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第六話
第六話 無限の形 その3
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文字通り四方八方から襲い掛かるニュートゥの百の腕に退路をふさがれる乙女。
そのうちの一本が乙女に届き、手のひらで包み込もうとする。
まさに絶体絶命の状況。
だが、もはや逃げ場のない事態に追い込まれた時、
乙女の両脇腹、肋骨の下あたりが小さく裂けて管状の機械的機関が露出し、
そこから勢いよく空気が噴射された。
圧縮された空気の力に押された乙女の体は、ニュートゥの腕をすり抜けて一瞬のうちにさらなる上空へと舞い上がった。
「そう簡単につかまりはしない!」
眼下に向かって叫ぶ乙女。
しかし、見上げるニュートゥは慌てる様子もなくほくそ笑む。
「捕まえようとしたんじゃない。追い立てたのさ」
ニュートゥが呟いた途端、乙女の背後の空間が輝く。
そしてそこからステルスモードを解き、人型へ戻ったタイタンメイデン・タオが現れた。
「!?」
「ふふん、俺がいることを忘れてんじゃねーのか?」
タオは言いながら拳を振り上げると乙女に向かって軽く振り下ろす。
「ぐわっ!?」
巨大な拳の一撃が乙女の体を打ち、その体は勢いよく落下していくと激しい衝撃音と共に地面へと叩きつけられる。
タオの一撃により落下した衝撃で地面に小さなクレーターを生じさせた乙女の体は悲惨な有様だった。
腕や足の関節が変な方向にねじくれて、まるで紐が切れて打ち捨てられたマリオネットのよう。
「いっ……つ……」
不思議と体に激痛は感じられない。
だが、乙女は、悲惨な状況になっている自分の体を目にし、驚きと悲痛に満ちた叫び声をあげた。
「う、うわぁぁぁ!?」
「無様だなメガミオン」
ニュートゥが乙女を見下ろしながら、体から伸びた無数の触腕を一瞬で折り畳み、通常の人型の姿へと戻ると、
上空から降りてきたタオが軽く砂塵を巻き上げながら音もなく地面に着地する。
二、三歩進んでニュートゥの傍らに立ったタオは右手を伸ばし、その頬に触れた。
「どれ……ん~、ケガはねーみたいだな」
「流石に分体の攻撃で傷つけられるほど貧弱ではないぞ」
ニュートゥはタオの腕を軽く払いのける。
「つれねーなぁ」
ニュートゥの態度に不満をもらしつつも、タオは腰を落とし乙女を見て言った。
「おりょ?力入れすぎちまったかな?」
「かまわん。話を聞き出せればそれでいい」
乙女を覗き込むタオの脇を抜けてニュートゥの体から小ぶりな一本の触腕が伸びていき、
先端から乙女に向かって白い粘液を噴射する。
「!?」
吹き付けられた粘液は糸を引きながら乙女の体に絡みついた後、あっという間に硬化してその自由を奪う。
ニュートゥの行動を疑問に思ったタオが問う。
「応急処置用のマテリアルペースト?」
「ああ。念のため固定し自由を奪った。こいつは油断ならない相手だからな。念には念を、だ」
マテリアルペーストが硬化したのを確認したニュートゥは乙女を右手で掴み上げて言った。
「只野タケシ」
「!!」
ニュートゥの言葉に衝撃を受けるガミオンとタケシ。
「な……!?」
なぜニュートゥが僕の名前を、と、タケシが思わず声を発しそうになるが、ガミオンがそれを押し止める。
「まて!タケシよ!まだヤツがどの程度キミの事を把握しているのかわからない。今は私に任せてくれ!」
脳裏に響くガミオンの言葉にタケシは慌てて口を閉じ、黙ってうなずいた。
ニュートゥはそれに気づかず言葉を続ける。
「驚くことはあるまい、私はお前の記憶を見ている。知っていて当然だろう?
お前はタケシの情報を隠し通せたつもりだったろうがな。
だが、隠そうとすればするほど、それがお前にとって重要なものだと、わざわざ説明していたようなものだ。
私がその記憶領域を真っ先に調べないと思うか?」
なるほど、そういうことか……だが記憶を覗かれていたとあっては、もはやタケシの存在自体は隠し通せまい。
しかし、ニュートゥは一体どこまで知っているのか?何とか聞き出せないものか……
考えをめぐらし、黙ったまま何もしゃべらない乙女に業を煮やしたニュートゥの手に力が籠る。
「さあ!メガミオンよ!お前がタケシを隠しているのはわかっている!
おとなしく私にタケシを差し出すのだ!!」
そのうちの一本が乙女に届き、手のひらで包み込もうとする。
まさに絶体絶命の状況。
だが、もはや逃げ場のない事態に追い込まれた時、
乙女の両脇腹、肋骨の下あたりが小さく裂けて管状の機械的機関が露出し、
そこから勢いよく空気が噴射された。
圧縮された空気の力に押された乙女の体は、ニュートゥの腕をすり抜けて一瞬のうちにさらなる上空へと舞い上がった。
「そう簡単につかまりはしない!」
眼下に向かって叫ぶ乙女。
しかし、見上げるニュートゥは慌てる様子もなくほくそ笑む。
「捕まえようとしたんじゃない。追い立てたのさ」
ニュートゥが呟いた途端、乙女の背後の空間が輝く。
そしてそこからステルスモードを解き、人型へ戻ったタイタンメイデン・タオが現れた。
「!?」
「ふふん、俺がいることを忘れてんじゃねーのか?」
タオは言いながら拳を振り上げると乙女に向かって軽く振り下ろす。
「ぐわっ!?」
巨大な拳の一撃が乙女の体を打ち、その体は勢いよく落下していくと激しい衝撃音と共に地面へと叩きつけられる。
タオの一撃により落下した衝撃で地面に小さなクレーターを生じさせた乙女の体は悲惨な有様だった。
腕や足の関節が変な方向にねじくれて、まるで紐が切れて打ち捨てられたマリオネットのよう。
「いっ……つ……」
不思議と体に激痛は感じられない。
だが、乙女は、悲惨な状況になっている自分の体を目にし、驚きと悲痛に満ちた叫び声をあげた。
「う、うわぁぁぁ!?」
「無様だなメガミオン」
ニュートゥが乙女を見下ろしながら、体から伸びた無数の触腕を一瞬で折り畳み、通常の人型の姿へと戻ると、
上空から降りてきたタオが軽く砂塵を巻き上げながら音もなく地面に着地する。
二、三歩進んでニュートゥの傍らに立ったタオは右手を伸ばし、その頬に触れた。
「どれ……ん~、ケガはねーみたいだな」
「流石に分体の攻撃で傷つけられるほど貧弱ではないぞ」
ニュートゥはタオの腕を軽く払いのける。
「つれねーなぁ」
ニュートゥの態度に不満をもらしつつも、タオは腰を落とし乙女を見て言った。
「おりょ?力入れすぎちまったかな?」
「かまわん。話を聞き出せればそれでいい」
乙女を覗き込むタオの脇を抜けてニュートゥの体から小ぶりな一本の触腕が伸びていき、
先端から乙女に向かって白い粘液を噴射する。
「!?」
吹き付けられた粘液は糸を引きながら乙女の体に絡みついた後、あっという間に硬化してその自由を奪う。
ニュートゥの行動を疑問に思ったタオが問う。
「応急処置用のマテリアルペースト?」
「ああ。念のため固定し自由を奪った。こいつは油断ならない相手だからな。念には念を、だ」
マテリアルペーストが硬化したのを確認したニュートゥは乙女を右手で掴み上げて言った。
「只野タケシ」
「!!」
ニュートゥの言葉に衝撃を受けるガミオンとタケシ。
「な……!?」
なぜニュートゥが僕の名前を、と、タケシが思わず声を発しそうになるが、ガミオンがそれを押し止める。
「まて!タケシよ!まだヤツがどの程度キミの事を把握しているのかわからない。今は私に任せてくれ!」
脳裏に響くガミオンの言葉にタケシは慌てて口を閉じ、黙ってうなずいた。
ニュートゥはそれに気づかず言葉を続ける。
「驚くことはあるまい、私はお前の記憶を見ている。知っていて当然だろう?
お前はタケシの情報を隠し通せたつもりだったろうがな。
だが、隠そうとすればするほど、それがお前にとって重要なものだと、わざわざ説明していたようなものだ。
私がその記憶領域を真っ先に調べないと思うか?」
なるほど、そういうことか……だが記憶を覗かれていたとあっては、もはやタケシの存在自体は隠し通せまい。
しかし、ニュートゥは一体どこまで知っているのか?何とか聞き出せないものか……
考えをめぐらし、黙ったまま何もしゃべらない乙女に業を煮やしたニュートゥの手に力が籠る。
「さあ!メガミオンよ!お前がタケシを隠しているのはわかっている!
おとなしく私にタケシを差し出すのだ!!」
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