120 / 232
レヴェント編
119.迫る〝死〟は殺す
しおりを挟む
先陣を切るのはアリシア。
異様な速度でオークに近づくと、軽く二匹の首を斬り落とす。冰晶剣の透き通る刃が美しく輝き、青い鮮血を散らせる。
空を舞うアリシアは力なく崩れるオークの身体を蹴って空中で方向転換、他のオークへ接近し斬撃を放つ。
的確に急所を狙い、颯爽と命を奪い去る。
圧倒的な速度で技術で斬り殺されていくオーク。
一方、シュナはオークの太い足を細身の剣で切断し、地面に転がるオークの首を落す。アリシアとは対照的で、圧倒的な身体能力でオークを殺す。
「ヴァアァァァ――」
「ふッ」
シュナはオークが振りかぶった拳諸共、斜めに切り裂く。
腕が縦に割れ、上半身がズルりと擦り落ちる。身体能力だけに見えて、的確に骨の間を狙うあの斬撃はバケモノ過ぎて笑える。
剣身に付いた血を払いながら、シュナは走り出す。
二人ともあの巨躯を物ともせず、捻じ伏せていく。
いとも容易く殺されていくオークたち、マジであの二人はバケモノだ。と思いつつ、俺もオークへ向かって走る。
「なるほど。通常個体はそこまで強くないのか」
オークの攻撃を躱しつつ懐に入り込むと、手に持ったロングソードを首元に突き刺し殺す。
速度は遅いが、一撃一撃は地面を叩き砕くほど強力。とりあえず、攻撃にさえ注意すれば何とかなりそうだ。
オークたちが死んでいく同胞を見ていきり立つ、一人一人をオークの大群が囲み、集団で一人を殺すと奮闘する。しかし、俺はまだしも他の二人は集まるオーク全てを容易く斬り伏せる。
かくいう俺も放たれるオークの腕を蔦って首元へ接近、その首を斬り落としながらオークの身体を駆ける。
バンッバンッとオークの身体を足場に疾駆する。
無駄は極力なくす――
ほぼすべてのオークを一撃で殺し、殲滅数を着々と増やしていった。
「ヴァアァァァッ!」
振りかぶる拳、オークたちは同胞諸共容赦なく攻撃を放つ。
しかし、その攻撃が放たれる瞬間に俺はもうそこにはいない。オークの身体を踏みつけながら回避、同時に頭部を上から剣で串刺しにする。
十三匹目。
カウンタのように機械的に数を加算する。
「ヴァアァァァアアアァァァァァアア―――――!!!」
「うるさっ」
鼓膜を破るような大きな咆哮。
咆哮の先に視線を向けると、あの変異個体が動き始めたのだ。
あれは流石に無理……。
巨躯を持つ変異種、俺の持つ武装ではそもそも攻撃を与えられないだろう。
チラリと彼女達に視線を向ける。
ん……?
ふと、彼女達の近くで青くキラキラと光る宝石のような物が見えた。
思考が、脳が高速回転する。
本来こんなことに思考を割く時間なんてある筈がない。だが、俺の〝感〟が言っている、お前はいま最悪の窮地に立たされていると。
次の瞬間、俺は叫んだ。
「アリシア! シュナ! 転移結晶を弾けッ!」
「「!」」
彼女達はその声に即座に反応し、落ちてきた青い宝石、転移結晶を剣で弾こうとする。
しかし――転移結晶は剣より速く、青い光を放っていた。
「しまっ――」
シュナのそんな声と共に彼女達は姿を消した。
「…………嘘、だろ?」
青い光と共に消えた彼女達を見て、一気に冷たい汗が溢れる。
「フッ、フハハ」
……誰だか知らんが、エグイことするな。
笑いが零れ、苦笑いを浮かべる。
おそらくドリアたちに指示をした人間なのだろうが、この状況を見てそんなひどいことするなよ。
あーあ、死んだ? 俺?
五十以上のオークを倒したはずだが、既に優に百を越える数のオークが群がっている。そんな光景に絶望するな、と言う方がおかしいだろう。
群がるオークたちは同胞の血肉を貪る。
死臭が香る。噎せ返るような死の匂いが、こびりつく。そして――次は俺。
が死色に染まる。
死んじゃう死んじゃう、死んじゃう死んじゃう、死ぬ死ぬ、死ぬ死ぬ、殺される殺される、殺される殺される……。
死ンジャウ死ンジャウ、死ンジャウ死ンジャウ、死ヌ死ヌ、死ヌ死ヌ、殺サレル殺サレル、殺サレル殺サレル……。
完全に、確実に―――――死んだ。
死。命を落とす――
死。生命の停止――
死。奪われる――
死。殺される――
死……――死死死死死死死死シ死、死死死シ死死死死死死死シ死死死死死、死死死シシ死死シ死死死死シ死死シ死死死死シ死死死、死死シ死死死死死シシ死死死死シ死死死死死死死死シ死死死死、死死死死死死死死シ死死死死シ死死死死、死死シ死シシ死死死死死死死死死、シ死死死死シ死死死シシ死死死死死シ死死死、死シ死死死死死死シ死死死死。
墜ちるは、確実な死の未来。
―――――――そんなモノ、殺してやる。
「チッ……フッ、死んだだと?」
首を傾げる。笑みが零れる。
「フハ……フハハハハハ、アハッ、アハハハハハハハハッ――! はぁっ……いやいや、冗談だろ?」
体躯が揺らぎダランと体を落し、壊れたような笑いが溢れる。
自分自身に対してだが、冗談でそんなことを本気で思った俺が、あまりに滑稽だった。そんなこと在りえる道理を残した己を殺したい。
ま、そういう人間なんだけどな?
「ああ、冗談だ。全く以て莫迦らしい。何もできずに死ぬ? 無理だ、絶対に無理だ……」
頭を掻き毟る。
段々と が高揚していくのを感じる。圧倒的な〝死〟を前に、湧き上がる、沸き立つ。
「アハッ、いいぞ――存分に殺し合おう」
手首をバキバキと鳴らす。
エア・ボックスから剣を取り出し構える。
ロングソードを右手に握り、ショートソードを左手で逆手持ちにする。
体勢を低くする。まるで獣のように、下から見上げるようにオークたちを睨む。
「ヴァッアァァァァアアアアァァァァァァアアッッッ!!!」
俺が放つ強い殺気に当てられ怯えるオークたちに、恫喝するような咆哮を響かせる変異個体。
オークたちはその咆哮で怯えは消える。より強い恐怖でオークたちは正気を取り戻す。
「さあ、面白くなってきた。久しぶり形振り構わず――殺してやるよ」
そういい俺は地面を蹴った。
異様な速度でオークに近づくと、軽く二匹の首を斬り落とす。冰晶剣の透き通る刃が美しく輝き、青い鮮血を散らせる。
空を舞うアリシアは力なく崩れるオークの身体を蹴って空中で方向転換、他のオークへ接近し斬撃を放つ。
的確に急所を狙い、颯爽と命を奪い去る。
圧倒的な速度で技術で斬り殺されていくオーク。
一方、シュナはオークの太い足を細身の剣で切断し、地面に転がるオークの首を落す。アリシアとは対照的で、圧倒的な身体能力でオークを殺す。
「ヴァアァァァ――」
「ふッ」
シュナはオークが振りかぶった拳諸共、斜めに切り裂く。
腕が縦に割れ、上半身がズルりと擦り落ちる。身体能力だけに見えて、的確に骨の間を狙うあの斬撃はバケモノ過ぎて笑える。
剣身に付いた血を払いながら、シュナは走り出す。
二人ともあの巨躯を物ともせず、捻じ伏せていく。
いとも容易く殺されていくオークたち、マジであの二人はバケモノだ。と思いつつ、俺もオークへ向かって走る。
「なるほど。通常個体はそこまで強くないのか」
オークの攻撃を躱しつつ懐に入り込むと、手に持ったロングソードを首元に突き刺し殺す。
速度は遅いが、一撃一撃は地面を叩き砕くほど強力。とりあえず、攻撃にさえ注意すれば何とかなりそうだ。
オークたちが死んでいく同胞を見ていきり立つ、一人一人をオークの大群が囲み、集団で一人を殺すと奮闘する。しかし、俺はまだしも他の二人は集まるオーク全てを容易く斬り伏せる。
かくいう俺も放たれるオークの腕を蔦って首元へ接近、その首を斬り落としながらオークの身体を駆ける。
バンッバンッとオークの身体を足場に疾駆する。
無駄は極力なくす――
ほぼすべてのオークを一撃で殺し、殲滅数を着々と増やしていった。
「ヴァアァァァッ!」
振りかぶる拳、オークたちは同胞諸共容赦なく攻撃を放つ。
しかし、その攻撃が放たれる瞬間に俺はもうそこにはいない。オークの身体を踏みつけながら回避、同時に頭部を上から剣で串刺しにする。
十三匹目。
カウンタのように機械的に数を加算する。
「ヴァアァァァアアアァァァァァアア―――――!!!」
「うるさっ」
鼓膜を破るような大きな咆哮。
咆哮の先に視線を向けると、あの変異個体が動き始めたのだ。
あれは流石に無理……。
巨躯を持つ変異種、俺の持つ武装ではそもそも攻撃を与えられないだろう。
チラリと彼女達に視線を向ける。
ん……?
ふと、彼女達の近くで青くキラキラと光る宝石のような物が見えた。
思考が、脳が高速回転する。
本来こんなことに思考を割く時間なんてある筈がない。だが、俺の〝感〟が言っている、お前はいま最悪の窮地に立たされていると。
次の瞬間、俺は叫んだ。
「アリシア! シュナ! 転移結晶を弾けッ!」
「「!」」
彼女達はその声に即座に反応し、落ちてきた青い宝石、転移結晶を剣で弾こうとする。
しかし――転移結晶は剣より速く、青い光を放っていた。
「しまっ――」
シュナのそんな声と共に彼女達は姿を消した。
「…………嘘、だろ?」
青い光と共に消えた彼女達を見て、一気に冷たい汗が溢れる。
「フッ、フハハ」
……誰だか知らんが、エグイことするな。
笑いが零れ、苦笑いを浮かべる。
おそらくドリアたちに指示をした人間なのだろうが、この状況を見てそんなひどいことするなよ。
あーあ、死んだ? 俺?
五十以上のオークを倒したはずだが、既に優に百を越える数のオークが群がっている。そんな光景に絶望するな、と言う方がおかしいだろう。
群がるオークたちは同胞の血肉を貪る。
死臭が香る。噎せ返るような死の匂いが、こびりつく。そして――次は俺。
が死色に染まる。
死んじゃう死んじゃう、死んじゃう死んじゃう、死ぬ死ぬ、死ぬ死ぬ、殺される殺される、殺される殺される……。
死ンジャウ死ンジャウ、死ンジャウ死ンジャウ、死ヌ死ヌ、死ヌ死ヌ、殺サレル殺サレル、殺サレル殺サレル……。
完全に、確実に―――――死んだ。
死。命を落とす――
死。生命の停止――
死。奪われる――
死。殺される――
死……――死死死死死死死死シ死、死死死シ死死死死死死死シ死死死死死、死死死シシ死死シ死死死死シ死死シ死死死死シ死死死、死死シ死死死死死シシ死死死死シ死死死死死死死死シ死死死死、死死死死死死死死シ死死死死シ死死死死、死死シ死シシ死死死死死死死死死、シ死死死死シ死死死シシ死死死死死シ死死死、死シ死死死死死死シ死死死死。
墜ちるは、確実な死の未来。
―――――――そんなモノ、殺してやる。
「チッ……フッ、死んだだと?」
首を傾げる。笑みが零れる。
「フハ……フハハハハハ、アハッ、アハハハハハハハハッ――! はぁっ……いやいや、冗談だろ?」
体躯が揺らぎダランと体を落し、壊れたような笑いが溢れる。
自分自身に対してだが、冗談でそんなことを本気で思った俺が、あまりに滑稽だった。そんなこと在りえる道理を残した己を殺したい。
ま、そういう人間なんだけどな?
「ああ、冗談だ。全く以て莫迦らしい。何もできずに死ぬ? 無理だ、絶対に無理だ……」
頭を掻き毟る。
段々と が高揚していくのを感じる。圧倒的な〝死〟を前に、湧き上がる、沸き立つ。
「アハッ、いいぞ――存分に殺し合おう」
手首をバキバキと鳴らす。
エア・ボックスから剣を取り出し構える。
ロングソードを右手に握り、ショートソードを左手で逆手持ちにする。
体勢を低くする。まるで獣のように、下から見上げるようにオークたちを睨む。
「ヴァッアァァァァアアアアァァァァァァアアッッッ!!!」
俺が放つ強い殺気に当てられ怯えるオークたちに、恫喝するような咆哮を響かせる変異個体。
オークたちはその咆哮で怯えは消える。より強い恐怖でオークたちは正気を取り戻す。
「さあ、面白くなってきた。久しぶり形振り構わず――殺してやるよ」
そういい俺は地面を蹴った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
11
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる