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レヴェント編
17.暗夜に落ちる
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鍛冶屋を出た後も少し二人に城下町の案内をしてもらい、その後、二人と別れる事となった。
「今日はありがと、二人とも」
そう、俺が別れの挨拶をすると、二人も各々挨拶を返してくる。
「いえ、ケイヤさんのおかげで助かりましたし、このくらいお安いご用です」
「そうね。まあ、私はただ一方的に暴力を振るっちゃっただけだけど、今日は楽しかった」
今朝の事を思い出してか顔が少し赤くなる。
「そうだな、今日はそこそこ楽しかった。でも、あの蹴りみたいなのはもう勘弁な?」
「うっ、本当にごめんなさい」
からかうようにそういう、とエヴァは再び顔を赤くする。
そんな彼女の姿に、俺とオリビアは笑いを零す。
「じゃあ、二人とも、また会うことがあったらよろしく」
「はい、また会いましょう、ケイヤさん」
「じゃあね、カミヅカ君」
二人に手を振りながら、俺はその場を去って行く。
もう夕暮れ時だ。日は沈み、暗い夜の時間がやってくる。
世界全てが緋色に包まれ、やがて闇に包まれる。
電灯がない世界だが、魔道具とやらで照らされた町は、元の世界の夜に少し似ている。
「ふぅ……やることはたくさんあるな」
部屋に戻る中、そんなことを呟いた。
すると、不意に肩を叩かれた。
「おいガキ、探したぞ」
後ろを振り向くと、そこには今朝のナンパ男たちがいた。それも数は今朝の比ではない、どうやらかなりの人数を用意してきたようだ。
俺相手によくやるよ……はぁ~。
内心、少し呆れてため息を吐いた。
聞く意味はないと思いつつも、俺は彼らに問う。
「何か用ですか?」
「それくらいわかるだろ?」
まあ、そうだろう。結果は分かり切っていた。
第一、彼女たちと行動していた時から、つけられていることは知っていた。
そう、知っていた。俺は気づいて尚、放置した。
全く以て、めんどくさい。
俺は気怠さを抑えながら、彼らに言った。
「じゃあ、お兄さん方? 用があるなら手短に……」
「ついて来い。言っておくが、逃げようとしたらこの場で殺すぞ?」
「はいはい、わかりましたよ」
念押しされた俺は仕方なく彼らの誘いに乗り、路地裏へと向かった。
路地裏へ着くと、更に無数の荒くれ達が集まっていた。どうやら彼らは、ただのナンパ男たちではないようだ。
まあ、なんであれ……関係ないが――
「おいガキ、テメェは誰を怒らせたか分かるか?」
「さあ?」
「俺たちは泣く子も黙る、デイズ・ゴーだ。この国の荒くれ者共は全員、俺らの傘下。そして俺らの上には、レッド・ゲイルがいる。お前はもう終わったんだよ」
「へぇ……」
俺はどうでもよさそうに相槌を打ち、興味のないモノを見る目で男を見た。
「テメェの家族も、友達も、全員皆ごろ――」
突如、ナンパ男の言葉が停止する。
「どうした? 何するって?」
「…………」
「おい、喋らなきゃ伝わらないぞ?」
そう声をかけても一切、言葉は帰ってこない。
「……ああ、そうか。喋らないんじゃなくて、喋れないのか――首、落ちてるもんな?」
そういうと、スルリと首が地面に落下する。
地面に真っ赤な血の水溜りができ、俺の手に持った折り畳みナイフ、無雪から血が滴り落ちる。
はぁ~……下らない。
崩れ落ちる男に体を見て、自身のやっていることの虚しさに呆れる。
ハッ……やっぱり、その通りだな。
今朝のことを思い出し、乾いた笑いが零れる。
「さあさあ、皆様方、go to hell……デイズ・ゴーなんだろ、地獄へレツゴー、てな?」
「「「「「…………」」」」」
自身でも下らないことを言った自覚があったのだが、その言葉を聞いたであろう男達は言葉以上に恐怖の感情を抱き、その下らぬ戯言に一切の関心を寄せていない。
それほどまでに目の前の少年に恐怖の念を抱き、余計な思考を持てない状況だった。
にしても下らない戯言も虚言も多くて仕方ない。道化など演じているわけでもないのにな。
「……フッ、冗談ばかりじゃ、ただの〝虚言遣い〟みたいか……まあ、なんでもいいさ。結末にも大した意味がないんだ。終始、意味を問うこともまた意味はない」
今から行うのは無意味な解体作業、全く以て無駄だ。
だから、こんなことに意味を問うだけ、また――無駄なのだ。
「さあ――殺ろうか?」
俺は不気味に、不敵に、笑みを見せた。
「今日はありがと、二人とも」
そう、俺が別れの挨拶をすると、二人も各々挨拶を返してくる。
「いえ、ケイヤさんのおかげで助かりましたし、このくらいお安いご用です」
「そうね。まあ、私はただ一方的に暴力を振るっちゃっただけだけど、今日は楽しかった」
今朝の事を思い出してか顔が少し赤くなる。
「そうだな、今日はそこそこ楽しかった。でも、あの蹴りみたいなのはもう勘弁な?」
「うっ、本当にごめんなさい」
からかうようにそういう、とエヴァは再び顔を赤くする。
そんな彼女の姿に、俺とオリビアは笑いを零す。
「じゃあ、二人とも、また会うことがあったらよろしく」
「はい、また会いましょう、ケイヤさん」
「じゃあね、カミヅカ君」
二人に手を振りながら、俺はその場を去って行く。
もう夕暮れ時だ。日は沈み、暗い夜の時間がやってくる。
世界全てが緋色に包まれ、やがて闇に包まれる。
電灯がない世界だが、魔道具とやらで照らされた町は、元の世界の夜に少し似ている。
「ふぅ……やることはたくさんあるな」
部屋に戻る中、そんなことを呟いた。
すると、不意に肩を叩かれた。
「おいガキ、探したぞ」
後ろを振り向くと、そこには今朝のナンパ男たちがいた。それも数は今朝の比ではない、どうやらかなりの人数を用意してきたようだ。
俺相手によくやるよ……はぁ~。
内心、少し呆れてため息を吐いた。
聞く意味はないと思いつつも、俺は彼らに問う。
「何か用ですか?」
「それくらいわかるだろ?」
まあ、そうだろう。結果は分かり切っていた。
第一、彼女たちと行動していた時から、つけられていることは知っていた。
そう、知っていた。俺は気づいて尚、放置した。
全く以て、めんどくさい。
俺は気怠さを抑えながら、彼らに言った。
「じゃあ、お兄さん方? 用があるなら手短に……」
「ついて来い。言っておくが、逃げようとしたらこの場で殺すぞ?」
「はいはい、わかりましたよ」
念押しされた俺は仕方なく彼らの誘いに乗り、路地裏へと向かった。
路地裏へ着くと、更に無数の荒くれ達が集まっていた。どうやら彼らは、ただのナンパ男たちではないようだ。
まあ、なんであれ……関係ないが――
「おいガキ、テメェは誰を怒らせたか分かるか?」
「さあ?」
「俺たちは泣く子も黙る、デイズ・ゴーだ。この国の荒くれ者共は全員、俺らの傘下。そして俺らの上には、レッド・ゲイルがいる。お前はもう終わったんだよ」
「へぇ……」
俺はどうでもよさそうに相槌を打ち、興味のないモノを見る目で男を見た。
「テメェの家族も、友達も、全員皆ごろ――」
突如、ナンパ男の言葉が停止する。
「どうした? 何するって?」
「…………」
「おい、喋らなきゃ伝わらないぞ?」
そう声をかけても一切、言葉は帰ってこない。
「……ああ、そうか。喋らないんじゃなくて、喋れないのか――首、落ちてるもんな?」
そういうと、スルリと首が地面に落下する。
地面に真っ赤な血の水溜りができ、俺の手に持った折り畳みナイフ、無雪から血が滴り落ちる。
はぁ~……下らない。
崩れ落ちる男に体を見て、自身のやっていることの虚しさに呆れる。
ハッ……やっぱり、その通りだな。
今朝のことを思い出し、乾いた笑いが零れる。
「さあさあ、皆様方、go to hell……デイズ・ゴーなんだろ、地獄へレツゴー、てな?」
「「「「「…………」」」」」
自身でも下らないことを言った自覚があったのだが、その言葉を聞いたであろう男達は言葉以上に恐怖の感情を抱き、その下らぬ戯言に一切の関心を寄せていない。
それほどまでに目の前の少年に恐怖の念を抱き、余計な思考を持てない状況だった。
にしても下らない戯言も虚言も多くて仕方ない。道化など演じているわけでもないのにな。
「……フッ、冗談ばかりじゃ、ただの〝虚言遣い〟みたいか……まあ、なんでもいいさ。結末にも大した意味がないんだ。終始、意味を問うこともまた意味はない」
今から行うのは無意味な解体作業、全く以て無駄だ。
だから、こんなことに意味を問うだけ、また――無駄なのだ。
「さあ――殺ろうか?」
俺は不気味に、不敵に、笑みを見せた。
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