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第六章 家族で異世界転移した日本人との出会い
1、10年前に異世界に転移した家族は定住していました
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空野和弘は、走らせていた車を急に止めた。実家に里帰りして、家族を乗せての帰り道の事である。
夫の実家で気疲れしたのか、ウトウトしていた妻の花織が完全に目を覚まして声をかける。
「どうしたの?」
「道に迷った?……というか、急に道が消えた」
「……消えたって、そんな」
車の前方フロントガラスの向こう、左ドアの窓の外をうかがう。身を乗り出して後のリアガラスの向こうも見る。
そこには、草原が広がっていて遠くまで見渡せた……。
「どこよ、ここ。標識も道もないじゃない!」
「ああ、急に消えて、草原になった……」
呆然とした顔で首を振る。父親と母親の声に、子供達が目を覚ました。
「「……お家ついたの?」」
その時、それぞれの頭の中に異世界の言語が響いた。そして、その言語の意味が日本語に置き換えられる。
《あなたを次元転移被害者と認定します》
《ただ今より、サポートシステムを起動します》
第六王家の領地。マリアクアの町に、プリン堂という店があった。
10年前に日本から、この異世界に転移して来た、日本人が開いた店である。
この世界は、日本と比べれば命が軽い。
幼い子供を抱える一家は、安全な町に定住する道を選んだのだ。
神様からの転移サポートで、身分証と一人八百八万八千マール4人分約三千二百万マールのお金があった。
その日本人の家族が、異世界で生活基盤を築くには十分だった。
プリン堂は、そこそこ高級なスイーツの店である。
限定販売のスイーツは、短時間で売り切れる。レシピを秘密にして調理は家族で、販売員は町の住民を雇っている。
日本のスイーツを、専業主婦のジョブを持つ花織が、料理スキルを駆使して再現した。
店の名前の由来は、最初に再現したプリンである。
食材の仕入れは、手品師のジョブを持ちアイテムボックスのスキルを持つ夫の和弘が担当している。
空野和弘と花織は町の外に出る事は無かった。しかし、ステータスの見られる異世界。日本人らしく、こつこつとステータスを上げる努力を続けていく。
二人の子供の和也と花音にも、出来る限りの教育を行う。実戦経験こそ無かったが、スキルもステータスも成長していた。
空野家の夫婦、和弘と花織。その子供の和也と花音。みんな、そこそこの実力者になっていた。
「和也が、出て行った……」
うろたえる母親と諦めたような父親の言葉に、花音が驚く事はなかった。
兄の和也が冒険者ギルドに登録した事は、すでに知っていた。そのうえ冒険者仲間と、日帰りで町の外の森に狩りに出ている事すら知っている。
花音も、仲間にならないかと冒険者に誘われる事は多い。同年代の中で、そこそこ強く、便利なスキルまで持っている。
両親の教育が実り兄も花音も、彼らにはお買い得物件だったのだ。
「17歳って、日本ならまだ高校生よ!」
「ここは日本じゃなくて、この世界じゃ15歳で一人前だから……」
母の花織に睨まれ父が黙り込む。
花音も16歳になる。外は怖いと思うが、小さい頃からの遊び仲間にも冒険者になってる者はいる。彼らに比べて、花音は自分が弱いとは思わない。
「だから、未熟なまま命を落とす子供が多いのよ! せめて、18歳までは勉強するべきよ」
「……和也は大丈夫だ。ちゃんとスキルも覚えて、充分に強いし頭も良い」
「そんなの当たり前よ! 私達の子供だもの!」
花織は異世界で、すっかり過保護な教育ママになっていた。冒険者ギルドで、和也の現在の状況をどうやって聞きだすか。和弘と相談し始めた……。
私が外の世界を見て来たいと言ったら、母はどう反応するのだろう? 花音は不安に思う。
ちょっとした冒険心は、花音にもある。
「お兄ちゃん……ずるい」
そう、呟くと決意した。兄よりも両親よりも強くなる……。
そうすれば、ちょっとした冒険くらいは認めてくれるハズよね? 花音は、そう思うと、練習の強化を決意する。
花音は剣術の稽古を終えて、冒険者ギルドから家に帰ろうとしていた。そのとき、すれ違いざまに日本語の声を聞いた。
「ちゃちゃちゃ、にっぽん!」
花音は思わず、その日本語を話した少年を方に振り向く。
花音と同年齢くらいだろうか? 花音は、相手の正体を確かめようと頭を働かせようとする。
美人で強そうな女性と、綺麗な男性? と一緒だ。
少年と目が合う。もう一度少年は、しっかりと花音を見て拍手をしながら言った。
「ちゃちゃちゃ、にっぽん!」
「オリンピック……? あなた、日本人?」
花音は、記憶の底にあるスポーツの祭典の名を思い出しながら、少年を見て呟いた……。
夫の実家で気疲れしたのか、ウトウトしていた妻の花織が完全に目を覚まして声をかける。
「どうしたの?」
「道に迷った?……というか、急に道が消えた」
「……消えたって、そんな」
車の前方フロントガラスの向こう、左ドアの窓の外をうかがう。身を乗り出して後のリアガラスの向こうも見る。
そこには、草原が広がっていて遠くまで見渡せた……。
「どこよ、ここ。標識も道もないじゃない!」
「ああ、急に消えて、草原になった……」
呆然とした顔で首を振る。父親と母親の声に、子供達が目を覚ました。
「「……お家ついたの?」」
その時、それぞれの頭の中に異世界の言語が響いた。そして、その言語の意味が日本語に置き換えられる。
《あなたを次元転移被害者と認定します》
《ただ今より、サポートシステムを起動します》
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神様からの転移サポートで、身分証と一人八百八万八千マール4人分約三千二百万マールのお金があった。
その日本人の家族が、異世界で生活基盤を築くには十分だった。
プリン堂は、そこそこ高級なスイーツの店である。
限定販売のスイーツは、短時間で売り切れる。レシピを秘密にして調理は家族で、販売員は町の住民を雇っている。
日本のスイーツを、専業主婦のジョブを持つ花織が、料理スキルを駆使して再現した。
店の名前の由来は、最初に再現したプリンである。
食材の仕入れは、手品師のジョブを持ちアイテムボックスのスキルを持つ夫の和弘が担当している。
空野和弘と花織は町の外に出る事は無かった。しかし、ステータスの見られる異世界。日本人らしく、こつこつとステータスを上げる努力を続けていく。
二人の子供の和也と花音にも、出来る限りの教育を行う。実戦経験こそ無かったが、スキルもステータスも成長していた。
空野家の夫婦、和弘と花織。その子供の和也と花音。みんな、そこそこの実力者になっていた。
「和也が、出て行った……」
うろたえる母親と諦めたような父親の言葉に、花音が驚く事はなかった。
兄の和也が冒険者ギルドに登録した事は、すでに知っていた。そのうえ冒険者仲間と、日帰りで町の外の森に狩りに出ている事すら知っている。
花音も、仲間にならないかと冒険者に誘われる事は多い。同年代の中で、そこそこ強く、便利なスキルまで持っている。
両親の教育が実り兄も花音も、彼らにはお買い得物件だったのだ。
「17歳って、日本ならまだ高校生よ!」
「ここは日本じゃなくて、この世界じゃ15歳で一人前だから……」
母の花織に睨まれ父が黙り込む。
花音も16歳になる。外は怖いと思うが、小さい頃からの遊び仲間にも冒険者になってる者はいる。彼らに比べて、花音は自分が弱いとは思わない。
「だから、未熟なまま命を落とす子供が多いのよ! せめて、18歳までは勉強するべきよ」
「……和也は大丈夫だ。ちゃんとスキルも覚えて、充分に強いし頭も良い」
「そんなの当たり前よ! 私達の子供だもの!」
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私が外の世界を見て来たいと言ったら、母はどう反応するのだろう? 花音は不安に思う。
ちょっとした冒険心は、花音にもある。
「お兄ちゃん……ずるい」
そう、呟くと決意した。兄よりも両親よりも強くなる……。
そうすれば、ちょっとした冒険くらいは認めてくれるハズよね? 花音は、そう思うと、練習の強化を決意する。
花音は剣術の稽古を終えて、冒険者ギルドから家に帰ろうとしていた。そのとき、すれ違いざまに日本語の声を聞いた。
「ちゃちゃちゃ、にっぽん!」
花音は思わず、その日本語を話した少年を方に振り向く。
花音と同年齢くらいだろうか? 花音は、相手の正体を確かめようと頭を働かせようとする。
美人で強そうな女性と、綺麗な男性? と一緒だ。
少年と目が合う。もう一度少年は、しっかりと花音を見て拍手をしながら言った。
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