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第五話
猛烈!ニュートゥ立つ! その7
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体育館の二階部分に忍び込んだ乙女が、黒いカーテンに身を潜めながら窓から外を見ると、
校舎の中から走り出してきた古山自衛官の姿を目で確認出来たことに、ほっと一息つき、胸をなでおろした。
「ガミオンが言った通り、ケガも大したことはなかったみたいだ……うまい事外に出て来てくれたぞ!」
右手に持った自分の本当の手首を見つめながら、乙女はガミオンにあらためて確認する。
「ガミオン、校舎内にはもう誰もいないよね?」
「うむ、人間の反応はない。完全に無人だ」
校庭の喧騒の中に駆けていく古山自衛官の背中を見ながら乙女は手にした手首を強く握りしめた。
「よし!それなら予定通り血痕の痕跡も消せる!」
乙女は校庭で自衛隊の注目を集めている従者に向かって再び命令を下す。
「タイタンマン!」
校庭で意味ありげな動きを繰り返し、自衛隊の注意を引き付けていたタイタンマンは、
乙女の指令に反応し動きを止めると、顔を上げて校舎の方を見た。
「計画再開!怪しまれないようにゆっくり校舎のほうに移動するんだ!」
「「「ウォッス!」」」
タイタンマンが乙女の命令に答えるように雷声を周囲に轟かせると、自衛官達の間に緊張が走る。
ゆっくりと歩き出すタイタンマン。
自衛隊はタイタンマンを足止めしようと奔走するが手持ちの貧弱な装備では焼け石に水でしかない。
ミサイルさえきかない相手に対し、銃火器で応戦する様は滑稽ですらあった。
「危険です!非常に危険ですから!入らないでください!入らないで!さがって!さがって!」
学校の校門に押し寄せるマスコミや野次馬達を押しとどめる警備員の声が、人波の発する騒ぎにかき消される。
千堂刑事らも警備員を手伝って人波対応に奔走するが、
マスコミは自分達の主張を声高々に叫び続け、野次馬共々、指示に従う気配さえない。
やれ報道の自由だ、やれ真実を報道する使命だと、がなり立てる声に
千堂刑事は心底うんざりしながら人波をさばき続けていたが、
ふと視界の先に違和感を感じ、動きを止めて目を凝らすと体育館の方を仰ぎ見た。
「いいよ~!タイタンマン!ハイ!後五歩進んだら自然な感じでコケて!」
ゆっくりと進むタイタンマンが校舎の近くまで迫ったのを見計らい乙女が指示をした時、
ガミオンが言った。
「むっ!?タケシよ、さがれ!千堂刑事が此方を見ている!」
「え!?ヤバッ!?」
乙女が慌てて後ろに下がり物影に身を隠したが、その直後、凄まじい轟音が周囲に轟き渡った。
衝撃で体育館のガラスも割れてしまい、乙女はとっさにカーテンで身を守る。
轟音の後に巻き上がった粉塵が強烈な風と共に巻き上がると、
乙女をはじめ、周囲にいた自衛隊達や千堂刑事の方にまで濛々たる粉塵が広がっていく。
驚き身を屈めて粉塵を避けた乙女が、手で口元をかばいながら音のした方を見ると
予定通りタイタンマンが倒れこんだ第三校舎が見事に全壊し、跡形もなくなっている。
が、被害はそればかりではなかった。
タイタンマンは長い渡り廊下をはさんだ隣の第二校舎まで巻き込み倒れ、その大部分を大きく削り取り、
被害を大きくしてしまっていたのだった。
「うっそ~!?は、派手に倒れすぎだよ~」
だらしなく仰向けに倒れたタイタンマンを見て乙女は肩を落とし、項垂れる。
「いや、違うぞ!タケシよ、よく見ろ!」
ガミオンの声に乙女が顔を上げ再び見ると、視界に変化が生じた。
視界に現れた位置表示がタイタンマンの上空を指し示すと乙女はそこに目を凝らし注視する。
するとポインターが指し示した空間が揺らぎ始め、モザイク状に輝いた。
「あ!?あれは!」
周囲にいるすべての人達が静まり返り、慎重に見守る中、
モザイクはさらに複雑にうごめきながら展開していくと、その場に巨大な人型を形成した。
薄く透明感のある蒼い金属質の表皮を持つ女性の形をしたその巨人を見た乙女が驚き、声を上げる。
「あれは……たしかニュートゥって呼ばれてた……!」
倒れたタイタンマンを右足で踏みつけ立っていたのは、乙女が言う通り、
光学迷彩を解いたタイタンメイデン・ニュートゥであった。
そう、タイタンマンは計画に従いわざと倒れたのではない。
ステルスモードで空から舞い降りたニュートゥに蹴り飛ばされたために
第三校舎だけでなく第二校舎まで巻き込みながら倒されてしまったのだ。
ニュートゥの姿を見た乙女がガミオンに問いかける。
「なんでアイツがこんなところに!?」
「おそらくタイタンマンの行動に気づき、共にいるはずの私にとどめを刺す為にやって来たのだろう」
ガミオンが答えるが乙女は更にまくしたてる。
「で、でもガミオン、神経接続を強制的に排除した時、
あいつはかなりのダメージを負っていたじゃん!?なのにもう動けるの!?」
「うむ、そのはずなのだが……どうやら奴らの仲間には他に凄腕の技師、
もしくはそれ以上の存在がいるようだな……」
「そ、それ以上って……」
ガミオンの言った『それ以上の存在』という言葉の意味を知りたいが今はそれどころではない。
乙女は身震いしながらも、ふと浮かんだ疑問を口にする。
「でも変だな……?なんでほかの奴じゃなく、わざわざ傷ついたニュートゥが来たんだろう?」
「私もそれが気にかかるが……だがタケシよ、ダメージの残るニュートゥが一人でここに来るとは思えない、
ほかに仲間がいるはずだ。用心したほうがいいだろう」
「うんわかったよ、ガミオン!」
ガミオンの言葉に乙女は再び始まる戦闘を覚悟したのだった。
校舎の中から走り出してきた古山自衛官の姿を目で確認出来たことに、ほっと一息つき、胸をなでおろした。
「ガミオンが言った通り、ケガも大したことはなかったみたいだ……うまい事外に出て来てくれたぞ!」
右手に持った自分の本当の手首を見つめながら、乙女はガミオンにあらためて確認する。
「ガミオン、校舎内にはもう誰もいないよね?」
「うむ、人間の反応はない。完全に無人だ」
校庭の喧騒の中に駆けていく古山自衛官の背中を見ながら乙女は手にした手首を強く握りしめた。
「よし!それなら予定通り血痕の痕跡も消せる!」
乙女は校庭で自衛隊の注目を集めている従者に向かって再び命令を下す。
「タイタンマン!」
校庭で意味ありげな動きを繰り返し、自衛隊の注意を引き付けていたタイタンマンは、
乙女の指令に反応し動きを止めると、顔を上げて校舎の方を見た。
「計画再開!怪しまれないようにゆっくり校舎のほうに移動するんだ!」
「「「ウォッス!」」」
タイタンマンが乙女の命令に答えるように雷声を周囲に轟かせると、自衛官達の間に緊張が走る。
ゆっくりと歩き出すタイタンマン。
自衛隊はタイタンマンを足止めしようと奔走するが手持ちの貧弱な装備では焼け石に水でしかない。
ミサイルさえきかない相手に対し、銃火器で応戦する様は滑稽ですらあった。
「危険です!非常に危険ですから!入らないでください!入らないで!さがって!さがって!」
学校の校門に押し寄せるマスコミや野次馬達を押しとどめる警備員の声が、人波の発する騒ぎにかき消される。
千堂刑事らも警備員を手伝って人波対応に奔走するが、
マスコミは自分達の主張を声高々に叫び続け、野次馬共々、指示に従う気配さえない。
やれ報道の自由だ、やれ真実を報道する使命だと、がなり立てる声に
千堂刑事は心底うんざりしながら人波をさばき続けていたが、
ふと視界の先に違和感を感じ、動きを止めて目を凝らすと体育館の方を仰ぎ見た。
「いいよ~!タイタンマン!ハイ!後五歩進んだら自然な感じでコケて!」
ゆっくりと進むタイタンマンが校舎の近くまで迫ったのを見計らい乙女が指示をした時、
ガミオンが言った。
「むっ!?タケシよ、さがれ!千堂刑事が此方を見ている!」
「え!?ヤバッ!?」
乙女が慌てて後ろに下がり物影に身を隠したが、その直後、凄まじい轟音が周囲に轟き渡った。
衝撃で体育館のガラスも割れてしまい、乙女はとっさにカーテンで身を守る。
轟音の後に巻き上がった粉塵が強烈な風と共に巻き上がると、
乙女をはじめ、周囲にいた自衛隊達や千堂刑事の方にまで濛々たる粉塵が広がっていく。
驚き身を屈めて粉塵を避けた乙女が、手で口元をかばいながら音のした方を見ると
予定通りタイタンマンが倒れこんだ第三校舎が見事に全壊し、跡形もなくなっている。
が、被害はそればかりではなかった。
タイタンマンは長い渡り廊下をはさんだ隣の第二校舎まで巻き込み倒れ、その大部分を大きく削り取り、
被害を大きくしてしまっていたのだった。
「うっそ~!?は、派手に倒れすぎだよ~」
だらしなく仰向けに倒れたタイタンマンを見て乙女は肩を落とし、項垂れる。
「いや、違うぞ!タケシよ、よく見ろ!」
ガミオンの声に乙女が顔を上げ再び見ると、視界に変化が生じた。
視界に現れた位置表示がタイタンマンの上空を指し示すと乙女はそこに目を凝らし注視する。
するとポインターが指し示した空間が揺らぎ始め、モザイク状に輝いた。
「あ!?あれは!」
周囲にいるすべての人達が静まり返り、慎重に見守る中、
モザイクはさらに複雑にうごめきながら展開していくと、その場に巨大な人型を形成した。
薄く透明感のある蒼い金属質の表皮を持つ女性の形をしたその巨人を見た乙女が驚き、声を上げる。
「あれは……たしかニュートゥって呼ばれてた……!」
倒れたタイタンマンを右足で踏みつけ立っていたのは、乙女が言う通り、
光学迷彩を解いたタイタンメイデン・ニュートゥであった。
そう、タイタンマンは計画に従いわざと倒れたのではない。
ステルスモードで空から舞い降りたニュートゥに蹴り飛ばされたために
第三校舎だけでなく第二校舎まで巻き込みながら倒されてしまったのだ。
ニュートゥの姿を見た乙女がガミオンに問いかける。
「なんでアイツがこんなところに!?」
「おそらくタイタンマンの行動に気づき、共にいるはずの私にとどめを刺す為にやって来たのだろう」
ガミオンが答えるが乙女は更にまくしたてる。
「で、でもガミオン、神経接続を強制的に排除した時、
あいつはかなりのダメージを負っていたじゃん!?なのにもう動けるの!?」
「うむ、そのはずなのだが……どうやら奴らの仲間には他に凄腕の技師、
もしくはそれ以上の存在がいるようだな……」
「そ、それ以上って……」
ガミオンの言った『それ以上の存在』という言葉の意味を知りたいが今はそれどころではない。
乙女は身震いしながらも、ふと浮かんだ疑問を口にする。
「でも変だな……?なんでほかの奴じゃなく、わざわざ傷ついたニュートゥが来たんだろう?」
「私もそれが気にかかるが……だがタケシよ、ダメージの残るニュートゥが一人でここに来るとは思えない、
ほかに仲間がいるはずだ。用心したほうがいいだろう」
「うんわかったよ、ガミオン!」
ガミオンの言葉に乙女は再び始まる戦闘を覚悟したのだった。
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