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第五話
猛烈!ニュートゥ立つ! その6
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タイタンマンに対処する自衛隊の喧騒を避け、夜の闇に紛れて半壊した校舎にたどり着いた乙女は
大きく欠損した校舎のガレキの影に隠れながらその中をのぞき込む。
「ガミオンが言っていた生命反応はここだよね?」
「うむ、センサーが捕えた『人間の生体反応』があった場所は此処で間違いない」
「見当たらないなぁ、移動したのかな?」
「いや、タケシよ、見ろ!」
ガミオンの声に反応して乙女の視界に光の表示が現れて床の一部を指し示した。
「あ!あれは!」
乙女が声を上げると視界の一部が拡大される。
「人だ!人が倒れている!」
乙女言う通り、拡大された箇所に映っているのは
ガレキの傍らに倒れていた自衛官、古山サトルの姿であった。
「だ、大丈夫ですか!?」
とっさに飛び出した乙女は古山自衛官に駆け寄ると、思わず声をかける。
「慌てるな、乙女よ、彼は意識を失っているだけだ。生命に別条はない」
古山自衛官の体に触れた乙女の手から、すでにその生体情報を確認していたガミオンが言う。
「どうやらタイタンマンが起こした振動で、崩落した壁の一部が頭部に当たり昏倒したようだ。
他には体の五か所に打ち身があるが、心配はいらない。これならばすぐに目を覚ますだろう」
「よかったぁ……」
安堵した乙女はホッと一息ついた後、古山自衛官の体にかかった粉塵をやさしく払い落とす。
「タケシよ、右を見てくれ」
「ん?何?」
乙女が指示どおり右を向くと、再び視界の中に光の表示が現れ、床の一部が拡大される。
そこに映ったのは床に転がるちぎれた人間の手首。
「あ!手首!!」
乙女はすぐに手首に駆け寄ってそれを拾いあげる。
「手首を無事に回収できるなんて、ラッキー!」
喜ぶ乙女にガミオンが言う。
「うむ。だがタケシよ、時間はないぞ。すぐに次の行動に移らねば」
「そうだね。じゃあ、まずはあの人を安全な場所まで運ぼう」
乙女が目をむけた時、倒れていた古山自衛官の体がピクリと蠢いた。
「あ!」
息を止め、立ち止まる乙女の目の前で、古山自衛官がゆっくりと上体を起こす。
「あ~……イタタタ……なんだ?なにがおこったんだ?」
古山自衛官が体の傷を確認しながら周りを見回すと、その目にピッチリ忍者スーツの乙女の姿が映りこんだ。
「ん?」
目を凝らした古山自衛官は驚き、思わず声を洩らす。
「え!?バ、バン!?」
「うぇ!?」
その意外な言葉に乙女が反応するが古山自衛官はすぐに気を取り直すと、
とっさに銃を引き抜き、構えながら言った。
「動くな!何者だ!」
「…………」
「そのまま……ゆっくりと手に持ったものを床に置きなさい!」
押し黙った乙女が手に持った手首をゆっくりと床に置くと、
古山自衛官は銃の標準を向けたまま、慎重に乙女に近づいてくる。
その時である。
「ガミオン!」
「応!!」
乙女の言葉にガミオンが答えた瞬間、乙女の忍者スーツの表面に光のラインが現れ、その体を駆け巡っていく。
さらに光のラインが七色に煌めき揺らぐと乙女の体からもう一人の乙女が抜け出した!
「な!?」
驚く古山自衛官の目の前に立つ二人の乙女。
間髪を入れず、乙女の光のラインが再度七色に煌めき揺らぐ。
すると二人の乙女が再び増殖し、乙女の姿は四人となった。
光のラインが更に煌めくたびに乙女の体は次々に増殖していく。
「一人の忍者が二人の忍者に、三人四人に……五人、十人!?こ、これは忍法『影分身』!?」
「やっぱり!アナタ、『超人忍法帳・くのいちバン』のファンでしょう!」
「え!?今なんて!?」
突然、乙女が発した言葉に動揺した古山自衛官が一瞬ひるんだ時、
周囲を取り囲んでいた乙女達が、声を上げながら一斉に動きだした。
「「「フォッフォッフォッ!」」」
「おお!?こ、これ……ど……どうしたら……」
「「「フォッフォッフォッフォッフォッ……」」」
古山自衛官は、奇妙な笑い声をあげながら周囲を走り飛跳ねる乙女達を前に
動揺し、どうしたらよいか迷う。
「こ、これは現実なのか!?もしかしたら俺、頭打った時におかしくなったんじゃ……」
ついには自ら正気を疑い出す古山自衛官。
「それでは、ごきげんよう!」
「い、いや、待ちなさい!この……」
古山自衛官は近くにいた乙女にとびかかるが
乙女は苦も無く、ぬらりくらりとその手をすり抜ける。
そうこうしているうちに混乱した古山自衛官を残して、一人また一人と周囲の闇の中へ消えていく乙女達。
やがてその騒ぎが収まると、その場には古山自衛官一人が呆然と残されるだけとなった。
「な、なんだったんだ!?今の……まさか本当に、くのいちバンって訳じゃあるまいし……」
まだ自分が見たものを信じられずにいた古山自衛官であったが、
見張っていた手首が持ちさられたことは確かな事実だ。
「はっ!マズイ!報告しなきゃ……」
古山自衛官は急いで携帯無線機を取り出しスイッチを入れる。
だが、無線機はノイズ音を立てるだけで使用不可能な状態になっていた。
「ええい!チクショウ!」
一言悪態をついた後、古山自衛官は踵を返し、半壊した校舎の中から外へと走り出すのだった。
大きく欠損した校舎のガレキの影に隠れながらその中をのぞき込む。
「ガミオンが言っていた生命反応はここだよね?」
「うむ、センサーが捕えた『人間の生体反応』があった場所は此処で間違いない」
「見当たらないなぁ、移動したのかな?」
「いや、タケシよ、見ろ!」
ガミオンの声に反応して乙女の視界に光の表示が現れて床の一部を指し示した。
「あ!あれは!」
乙女が声を上げると視界の一部が拡大される。
「人だ!人が倒れている!」
乙女言う通り、拡大された箇所に映っているのは
ガレキの傍らに倒れていた自衛官、古山サトルの姿であった。
「だ、大丈夫ですか!?」
とっさに飛び出した乙女は古山自衛官に駆け寄ると、思わず声をかける。
「慌てるな、乙女よ、彼は意識を失っているだけだ。生命に別条はない」
古山自衛官の体に触れた乙女の手から、すでにその生体情報を確認していたガミオンが言う。
「どうやらタイタンマンが起こした振動で、崩落した壁の一部が頭部に当たり昏倒したようだ。
他には体の五か所に打ち身があるが、心配はいらない。これならばすぐに目を覚ますだろう」
「よかったぁ……」
安堵した乙女はホッと一息ついた後、古山自衛官の体にかかった粉塵をやさしく払い落とす。
「タケシよ、右を見てくれ」
「ん?何?」
乙女が指示どおり右を向くと、再び視界の中に光の表示が現れ、床の一部が拡大される。
そこに映ったのは床に転がるちぎれた人間の手首。
「あ!手首!!」
乙女はすぐに手首に駆け寄ってそれを拾いあげる。
「手首を無事に回収できるなんて、ラッキー!」
喜ぶ乙女にガミオンが言う。
「うむ。だがタケシよ、時間はないぞ。すぐに次の行動に移らねば」
「そうだね。じゃあ、まずはあの人を安全な場所まで運ぼう」
乙女が目をむけた時、倒れていた古山自衛官の体がピクリと蠢いた。
「あ!」
息を止め、立ち止まる乙女の目の前で、古山自衛官がゆっくりと上体を起こす。
「あ~……イタタタ……なんだ?なにがおこったんだ?」
古山自衛官が体の傷を確認しながら周りを見回すと、その目にピッチリ忍者スーツの乙女の姿が映りこんだ。
「ん?」
目を凝らした古山自衛官は驚き、思わず声を洩らす。
「え!?バ、バン!?」
「うぇ!?」
その意外な言葉に乙女が反応するが古山自衛官はすぐに気を取り直すと、
とっさに銃を引き抜き、構えながら言った。
「動くな!何者だ!」
「…………」
「そのまま……ゆっくりと手に持ったものを床に置きなさい!」
押し黙った乙女が手に持った手首をゆっくりと床に置くと、
古山自衛官は銃の標準を向けたまま、慎重に乙女に近づいてくる。
その時である。
「ガミオン!」
「応!!」
乙女の言葉にガミオンが答えた瞬間、乙女の忍者スーツの表面に光のラインが現れ、その体を駆け巡っていく。
さらに光のラインが七色に煌めき揺らぐと乙女の体からもう一人の乙女が抜け出した!
「な!?」
驚く古山自衛官の目の前に立つ二人の乙女。
間髪を入れず、乙女の光のラインが再度七色に煌めき揺らぐ。
すると二人の乙女が再び増殖し、乙女の姿は四人となった。
光のラインが更に煌めくたびに乙女の体は次々に増殖していく。
「一人の忍者が二人の忍者に、三人四人に……五人、十人!?こ、これは忍法『影分身』!?」
「やっぱり!アナタ、『超人忍法帳・くのいちバン』のファンでしょう!」
「え!?今なんて!?」
突然、乙女が発した言葉に動揺した古山自衛官が一瞬ひるんだ時、
周囲を取り囲んでいた乙女達が、声を上げながら一斉に動きだした。
「「「フォッフォッフォッ!」」」
「おお!?こ、これ……ど……どうしたら……」
「「「フォッフォッフォッフォッフォッ……」」」
古山自衛官は、奇妙な笑い声をあげながら周囲を走り飛跳ねる乙女達を前に
動揺し、どうしたらよいか迷う。
「こ、これは現実なのか!?もしかしたら俺、頭打った時におかしくなったんじゃ……」
ついには自ら正気を疑い出す古山自衛官。
「それでは、ごきげんよう!」
「い、いや、待ちなさい!この……」
古山自衛官は近くにいた乙女にとびかかるが
乙女は苦も無く、ぬらりくらりとその手をすり抜ける。
そうこうしているうちに混乱した古山自衛官を残して、一人また一人と周囲の闇の中へ消えていく乙女達。
やがてその騒ぎが収まると、その場には古山自衛官一人が呆然と残されるだけとなった。
「な、なんだったんだ!?今の……まさか本当に、くのいちバンって訳じゃあるまいし……」
まだ自分が見たものを信じられずにいた古山自衛官であったが、
見張っていた手首が持ちさられたことは確かな事実だ。
「はっ!マズイ!報告しなきゃ……」
古山自衛官は急いで携帯無線機を取り出しスイッチを入れる。
だが、無線機はノイズ音を立てるだけで使用不可能な状態になっていた。
「ええい!チクショウ!」
一言悪態をついた後、古山自衛官は踵を返し、半壊した校舎の中から外へと走り出すのだった。
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