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竜殺し編・焔喰らう竜
22.火焔竜
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現在、クレアについて行くことにした俺は、二人で火災原因である竜の元へ向っていた。
そして、俺は彼女に聞かなければならなかったことを尋ねた。
「なあ、今更で悪いんだけど……〝竜〟って何なんだ?」
燃える街を駆け抜ける中、沙耶や天音に聞きそびれていた事を彼女に聞くことにした。
今現在、竜の元へ向かうのはいいのだが、俺は現状何が起きているのかすら全く把握していない。よくここまでほとんど知らない状態で走っていたと思う。
「因みに、殻とかについては多少知ってる」
「そう。なら、簡潔に竜について教える」
右手で光球を発生され、周囲に迫ってきたフリーカーを撃破しつつ、彼女はそう言った。
「ああ、頼む」
慣れてきたその光景を流しつつ、聞いた。
「今、私達が追っているのは、〝星の内部機関〟その複製体、竜の異星個体。火焔竜・イグナイス」
「イグナイス」
何度か沙耶や天音が口にしていた名前。
「星には複数の機関があって、その一つが〝龍〟と呼ばれる存在。その龍を元に作り出された複製体が、〝竜〟と呼ばれる存在。竜は星の抑制機関の一つ、存在自体が奇跡そのもの、模造品でありながら在来生命を一切寄せ付けない、種としての最上級の一角」
「そんなのに勝てるのか?」
「勝てなきゃ絶滅するだけ」
「っ――」
彼女は真剣な表情でそう言った。
「これは個人的な戦いじゃない、種全体としての生存競争なの。どちらが生きるか、死ぬか。私達が負ければ、人類すべてが潰えることになる」
「…………」
事の重大さを理解していたつもりだったが、彼女の言葉でその認識すらまだ甘かったのだと思い知る。事はただ大量に人が死ぬだけじゃない、この結果は人類全ての命運を決めることになる。
認識を改めたところで、不意に疑問がやってくる。
「なあ、竜は星の抑制機関なんだよな? ならどうしてこんなことを――」
燃え盛る街を見て、明らかな違和感を抱いた。
「それはさっき言ったでしょ。異星個体って……」
「異星、個体……? ――っ!」
その言葉を聞き、五年前の記憶がフラッシュバックした。
「そういうことか……確かに、この星のモノじゃないなら、地表がどうなろうと関係なんてないのか」
「そう。外来の星は、星の地表に這う存在をただ喰らうだけの存在。この星自体に、いい影響なんて与えるわけがない」
あの日、落ちて来た星とはそういう事なのだろう。
竜を内包していたのか、竜と成ったのか……所在を俺が知るわけがないし、知ったところでどうも思わないだろう。なら今は――彼女の尽くすだけでいいだろう。
「事情はわかった。あとは随所で聞くからその時、教えてくれ。今聞いても、全部忘れそうだ」
そういうと、彼女はコクリと頷いて前を向いた。
そして俺たちは、ついに――それと出会うことになった。
そして、俺は彼女に聞かなければならなかったことを尋ねた。
「なあ、今更で悪いんだけど……〝竜〟って何なんだ?」
燃える街を駆け抜ける中、沙耶や天音に聞きそびれていた事を彼女に聞くことにした。
今現在、竜の元へ向かうのはいいのだが、俺は現状何が起きているのかすら全く把握していない。よくここまでほとんど知らない状態で走っていたと思う。
「因みに、殻とかについては多少知ってる」
「そう。なら、簡潔に竜について教える」
右手で光球を発生され、周囲に迫ってきたフリーカーを撃破しつつ、彼女はそう言った。
「ああ、頼む」
慣れてきたその光景を流しつつ、聞いた。
「今、私達が追っているのは、〝星の内部機関〟その複製体、竜の異星個体。火焔竜・イグナイス」
「イグナイス」
何度か沙耶や天音が口にしていた名前。
「星には複数の機関があって、その一つが〝龍〟と呼ばれる存在。その龍を元に作り出された複製体が、〝竜〟と呼ばれる存在。竜は星の抑制機関の一つ、存在自体が奇跡そのもの、模造品でありながら在来生命を一切寄せ付けない、種としての最上級の一角」
「そんなのに勝てるのか?」
「勝てなきゃ絶滅するだけ」
「っ――」
彼女は真剣な表情でそう言った。
「これは個人的な戦いじゃない、種全体としての生存競争なの。どちらが生きるか、死ぬか。私達が負ければ、人類すべてが潰えることになる」
「…………」
事の重大さを理解していたつもりだったが、彼女の言葉でその認識すらまだ甘かったのだと思い知る。事はただ大量に人が死ぬだけじゃない、この結果は人類全ての命運を決めることになる。
認識を改めたところで、不意に疑問がやってくる。
「なあ、竜は星の抑制機関なんだよな? ならどうしてこんなことを――」
燃え盛る街を見て、明らかな違和感を抱いた。
「それはさっき言ったでしょ。異星個体って……」
「異星、個体……? ――っ!」
その言葉を聞き、五年前の記憶がフラッシュバックした。
「そういうことか……確かに、この星のモノじゃないなら、地表がどうなろうと関係なんてないのか」
「そう。外来の星は、星の地表に這う存在をただ喰らうだけの存在。この星自体に、いい影響なんて与えるわけがない」
あの日、落ちて来た星とはそういう事なのだろう。
竜を内包していたのか、竜と成ったのか……所在を俺が知るわけがないし、知ったところでどうも思わないだろう。なら今は――彼女の尽くすだけでいいだろう。
「事情はわかった。あとは随所で聞くからその時、教えてくれ。今聞いても、全部忘れそうだ」
そういうと、彼女はコクリと頷いて前を向いた。
そして俺たちは、ついに――それと出会うことになった。
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