鋼鉄少女王 タイタンメイデン

鳳たかし

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第五話

猛烈!ニュートゥ立つ! その8

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 腰をかがめて覗き込んでいたニュートゥが肩の装甲のスリットから無数の触手を伸ばしてタイタンマンの体を隅々までまさぐる。
タイタンマンは反撃しようと藻掻くが、触手の他に体に絡みついた蛇のような物体に自由を奪われ、
立ち上がることさえ出来ないようだった。

ニュートゥはすぐに体を起こすと、触手を蠢かしながら周囲を見回し始めた。

「おい!ニュートゥ!勝手に飛び出しやがって!罠だったらどうすんだ!」

上空をステルスモードで旋回するタオの声がニュートゥの頭の中に響き渡る。
だが、ニュートゥは答えずに周囲を見回し続けた。

「ったく、シカトかよ!」

現場に到着した途端に「周囲の警戒をしろ」と言い残して朝日台高校に降下したニュートゥの行動に対し、タオは思った。
いつもなら真っ先に飛び出した自分をいさめるのはニュートゥだったはずなのに、今は逆じゃねーか!と。
しかし、すでに行動を起こしてしまったのでは仕方がない。

タオは一旦落ち着くと改めてニュートゥに問いかける。

「んで、何かわかったのか?」

「ああ。やはりコイツは遠隔操作されていた」

「は~ん。で、どうすんだ?そいつ。今のうちに破壊しちまうか?」

「いや、こうして拘束しておけば暫くは動けまい。
 それよりも、近くにメガミオンの分体がいるはず。それを見つけることの方が先決だ」

「分体?本体じゃねーのか?」

「そうだ。奴が海底でダインに負わされた傷は深い……ゆえに自己修復機能を高める為、
 本体はコクーンモードでどこかに隠して、分体で行動しているはず」

タイタンマンを一瞥するニュートゥ。

「だがコイツの中に分体はいなかった。そして従者のジャマーは逆に奴ら自身の通信も妨害している。
 ならば奴は『声』を届かせるために見える範囲でコイツに指示を出している」


タイタンメイデンは視界で捉えられる範囲にいる同族に対し、通信装置に頼らず『声』を届かせて会話をすることが出来る。
それは一種の、簡易的テレパシーといえ、勿論、従者であるタイタンマンもその能力を持っているのだ。


ニュートゥの言葉にタオは改めて提案する。

「んならよ~、やっぱりコイツは破壊しちまおーぜ。そうすりゃ奴はますます打つ手が無くなる」

「いや、破壊はしない」

「なんで?」

「タオよ、おまえがメガミオンならばこの状況下で唯一の従者を失ったらどうする?」

「そりゃぁ、とっとと撤退するわな」

「そういう事さ。奴をこの場にとどめておくなら『希望はすべて摘み取らない』ことだ。
 打つ手があるうちは奴は足掻く。
 逃がしさえしなければメガミオンを捕獲出来る確率も上がるだろう?」

「そんなもんかね」

「そんなもんだ」

物事を単純に考えることを好むタオが、すでに説明に飽きていることを感じ、ニュートゥは話を切り替える。

「話は終わりだ。タオよ、お前は引き続き周囲を見張れ!私はこれからメガミオンを炙り出す!」

「しゃーねーな、とりあえず従うか」

タオはそう呟くと、そのままステルスモードで周囲を旋回し続けた。



一方、突然の事態に動揺する自衛隊では各々が声を掛け合い奔走していた。

「巨人!?あのゴリラもどきを退治しにきたのか!?」

「アイツ、01レイワンに似てないか!?」

「なら、こいつは人類の味方!?」

01レイワン自体味方と決まったわけではない、警戒を怠るな!!」

「離れろ!!各自十分な距離を取れ!!」

口々にまくしたてる自衛官達を興味なさげに一瞥したニュートゥは
慎重に周囲を観察しながら自衛隊の展開する校庭に向かって歩き出す。
その様子を見ていた乙女タケシが言った。

「ニュートゥの奴、まさか自衛隊を襲うつもりなんじゃあ?」

焦った乙女タケシはタイタンマンに対し命令を下す。

「そんなことはさせないぞ!!タイタンマン!ニュートゥを止めるんだ!」

「いや、待て!タケシ」

突然ガミオンが叫ぶ。
しかし、その静止も間に合わず、乙女タケシの命令に答えたタイタンマンが立ち上がろうとその身に力を込める。

「「「ウォッス!!」」」

だが体に絡みついた蛇状の物体が、さらに力を籠め纏わりつくとタイタンマンを引きずり倒してしまった。

「とと……どうしたのガミオン?」

出鼻をくじかれた乙女タケシが問いかけると、ガミオンは乙女タケシをいさめるように言った。

「あのニュートゥの見せつけるような挙動……何らかの思惑を感じる。
 乙女タケシよ、今は迂闊に動いてはいけない」

しかし人的被害が発生することを恐れる乙女タケシはガミオンの言葉に納得がいかない。

「でも、このままじゃ何が起こるか……」

「落ち着けタケシよ。奴らが今、直接的に自衛隊を襲う確率は低い。
 なぜならばそのメリットがないからだ。
 むしろデメリットの方が大きいといえる。とすると奴の狙いは……」

「ガミオンを誘い出す事……?」

「おそらく」

「なるほど、そういう事か……なら、こちらも慎重に動かないと、だね」

「うむ。その通りだ、タケシよ。すぐに動けるよう準備しつつ、今はまだ事の成り行きを見定めよう」

「うん、わかったよガミオン」

後ろに身を引き、再び窓の物陰に身を潜めた乙女タケシは、黒いカーテンに包まりながら少し考え込んだ後、
自分の迂闊な行動を恥じて、ぽつりと呟いた。

「え~っと、あのさ、ごめんね?ガミオン」

「ん?タケシよ、突然どうした?」

突然の謝罪に、きょとんとするガミオンに対し、乙女タケシが言葉を続ける。

「いや、考えもなしに飛びだそうとして、さ……
 ニュートゥにつかまれば一番危険なのは僕よりも君の方なのに……ちょっと迂闊だったよね」

落ち込む乙女タケシにガミオンはやさしく答える。

「謝ることはない、タケシよ。私は君のそういうところも大好きなのだから」

「ぅえ!?ああ、う、うん……あ、ありがと……うん」

思いもよらぬガミオンの言葉に乙女タケシは頬を赤らめるのだった。



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