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第一章 神様サポートで能力確認して練習そして町に着くまで

1、異世界転移です自動サポートシステムが起動しました

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 サポートシステムとかで、頭の中に情報がインストールされていく。ボクは思った。これ受験勉強に使えていたら、すごく良かったんだけど……。

 この世界の共通言語、一般常識、地理情報、現在の自分の状況などが、短期記憶ではなく長期記憶の領域に収まっていく。
 普段使わない情報でさえ、十年単位ならともかく、数年間は忘れることは無いだろう。

 このサポートで、チート能力や神器などは貰えなかった。まあ、当然か……。

 言わば、ボクは異世界難民、哀れに思って慈悲のサポートはあるが、それ以上は自力で何とかするモノ、という事ではないだろうか。

 生活環境の良い経済大国で、数年間の生活保護が無きゃダメ、とか。
 それぞれが、自分だけの特別扱いを求めていたら、世界の均衡なんて無くなってしまうものだ。
 この世界の普通に努力している人間にも失礼だろう。

 インストールが終わると、ボクはキャリーバックの中を確かめた。

 ぽち、たま、うさ子、皆いる。ボクと一緒に来てしまっている。だが、駅のホームに残されるよりは、マシだろう。
 保護者のボクがいなければ最悪、保健所行きで死なせることになる。

 ボクらは結界の中にいる。三日後には無くなるが、今は安全だ。結界の中には、見慣れない荷物もある。
 大きい、あまりカッコ良くないリュックサック。この中に数日分の食料、着替え、お金などが入っている。
 側には槍とナイフ、水筒もある。どれも、何処にでもあるC級品だとサポート情報で分かっている。水筒はC級品だが、魔道具だ。
 
 手ぶらで来る人のほうが多いからね。荷物いっぱいのボクでも、水や武器、この世界のお金と、足りない物はいっぱいある。

 安全な三日間のうちに、色々確認して準備しなさい。という事で、これでサポートは終了となる。

 この世界は、魔法があり、ステータス表示制をとっている。
 あらゆる行為に、その行動とレベルに応じた経験値が加算され、ステータスやスキルに反映されて行く。
 成績表をつけて、人間の努力を促しているらしい。努力をする人が善人とは限らないが……。
 
 強さを求めて、努力する悪党。悪事を重ねて経験値を積んで行く、人の形をした災厄とでも言うべき者もいる。

 人間を襲うモンスター、野生動物も存在する。この世界は、日本の様に平和ではない。槍とナイフに目が行く。この世界の現実だ。

 サポートでチートは貰えないが、この世界の人と同様のチャンスは与えられている。異世界でも、生まれつきの才能の差がある。当たり前だが、それは人それぞれ。平等、何それ? なのだ。

 ボク達は、この世界に転移した時に、この世界に生まれた扱いでジョブやスキルが与えられている。それはステータスで確認できる。

 見るのが怖い。

 およその見当の付いている成績表を開くより、ずっと怖い。

 ジョブは、ある筈だ。ジョブなしで生まれても、後天的にジョブは得られるので、その心配は無い。だが変更も選択もできない。

 ジョブによって、得られ易いスキルが変わる。ジョブが剣士なら、剣術スキルを最初から持っている場合もある。でなくても、一年もすれば覚えられる。
 だが剣術スキルを、町人や村人のジョブで得ようとすれば十年はかかるだろう。

 生まれつきのスキル所持率も、ジョブにより変わる。町人や村人は、1%以下。剣士は30%、超レアなジョブ剣聖なら、100%にもなる。

 行きます。「ステータス」声に出す必要は無かった。ちょっと恥ずかしい。


名前:山本 海斗 Lv1 ジョブ:守護者(限定) 種族:人族
HP  52 MP  55 
筋力   51 (ステータス+:6、5、4)
速さ   50 (ステータス+:5、6、5)
防御   51 (ステータス+:6、5、4)

魔力   53 (ステータス+:7,7,6)

スキル:亜空間収納アイテムボックス+魔力変換 

(スキル+:身体強化Lv1 雷魔法Lv1 治癒魔法Lv1)


 ボクのステータスは、この世界の常識からみると、少し変だった。目の前に浮かんだ画面をタップして、ジョブとスキルを調べてみる。


守護者(限定):ぽち、たま、うさ子限定の守護者。対象との念話が可能。
        ステータス+、スキル+で強化される。

亜空間収納アイテムボックス+魔力変換:収納能力、100m×100m×100m。
           収納された物を任意で解析、リスト化。
           リスト化した物を魔力で生成可能。


 チートだった。

 ボクのチートは、ぽち、たま、うさ子。この子達のおかげで得たチートらしい。

『おなかすいた』『ごはん』『みるく、みるく』

 キャリーバックの中から、ようやく目を覚ましたらしい子供達の念話こえが聞こえてきた。

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