人間は敵ですか?うさぎ転生 

亜々流

文字の大きさ
1 / 15
第一章 ウサギは強くなれるのか?

1、社畜からニートを拗らせて小説家を目指してみたら ウサギに転生してました

しおりを挟む
 ブラックな会社で、心をすり減らした。なんとか退職したオレは、取り合えずネット三昧な暮らしをしていた。
 廃人系ネトゲを軽くかじりつつ……数年。
 これはまずいと、無理やりに意識をそらした先が、ウェブ小説の異世界転生モノだった。
 
 はまったよ。ブックマークが100を超え、200に迫っている。これなら、ネトゲ廃人でも、変わらなかったのか? オレはネット依存症を自覚する事になった。

 失業保険の6ヶ月。そのあとゲームにウェブ小説……。もう、何年たっただろうか?
 300万円を超えていた貯金も、いつの間にか50万円をきっている。かなり、底辺な生活レベルだったと思う。が、もう1年も持たないだろう。
 
 そろそろ、働かなきゃ……ね。
 
 求人誌を見ると、なんだか背中がぞわぞわする……よ。 

 面接の電話をかけようとすると、軽い呼吸困難になる。……いったん中止。

 ネットで、気を紛らわせる。あぁ……。今日はもう、受付時間すぎてる、ね……。

 ああぁ。ここ何年か、ほとんど人と話していないような……。

 先送りして、落ち着かない気分が続く。……続く。 

 次の日は、何故かお腹も痛くなってきた。……明日にしよう。

 なんか、やばいよ。うん、やばい。
 ……こんなときは、ウェブ小説でも読んで気を紛らわします。
 
 日間の総合ランキングから、未読の作品説明を読んでいく。う~ん39位「BGMは魔法でした」か、読んでないね。異世界転生、テンプレものかな? ユニークスキルのBGM魔法、ふむふむ。
 ちょっと変わった魔法で、他作品との差別化を狙ってるんだね。

 新人さんの処女作かな。まだ、5話分2万文字か。最近書き始めたみたいだね。この人も小説家を目指して、がんばってるのかな……。ふと、思ったんだ。

 オレにも、書けるかな?

 ここで書き始めて、出版化までいった人が何人もいる。
 作家さんか……。自営業だね。デビュー出来たら仕事を探さなくても、よくなるかも知れない。

 うん、……そうだ。小説家になろう。   


 オレはそんなこんなで、ウェブ小説投稿サイト「小説家になるよ」で異世界転生物を書こうと思った。まだ使われていない転生先を、あれこれ考えていた。

 ドラゴン、エルフ、スライム、スケルトン、蜘蛛。
 木に石ころ、地面……自動販売機。もう、出尽くしてるのか? ……あれ、スライムと同じく定番だけど、一角うさぎへの転生って、まだ無いよね?

「ウサギでチート。ホーンラビット、うさぎ転生。いいんじゃないか……」

「よし、その願い、叶えてやろう」

 いきなり、頭の中に声が響く。そして暗転、すべての感覚が消え重力からさえも開放された。そのとき、その瞬間から人間としてのオレは死んだ……。



 ペロペロと全身をなめ回されている、巨大な舌で。本能で体が勝手に動くと、匂いに導かれ何かを口に含む。ミルクが口いっぱいに広がった。
 舌が大きいんじゃなくて、オレが小さいんだね。あと人間じゃない何かに、生まれ変わっちゃってるような……。

 こうなる前に、頭の中に響いてきた言葉を思い出す。

「よし、その願い、叶えてやろう」……その願い? って、何だよ? オレは、何かお願いしたか? その結果が生まれ変わり?

 ……これ、異世界転生なのか? ステータスとか、見れるのか?
 
(ステータス、ステータス……?!)

 まだ開けられない目蓋、瞳の中にステータス画面が浮かび上がる。


名前 宇佐美 拓也 種族 ツノウサギ 0歳 Lv1
HP 10 MP 3
攻撃力 1
防御力 1
魔法力 1
魔防力 1

スキル 保護色Lv1 二段跳びLv1 脱兎Lv1 隠行Lv1 赤目Lv1 

魔法 身体強化魔法Lv1 ブレス魔法Lv1

欄外 ○×▽神の加護:限界突破 進化開放 言語理解 前世記憶

伝言メール 1件(点滅中)


 あ~、社畜からニートを拗らせて、小説家を目指してみたら、ウサギに転生してしまいました。

 ステータスを見てると、チカチカと自己主張を続ける伝言メール? これ、あの声の主だよね。
 タップするつもりで、意識を向けてみる。音声が頭の中に広がっていく。 

☆☆☆
 わし、神じゃからな。あれが小説のアイディアの話だったって、コンマ一秒後には気づいたのじゃよ。が、すでに魂を抜いて体も始末した後じゃった。で、そのまま転生させる事にしたのじゃ。w
 
 うっかり、一度いじった魂を元に戻そうと無理な力を加えて、ポンッと完全消滅させてしまう未熟者も多いからのう。ナイス判断、流石ワシじゃ。w

 感謝してもよいぞ。

 それから、さらに魂いじって、消滅させることなく伝言メール機能を付けたのじゃ。気が向けば、アドバイスの一つもくれてやろう。頑張って、わしを楽しませるのじゃぞ。

 小声で(ふむ、これは、天変地異で世界のバランスを崩す事なく、干渉する方法としては、神託より良いかもしれん。今後は、この機能をすべてのおもちゃに……ごにょごにょごにょ)

 という事で異世界転生、楽しむが良い。その世界は特別ステージ。すべての生き物に、神に至るチャンスがあるのじゃ。
 ただし、しばらくは死なぬよう気をつけろよ。魂をいじった関係で回復するまでは、輪廻転生できぬから。死ぬと、完全消滅してしまうからのう。www
☆☆☆

 ちょっ……。な、なんだって。なんか、不穏当な言葉が。魂をいじった? 輪廻転生できず完全消滅する? しぱらくって、どのくらいだよ!
 もう一度聴こうとするが、伝言メール0件になっていて反応しない。一度聞くと消去されるようだ。

 ピコーン、伝言メール1件……タップ(気持ち)。

☆☆☆
「あ~、あと。「小説家になるよ」うさぎ転生作品すでに、あるぞ。w」
☆☆☆

 くそっくそっ、何様だよ! てめーは!

 いらついて本能のスタンピング(野生のウサギが危機を知らせる足ダン)。母ウサギを蹴飛ばしてしまい「ちょこん」と前足で、たしなめられた。
 巨大ウサギの「ちょこん」は、けっこう痛かった。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます

初昔 茶ノ介
ファンタジー
 代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。  常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。  しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。  そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。  そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。  そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。  これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。   ーーーーーーーー  のんびりと書いていきます。  よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...