影響が出る前にな」

「はぁ!?」

「場合によっては、お前にはウーの教育係を降りてもらうことになるだろうが……」

「え!?い、いやそれは、なんだ、その……」

ニュートゥが最後に放った言葉に、タオは動揺を隠せない。

「ああ!もう!わかったよ!お前の言う通りにするから!」

それを悟られぬようにタオは話を無理やり切り上げると、いそいで自身の本体へとジャンプした。
ニュートゥもそれに続き自身の本体へと飛び上がる。

タイタン・タオの本体の一部が開き、
人ひとりが入れるぐらいのスペースが開くとマキナ・タオがそこに入り込んでいく。

「ヨミには言うなよ」

一言ニュートゥに告げると、タオは本体のハッチを閉めその中へと姿を隠す。

「……

冷めた目でタオを見ていたニュートゥが小声でつぶやくと、
身をひるがえし、自分の本体の下腹部へと入り込んでいった。






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