182 / 232
レヴェント編・真紅の血鬼《クリムゾン・ブラッド》
2.息ピッタリ
しおりを挟む
学園に到着した俺達は各々自分の席に着いて一息を吐く。
辺りに視線を向ける。朝練を抜いているのでそれなりに早い時間に教室へ到着したため、中にいる生徒は十数人程度。それもほとんどが知人という状態である。
と、俺が周囲を確認していると、こちらへ駆け寄って来る人物が数人いた。
「ケイヤ、体は大丈夫なのか?」
「ケイヤさん、大丈夫なんですか?」
真っ先にそう言ったのは、オリビア・ケーンレスとアルバート・バルディオスことアルの二人。
他にもオリビアの従者であるルーク・アリュベルンとアイネ・ホーネルン、オリビアの友人であるエヴァ・ローレシア。それとシドとの戦いを見ていた、エイミー・ロベルトンも何故か詰め寄って来た。
「動けるって意味なら大丈夫。痛いか痛くないかなら、今すぐにでも横になりたいくらいには激痛が走ってる」
「それは全然大丈夫じゃないだろ」
「かもな」
「かもなって、今日も休んだ方が良かったんじゃないですか?」
酷く心配そうな表情を向けてくるオリビア。その言葉に他の五人も同様の意見なのか、真剣な眼差しを向け、こちらの言葉を待っている。
「いや、もう十分休んだ。それに寮にいても暇だし、動けないならまだしも動けるんだ。痛いくらいならそのうちになれる、全く動かない方が体に悪いよ」
「ですけど……」
「ソイツに何を言っても無駄だぞ? オリビア・ケーンレス」
そう言ったのは俺の隣に座るアリシア。
「人の忠告を聞いて止まる奴なら、私が苦労しない」
「――――」
アリシアの言葉を聞いてオリビアは口を紡ぐ。
周囲の者も、俺とシドの戦いを見ているからこそ、〝俺〟という人間の頑固さを強く理解し、それ以上の言葉は無意味なのだと悟る。
「なあ、俺ってそんなに苦労掛けるか?」
「今更か?」
「酷くない?」
「以前の言動を鑑みろ。私が何を言っても、お前は自分の意思を貫き通しただろ?」
彼女との今までのやり取りを思い出し、確かにと納得した。
「……ま、往生際が悪いことくらいが俺の取り柄だからな」
「まったく、お前の鋼のような意思には完敗だ。まさかこっちが叩き折られるとは思っていなかったよ……フン、そういう部分なんだろうな。あの怪物がお前を認めた所は……」
「その事実は全然嬉しくないぞ」
「事実は事実だ、甘んじて受け入れろ」
「はぁ~……甘んじて受け入れ難き事実もあるというモノだよ。アリシアさん」
冗談っぽい口調でそう言葉を返すとアリシアは微笑を浮かべた。
こう見ると本当に彼女は初対面の時に比べ、俺に対し表情を見せてくれるようになったと思う。以前の彼女だったら、鋭い視線を向けられて終わっただろう。
あの日から、アリシアの態度は露骨に変わったよな……。
シドとの戦ったあの日、それから彼女の様子がとても大きく変わった気がする。以前に感じた刺々しいイメージが軟化されたような気がする。シドとの戦いを見て、アリシアが俺のことを信用してくれるようになった、なら嬉しいのだが、それとはまたちょっと違う気がする。
そんな疑問を抱きつつ、視線をオリビア達の方へ向ける。
「ま、とりあえず、俺は大丈夫だ……ホント、お前らが無事で良かったよ」
微笑を浮かべてそう言葉を贈る。
オリビア、エヴァ、エイミーさん、ルークとアイネさんの五人は笑みを返してくれたが、一人――否、二人が嘘くさそうな表情を浮かべて言った。
「思ってもないことは言うモノじゃないぞ、ケイヤ」
「ああ、心を偽るのは良くないと思うよ、敬也」
アルと横からそっと現れた宮登がそう言ってきた。
「はぁ……テメェら喧嘩売ってんのか?」
強い眼光と共に二人に威圧を飛ばす。
「悪いがケイヤ、私も二人と同意見だったぞ」
「酷くね?」
「「「日頃の態度の問題だ」」」
「ッ――、……お前ら、一体いつ仲良くなったんだ?」
アリシア、アル、宮登の息の合った言葉に驚きを隠せない。
頭を掻きながら呆れたような目線を向けていると、とある二人の人物が俺の机の目の前に立った。
「えーと、何かご用でしょうか? ルーカさん、フィニスさん?」
「「…………」」
目の前に現れたルーカ・アクロダ、フィニス・エリューベンズの二人は無言のまま、真剣な眼差しをジッとこっちへ向けてくる。
何やら様子のおかしい二人に気後れする。
「「お少し――お時間を頂いてもよろしいですか?」」
「…………」
なにこれ、怖いんですけど……?
またしてもいつ仲良くなったんだ? というペアが俺の前に現れ、困惑する事になった。
辺りに視線を向ける。朝練を抜いているのでそれなりに早い時間に教室へ到着したため、中にいる生徒は十数人程度。それもほとんどが知人という状態である。
と、俺が周囲を確認していると、こちらへ駆け寄って来る人物が数人いた。
「ケイヤ、体は大丈夫なのか?」
「ケイヤさん、大丈夫なんですか?」
真っ先にそう言ったのは、オリビア・ケーンレスとアルバート・バルディオスことアルの二人。
他にもオリビアの従者であるルーク・アリュベルンとアイネ・ホーネルン、オリビアの友人であるエヴァ・ローレシア。それとシドとの戦いを見ていた、エイミー・ロベルトンも何故か詰め寄って来た。
「動けるって意味なら大丈夫。痛いか痛くないかなら、今すぐにでも横になりたいくらいには激痛が走ってる」
「それは全然大丈夫じゃないだろ」
「かもな」
「かもなって、今日も休んだ方が良かったんじゃないですか?」
酷く心配そうな表情を向けてくるオリビア。その言葉に他の五人も同様の意見なのか、真剣な眼差しを向け、こちらの言葉を待っている。
「いや、もう十分休んだ。それに寮にいても暇だし、動けないならまだしも動けるんだ。痛いくらいならそのうちになれる、全く動かない方が体に悪いよ」
「ですけど……」
「ソイツに何を言っても無駄だぞ? オリビア・ケーンレス」
そう言ったのは俺の隣に座るアリシア。
「人の忠告を聞いて止まる奴なら、私が苦労しない」
「――――」
アリシアの言葉を聞いてオリビアは口を紡ぐ。
周囲の者も、俺とシドの戦いを見ているからこそ、〝俺〟という人間の頑固さを強く理解し、それ以上の言葉は無意味なのだと悟る。
「なあ、俺ってそんなに苦労掛けるか?」
「今更か?」
「酷くない?」
「以前の言動を鑑みろ。私が何を言っても、お前は自分の意思を貫き通しただろ?」
彼女との今までのやり取りを思い出し、確かにと納得した。
「……ま、往生際が悪いことくらいが俺の取り柄だからな」
「まったく、お前の鋼のような意思には完敗だ。まさかこっちが叩き折られるとは思っていなかったよ……フン、そういう部分なんだろうな。あの怪物がお前を認めた所は……」
「その事実は全然嬉しくないぞ」
「事実は事実だ、甘んじて受け入れろ」
「はぁ~……甘んじて受け入れ難き事実もあるというモノだよ。アリシアさん」
冗談っぽい口調でそう言葉を返すとアリシアは微笑を浮かべた。
こう見ると本当に彼女は初対面の時に比べ、俺に対し表情を見せてくれるようになったと思う。以前の彼女だったら、鋭い視線を向けられて終わっただろう。
あの日から、アリシアの態度は露骨に変わったよな……。
シドとの戦ったあの日、それから彼女の様子がとても大きく変わった気がする。以前に感じた刺々しいイメージが軟化されたような気がする。シドとの戦いを見て、アリシアが俺のことを信用してくれるようになった、なら嬉しいのだが、それとはまたちょっと違う気がする。
そんな疑問を抱きつつ、視線をオリビア達の方へ向ける。
「ま、とりあえず、俺は大丈夫だ……ホント、お前らが無事で良かったよ」
微笑を浮かべてそう言葉を贈る。
オリビア、エヴァ、エイミーさん、ルークとアイネさんの五人は笑みを返してくれたが、一人――否、二人が嘘くさそうな表情を浮かべて言った。
「思ってもないことは言うモノじゃないぞ、ケイヤ」
「ああ、心を偽るのは良くないと思うよ、敬也」
アルと横からそっと現れた宮登がそう言ってきた。
「はぁ……テメェら喧嘩売ってんのか?」
強い眼光と共に二人に威圧を飛ばす。
「悪いがケイヤ、私も二人と同意見だったぞ」
「酷くね?」
「「「日頃の態度の問題だ」」」
「ッ――、……お前ら、一体いつ仲良くなったんだ?」
アリシア、アル、宮登の息の合った言葉に驚きを隠せない。
頭を掻きながら呆れたような目線を向けていると、とある二人の人物が俺の机の目の前に立った。
「えーと、何かご用でしょうか? ルーカさん、フィニスさん?」
「「…………」」
目の前に現れたルーカ・アクロダ、フィニス・エリューベンズの二人は無言のまま、真剣な眼差しをジッとこっちへ向けてくる。
何やら様子のおかしい二人に気後れする。
「「お少し――お時間を頂いてもよろしいですか?」」
「…………」
なにこれ、怖いんですけど……?
またしてもいつ仲良くなったんだ? というペアが俺の前に現れ、困惑する事になった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
11
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる