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第五話
猛烈!ニュートゥ立つ! その9
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ニュートゥの行動は自分を誘き出す為のもの、というガミオンの指摘は当たっていた。
だが、タケシへの忠告が一瞬遅れた為、
下された命令にタイタンマンが動き出そうとした事をニュートは見逃さなかった。
今の従者の動き……あれは明らかに目的を持った行動だった。
やはり私の読みは正しい。
この現場のどこかに潜んだメガミオンの分体が、確実に私の動きを監視している!
このままさらにあおって誘き出してやる!
ニュートゥはそう思うとそのまま校庭に向かって歩き続けた。
「蒼い巨人、こちらに向かって移動を開始しました!すぐに非難を開始してください!!」
拡声器で呼びかける自衛官の声が周囲に響く。
新たに現れた巨人が校舎の影から現れるのを見た人々の中からも叫び声が上がった。
「こっちへ来るぞ!!」
「に、逃げた方がいいんじゃないか!?」
「緊急です!!早く非難してください!!」
「オラー!!マスコミども!撮っとる場合かァー!!」
広がる喧騒に焦りつつも、自衛官達は明確な敵対的行動をとっていないニュートゥを攻撃することは出来ない。
とはいえ、このままただ見ていることも正しい選択とは言えないだろう。
ニュートゥの行動に警戒した数人の自衛官がその後を追って走り出すが、
人間の足では広い歩幅を持つ巨大なニュートゥのゆっくりした歩みにさえ追いつくことは難しかった。
「コイツ、一体、何をするつもりだ!?」
迫りくる巨人の迫力に、さすがに校門に押しかけていたマスコミの間にも動揺が走る。
だが、何かに反応したニュートゥは突如として進行方向を変えると、中央から大きく離れた校庭の左側へと走り出した。
叩きつけられる足が地面を揺らし、砂埃が巻き上がる。
「うわあああああ!!」
迫りくる巨人に踏まれる事を覚悟した自衛官の頭上を巨大な足が通過していった。
慎重にニュートゥを観察していた乙女が呟く。
「なんだ?あいつ何か見つけたみたいだぞ!?」
乙女はニュートゥの進む先に目をやる。
そこには主に運動部が使う用具を保管するコンクリート造りの小屋があった。
「あの用具小屋に向かってる?なんでだ?」
「む!?タケシ!用具小屋の影に民間人がいる!」
「なんだって!?」
ガミオンの指摘に乙女が目を凝らすと、確かに人影が確認できる。
人影は慌てて身を隠そうとしたが、一瞬のうちに用具小屋まで到達したニュートゥが小屋の影へと手を伸ばし、
人影を握りしめ引っ張り上げてしまう。
「キャーーーーーーー!!」
校庭に響き渡る少女の悲鳴。
ニュートゥが手にしたのは人間の少女であった。
「捕まえたぞ!!メガミオン!!」
高揚して制限を超えたニュートゥの叫ぶ声が乙女の脳裏にも響き渡る。
「ええ!?」
驚愕した乙女は思わず身を乗り出し目を凝らした。
「あ……あれは、田中さん!?」
少女の顔を見て乙女が呟くとガミオンが更に問いかける。
「君の知り合いか?」
「うん、知り合いってゆーか、クラスメート。キョーコの親友さんだよ!」
「それが何故あんなところに?」
「多分、裏手の業者用出入り口から忍び込んだんだろうけど……」
用具小屋のそばには用具手入れ用の洗い場が設置されている。
その為、裏手のフェンスには配管点検用の業者向け出入口があるのだが、
それは隣接する林の影に隠れているため死角となり、関係者しか知らない。
タケシを含む一部の生徒は遅刻しそうな時に密かにそれを利用していたりするのだが、彼女はそこから校庭に忍び込んだのだろう。
更に悪いことに、事件後に自衛隊がフェンスに沿って学校周辺に設置した安全合板も、その部分はくりぬかれて出入りは可能なままだった。
自衛隊の丁寧な仕事が今回ばかりは裏目に出てしまったと言えるだろう。
更によく様子を観察した乙女はニュートゥの足元にスマートフォンが落ちていることに気づく。
「そういや田中さん、ニューチューブで動画配信してるって言ってたけど、まさか!?」
現在、朝日台周辺はタイタンマンのマルチジャマーの影響化にある為、
動画サイトの生配信は疎か、テレビの中継さえ出来ない状態だが、サチエは映像を録画し後ほど公開しようとしたのだろう。
落としたスマートフォンが持ち主の手を離れた状態になっても、虚しく録画を続けていた。
「うむ、どうやらそうらしいな。落としたスマートフォンが録画中になっている。
隠れて密かにレンズを向けるその行動が、ニュートゥに私だと勘違いされてしまったのだろう」
「うぇ~、何考えてるんだよ~!下手すりゃ大変な目に合うかもしれないんだぞ~!」
「いや、この場合、すでにあっている、が適切だろう」
「って、そんなこと言ってる場合じゃないよ!早く助けないと!」
乙女は窓から身を乗り出し、大蛇のような物体に絡めとられているタイタンマンを見る。
「タイタンマン!フルパワーでそいつを何とか振り解くんだ!」
「「「ウォッス!!」」」
乙女の命令に答えたタイタンマンが全身に力を籠めると、
絡みついた物体がミシミシと音を立て軋む。
「いける!」
乙女がそう思った瞬間、絡みついた物体の表面に光のラインが輝くとタイタンマンの体が激しく痙攣した。
「!?」
驚愕する乙女の前でタイタンマンの目から光が消え、動きを止める。
「どうした!?タイタンマン!」
「まずいぞ、タケシよ。どうやらあのユニットには従者の機能をマヒさせる能力があるらしい」
「そんな……タイタンマンが使えないなら、一体どうしたらいいんだ!?」
ニュートゥに対抗する手段を失った乙女が慌てふためく一方、
校庭では、巨大な手の中で恐怖のあまり硬直する少女『田中サチエ』を、ニュートゥが睨みつける。
「無駄だ!メガミオン!」
ニュートゥはその手に握ったサチエに『声』を送る。
「あれは私の一部、従者ごときがあらがえるものではない!」
だが何の反応もなく只々おびえるサチエ。
それもそのはず、タイタンメイデンではないサチエの脳にはその『声』は届く事はないのだから。
「?」
そんな様子に違和感を感じたニュートゥが、サチエにゆっくりと顔を近付けてまじまじと凝視する。
間近に迫るニュートゥの巨大な目に光が走り、見据えられたサチエの感情を今まで感じたことのない
凄まじい恐怖が覆っていった。
だが、タケシへの忠告が一瞬遅れた為、
下された命令にタイタンマンが動き出そうとした事をニュートは見逃さなかった。
今の従者の動き……あれは明らかに目的を持った行動だった。
やはり私の読みは正しい。
この現場のどこかに潜んだメガミオンの分体が、確実に私の動きを監視している!
このままさらにあおって誘き出してやる!
ニュートゥはそう思うとそのまま校庭に向かって歩き続けた。
「蒼い巨人、こちらに向かって移動を開始しました!すぐに非難を開始してください!!」
拡声器で呼びかける自衛官の声が周囲に響く。
新たに現れた巨人が校舎の影から現れるのを見た人々の中からも叫び声が上がった。
「こっちへ来るぞ!!」
「に、逃げた方がいいんじゃないか!?」
「緊急です!!早く非難してください!!」
「オラー!!マスコミども!撮っとる場合かァー!!」
広がる喧騒に焦りつつも、自衛官達は明確な敵対的行動をとっていないニュートゥを攻撃することは出来ない。
とはいえ、このままただ見ていることも正しい選択とは言えないだろう。
ニュートゥの行動に警戒した数人の自衛官がその後を追って走り出すが、
人間の足では広い歩幅を持つ巨大なニュートゥのゆっくりした歩みにさえ追いつくことは難しかった。
「コイツ、一体、何をするつもりだ!?」
迫りくる巨人の迫力に、さすがに校門に押しかけていたマスコミの間にも動揺が走る。
だが、何かに反応したニュートゥは突如として進行方向を変えると、中央から大きく離れた校庭の左側へと走り出した。
叩きつけられる足が地面を揺らし、砂埃が巻き上がる。
「うわあああああ!!」
迫りくる巨人に踏まれる事を覚悟した自衛官の頭上を巨大な足が通過していった。
慎重にニュートゥを観察していた乙女が呟く。
「なんだ?あいつ何か見つけたみたいだぞ!?」
乙女はニュートゥの進む先に目をやる。
そこには主に運動部が使う用具を保管するコンクリート造りの小屋があった。
「あの用具小屋に向かってる?なんでだ?」
「む!?タケシ!用具小屋の影に民間人がいる!」
「なんだって!?」
ガミオンの指摘に乙女が目を凝らすと、確かに人影が確認できる。
人影は慌てて身を隠そうとしたが、一瞬のうちに用具小屋まで到達したニュートゥが小屋の影へと手を伸ばし、
人影を握りしめ引っ張り上げてしまう。
「キャーーーーーーー!!」
校庭に響き渡る少女の悲鳴。
ニュートゥが手にしたのは人間の少女であった。
「捕まえたぞ!!メガミオン!!」
高揚して制限を超えたニュートゥの叫ぶ声が乙女の脳裏にも響き渡る。
「ええ!?」
驚愕した乙女は思わず身を乗り出し目を凝らした。
「あ……あれは、田中さん!?」
少女の顔を見て乙女が呟くとガミオンが更に問いかける。
「君の知り合いか?」
「うん、知り合いってゆーか、クラスメート。キョーコの親友さんだよ!」
「それが何故あんなところに?」
「多分、裏手の業者用出入り口から忍び込んだんだろうけど……」
用具小屋のそばには用具手入れ用の洗い場が設置されている。
その為、裏手のフェンスには配管点検用の業者向け出入口があるのだが、
それは隣接する林の影に隠れているため死角となり、関係者しか知らない。
タケシを含む一部の生徒は遅刻しそうな時に密かにそれを利用していたりするのだが、彼女はそこから校庭に忍び込んだのだろう。
更に悪いことに、事件後に自衛隊がフェンスに沿って学校周辺に設置した安全合板も、その部分はくりぬかれて出入りは可能なままだった。
自衛隊の丁寧な仕事が今回ばかりは裏目に出てしまったと言えるだろう。
更によく様子を観察した乙女はニュートゥの足元にスマートフォンが落ちていることに気づく。
「そういや田中さん、ニューチューブで動画配信してるって言ってたけど、まさか!?」
現在、朝日台周辺はタイタンマンのマルチジャマーの影響化にある為、
動画サイトの生配信は疎か、テレビの中継さえ出来ない状態だが、サチエは映像を録画し後ほど公開しようとしたのだろう。
落としたスマートフォンが持ち主の手を離れた状態になっても、虚しく録画を続けていた。
「うむ、どうやらそうらしいな。落としたスマートフォンが録画中になっている。
隠れて密かにレンズを向けるその行動が、ニュートゥに私だと勘違いされてしまったのだろう」
「うぇ~、何考えてるんだよ~!下手すりゃ大変な目に合うかもしれないんだぞ~!」
「いや、この場合、すでにあっている、が適切だろう」
「って、そんなこと言ってる場合じゃないよ!早く助けないと!」
乙女は窓から身を乗り出し、大蛇のような物体に絡めとられているタイタンマンを見る。
「タイタンマン!フルパワーでそいつを何とか振り解くんだ!」
「「「ウォッス!!」」」
乙女の命令に答えたタイタンマンが全身に力を籠めると、
絡みついた物体がミシミシと音を立て軋む。
「いける!」
乙女がそう思った瞬間、絡みついた物体の表面に光のラインが輝くとタイタンマンの体が激しく痙攣した。
「!?」
驚愕する乙女の前でタイタンマンの目から光が消え、動きを止める。
「どうした!?タイタンマン!」
「まずいぞ、タケシよ。どうやらあのユニットには従者の機能をマヒさせる能力があるらしい」
「そんな……タイタンマンが使えないなら、一体どうしたらいいんだ!?」
ニュートゥに対抗する手段を失った乙女が慌てふためく一方、
校庭では、巨大な手の中で恐怖のあまり硬直する少女『田中サチエ』を、ニュートゥが睨みつける。
「無駄だ!メガミオン!」
ニュートゥはその手に握ったサチエに『声』を送る。
「あれは私の一部、従者ごときがあらがえるものではない!」
だが何の反応もなく只々おびえるサチエ。
それもそのはず、タイタンメイデンではないサチエの脳にはその『声』は届く事はないのだから。
「?」
そんな様子に違和感を感じたニュートゥが、サチエにゆっくりと顔を近付けてまじまじと凝視する。
間近に迫るニュートゥの巨大な目に光が走り、見据えられたサチエの感情を今まで感じたことのない
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