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第二部一章 第七王家の所領で盗賊退治
4、絶体絶命!? 公爵の悪役転生~新しい雷魔法
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突然の事とは言え公爵は、剣鬼カーク・スチュアートの敗北を口に出してしまった。
更にはカーク敗北の真偽を確かめる時にも、公爵はうかつであった。それは公爵の配下達に、瞬く間に広まってしまうことになる。
公爵直接の配下は少ない。まして、裏の仕事をこなす凄腕の者と言ったら、カーク一人だった。
カークには、裏の仕事を任せられるカーク個人のつながりもあり、それで事足りていたのである。
剣鬼カークがひとり欠けることで、公爵の裏世界における力はたちまち脆弱になった。
それは、家族を人質にとられ公爵にコレクションされていた異世界人エチゴヤの知るところにもなった。
これまでエチゴヤは、公爵に敵対する行動を起こすつもりは無かった。それは真偽のスキルによっても確認されている。
エチゴヤは敵対行動が、家族の死につながると冷静に判断していた。
そして、ただ情報のみを集め続けた。どこにどのような悪事の証拠の品があるのか、エチゴヤは全て知っていた。
それは使われる時を待っていた。存在しなかった叛意は急速に形をとっていく。
ハッチ・ウーリッカは、審判者のジョブの所持者である。そして真偽のスキルをもって、公爵の安全を担保している。
ハッチが自室に帰ってくると、そこにエチゴヤがいた。
「こんばんは、ハッチさん」
「……な、何をしてるんでやすか!」
「ご挨拶に来ました。これから公爵の悪事の証拠を届けて、聖王都を出るつもりでして……」
「そんなマネが許されると思ってるでやんすか!」
「何故、あなたに話したと思います?」
慌てて逃げようとするハッチの腹部にナイフが刺さる。
「正しい行いをしようとして、命を脅かされる。……正当防衛が成立するからですよ。
この世界の、正当防衛の考え方がまともで助かりました」
日本的な正当防衛を遵守していたら、家族を失う破目になりかねないとエチゴヤは思っていた。今しばらく準備が整うまで時間が掛かる。
その間ハッチが居ては、公爵の気まぐれな質問ひとつで全てを失いかねないのだ。
ハッチの死は、公爵に更なる混乱を与えた。そして危機感から、公爵はわずかな手勢を自分の周りに集めた。
その中には、エチゴヤの家族を監視する役目を持つ者までもが含まれていた。
エチゴヤは、公爵の犯罪行為の証拠を関係各所にばら撒いた。去り際に公爵の姿を見て思う。
この男はバカなのだと。己の非道な行いで、人の恨みを買っているなどとは思いもしない程愚かなのだと……。
エチゴヤと呼ばれていた男は、聖王都から家族と共に姿と消した。
「エチゴヤは、今日で終わりだよ。
これからは、カズマ・アキタガワ・グリーンフィールドだ……」
アレキサンダー・アールファン聖王は、最後の報告書を読み終えて呟いた。机の上にはかなりの分量の報告書が散らばっている。
「バカな弟だとは思っていたが、……ここまでとはな。
しかし、剣鬼がアレの所に居たとは……。そして、敗れたというのか。あの剣鬼が……」
その日、聖王家の命を受けて、第六王都へ向かう一団があった。そして、もう一つ聖王家の影の部分をつかさどる部隊が動いた。
公爵邸の出入り口などの逃げ道を聖王都の警備兵が封鎖すると、実行部隊が突入していく。
貴重なコレクションを多数所有する公爵邸の警備力は高く、侵入者があることは直ぐに探知された。
しかし、実力で正面突破してくる相手を止めるには、守る側にも相応の力が必要なのである。
「な、何があった。侵入者は何者だ!
直ぐに、救援を呼べ! 王族の屋敷を襲う不届きもを捕らえるのだ!」
「公爵様! 正規兵です! 王都の正規兵が出入り口を封鎖しています!」
「なっ、なんだと……!」
公爵は、慌てふためきながらも自室に駆け込んだ。幾つかの最も貴重なコレクションが置いてあり、屋敷の中でもっとも安全な場所でもある。
逃げ込むと、間もなく扉の向こうに侵入者が集まる気配がする。
直ぐに扉は破られるだろう。公爵を相手に正規兵が動いたとなれば、相手は兄である聖王しか考えられない。
もはや死は免れられない。絶望の中で、部屋の中コレクションを眺めていた。すると、その中の一つが『ポゥ』と軽く光って見えた。
覚えのある感覚に、公爵は導かれるように、それを手に取った。
公爵は特殊なスキルを持っていて、それはレアなコレクションを始めるきっかけの一つでもあった。
そのスキルは、起死回生という。30年前に公爵を王位争いから救ったスキルでもある。
公爵が手に取ったコレクションは魔法薬だった。それは数百年前の錬金術師が作った『竜の血』という竜への転生薬である。
しかし、それは物品鑑定により確かめられたモノであって、誰も成功したものはいない。
扉が破られようとする音と共に、公爵は『竜の血』を一息に飲み干した。
焼き尽くすかのごとき痛みとともに『竜の血』は、その体を駆けめぐる。骨が軋み捻じれ変形していく。
あまりの痛みに意識が飛ぶ。そして、竜の血が覚醒させる。繰り返し、繰り返し……。
永遠とも思われる時間は、わずか数分でしかなかった。
ウォッーン! ウォッーン! グルッルルルル……。
意識が戻ると、溢れかえる力に歓喜の声を上げる。そのまま息を吸い込み、吐く息にに魔力を込め部屋の外壁をぶち壊した。そして、そこから空へ飛び上がる。
人としての意識よりは本能に任せていた。
竜に変じた公爵は兄である聖王を討とうと城を睨む。しかし、その居城の中に、わが身を脅かしかねない力を感じ取ることになる。
戦うことなく公爵は逃げた。泡を食い、竜が住むといわれている北西の山を目指す。
北西の山に近づけば遥か彼方から、あきらかな殺気が届いた。竜に変じたとは言え、自分と同等以上の竜の住処に向かう愚をそこで思い至る……。
そして再び方向を変え、竜となった公爵は第三王家の所領へ飛んで行くことになった。
☆☆☆
ナディアちゃん達と別れた後、街道を少し外れる。
魔法の実験や練習などは、何が起こるか分からないので町中では出来ない。
女神のスマートフォンでインターネットから、電磁バリアなどの情報を調べてみた。ネット接続は時間制限がきついので検索して素早く読み込む必要がある。
電磁装甲なんてものもあった。今まで使っていたスタンガンの魔法を防御方面でも使えるかもしれない。
そして、いま最も必要としているのが雷魔法によるレーダーである。
ぽち、たま、うさ子の強化された五感で、あまり必要性を感じなくなっていたのだが。前回の戦いで、三匹の探知能力で捉えられない相手がいた。
あの敵は、視覚、聴覚、嗅覚、気配と完全に姿を消して見せた。
それをマリアさんは、魔法の霧で探知していた。
ボクは現代知識からのアプローチで、可能であるという確信を持って使える雷魔法の種類を増やした。
たまが、レーダーの魔法に一番喜んでいたかも知れない。嗅覚でぽちに、聴覚でうさ子に探知能力では及ばなかったからだろう。
『カイト、とうぞく発見~!』
一番先に見つけると、とても嬉しそうに伝えてきた。
◇==========================◇
応援よろしくお願いします。
更にはカーク敗北の真偽を確かめる時にも、公爵はうかつであった。それは公爵の配下達に、瞬く間に広まってしまうことになる。
公爵直接の配下は少ない。まして、裏の仕事をこなす凄腕の者と言ったら、カーク一人だった。
カークには、裏の仕事を任せられるカーク個人のつながりもあり、それで事足りていたのである。
剣鬼カークがひとり欠けることで、公爵の裏世界における力はたちまち脆弱になった。
それは、家族を人質にとられ公爵にコレクションされていた異世界人エチゴヤの知るところにもなった。
これまでエチゴヤは、公爵に敵対する行動を起こすつもりは無かった。それは真偽のスキルによっても確認されている。
エチゴヤは敵対行動が、家族の死につながると冷静に判断していた。
そして、ただ情報のみを集め続けた。どこにどのような悪事の証拠の品があるのか、エチゴヤは全て知っていた。
それは使われる時を待っていた。存在しなかった叛意は急速に形をとっていく。
ハッチ・ウーリッカは、審判者のジョブの所持者である。そして真偽のスキルをもって、公爵の安全を担保している。
ハッチが自室に帰ってくると、そこにエチゴヤがいた。
「こんばんは、ハッチさん」
「……な、何をしてるんでやすか!」
「ご挨拶に来ました。これから公爵の悪事の証拠を届けて、聖王都を出るつもりでして……」
「そんなマネが許されると思ってるでやんすか!」
「何故、あなたに話したと思います?」
慌てて逃げようとするハッチの腹部にナイフが刺さる。
「正しい行いをしようとして、命を脅かされる。……正当防衛が成立するからですよ。
この世界の、正当防衛の考え方がまともで助かりました」
日本的な正当防衛を遵守していたら、家族を失う破目になりかねないとエチゴヤは思っていた。今しばらく準備が整うまで時間が掛かる。
その間ハッチが居ては、公爵の気まぐれな質問ひとつで全てを失いかねないのだ。
ハッチの死は、公爵に更なる混乱を与えた。そして危機感から、公爵はわずかな手勢を自分の周りに集めた。
その中には、エチゴヤの家族を監視する役目を持つ者までもが含まれていた。
エチゴヤは、公爵の犯罪行為の証拠を関係各所にばら撒いた。去り際に公爵の姿を見て思う。
この男はバカなのだと。己の非道な行いで、人の恨みを買っているなどとは思いもしない程愚かなのだと……。
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その日、聖王家の命を受けて、第六王都へ向かう一団があった。そして、もう一つ聖王家の影の部分をつかさどる部隊が動いた。
公爵邸の出入り口などの逃げ道を聖王都の警備兵が封鎖すると、実行部隊が突入していく。
貴重なコレクションを多数所有する公爵邸の警備力は高く、侵入者があることは直ぐに探知された。
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公爵は、慌てふためきながらも自室に駆け込んだ。幾つかの最も貴重なコレクションが置いてあり、屋敷の中でもっとも安全な場所でもある。
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直ぐに扉は破られるだろう。公爵を相手に正規兵が動いたとなれば、相手は兄である聖王しか考えられない。
もはや死は免れられない。絶望の中で、部屋の中コレクションを眺めていた。すると、その中の一つが『ポゥ』と軽く光って見えた。
覚えのある感覚に、公爵は導かれるように、それを手に取った。
公爵は特殊なスキルを持っていて、それはレアなコレクションを始めるきっかけの一つでもあった。
そのスキルは、起死回生という。30年前に公爵を王位争いから救ったスキルでもある。
公爵が手に取ったコレクションは魔法薬だった。それは数百年前の錬金術師が作った『竜の血』という竜への転生薬である。
しかし、それは物品鑑定により確かめられたモノであって、誰も成功したものはいない。
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