神様探しの放課後

堀口光

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第1話 願う

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 今日は入学式とホームルームだけということで、あっという間の放課後を迎える。 周りの者はそそくさと帰り支度をして、早々に教室から出ていくものが多い。どうも、このクラスの男子は、社交性のない奴らばかりのようだ。もちろん、僕も含まれている。

「ではでは優君、帰りましょう!」

 元気な声で如月が近寄ってきた。学生鞄を肩に提げて、帰る準備は万端らしい。僕は思わず辺りを見渡した。こういう時、つい周りの目が気になってしまうのが僕である。つまり、如月から大きな声で話しかけられた時、ということだが。

「ああ、帰ろうか」

 僕が声を抑えてそう言うと、彼女はにっこりと微笑んで見せる。如月とは中学の頃からよく一緒に帰っていた。単に家が同じ方向だったから、というのが主な理由だが、周りの者はどうもそれだけの理由では満足できなかったらしく、変な噂も流れていたようだ。

 まあ、学校でもよく話している男女が、毎日のように一緒に帰宅しているのだから、そんな話になるのもわからなくはない。

 しかし、今も昔も、そんなことは断じてないと言わざるを得ない。

「いやあ、しかし、中々骨のありそうなクラスだよねぇ」

 如月がそう話しかけてきたので、僕はすぐに今までの思考を断ち切った。なんとなく、こういうことを考えながら彼女と話すのは危ない気がする。何がどう危ないのかは知らない。

 頭を振って如月の方を見ると、腕を組んで、一人でうんうんと頷いていた。

「へえ、どの辺が?」
「なんかさ、面白そうな人が数人いたよね。例えばね、ほらほら、あの眼鏡かけた、生徒会長みたいな人!」

 思い出すように人差し指を立てる彼女。お前以上に面白い奴なんていないと思うけど、という言葉が頭に浮かんだが、褒め言葉か皮肉か判断しにくかったので、口には出さないことにする。

「生徒会長? ああ、確か……」
「秋谷樹里、です」

 突然、後ろからそんな声がした。振り向くと、ピンと背筋を伸ばした綺麗な姿勢でそこに立つ、秋谷樹里の姿があった。眼鏡の奥の視線が鋭い。 

「面白い、ですか。それは褒め言葉として受け取ってもよろしいんですよね? ありがとうございます」

 眼鏡をくいっと上げながら、冷静沈着にそう言い放つ彼女は、確かにどこかの生徒会長みたいな風格ではある。単純に、堅物そうに見えるというだけの話かもしれない。

「――わあ、噂をすればなんとやら! 生徒会長さんじゃありませんか!」

 如月は目を輝かせて、胸の前で両手を組みながら、僕を押しのけて秋谷の正面に立つ。まるで人気アイドルが現れたかのような興奮の仕方だ。僕が文句を言う暇もなく、如月は彼女に話しかけ始めていた。

「あの、サインもらえますか? 『由乃へ』でよろしくお願いします!」
「……あ、あなた、如月さんでしたっけ?」

 よくわからないテンションになっている如月に少し圧倒されながら、秋谷は眉を潜めて尋ねた。確かに、ただの女子高生が、初対面の相手にいきなりサインをねだられては、困らない方がおかしい。相変わらず如月の行動は予測不能だ。

 如月が頷くと、秋谷は一つ小さな溜息をして、如月の顔にずいと指を差した。

「まず言っておきますが、私はもう生徒会長ではありません。次に、サインはお断りします。最後に、先ほどの自己紹介から察するに、あなた相当自由奔放な性格のようですが、私と同じクラスになったからには、この教室でそういった自分勝手な行動は慎むように。わかりましたか?」

 睨むような目つきで、勢いよく捲し立てる彼女。『もう』とはどういうことなのだろうか。あと、自己紹介については他人にとやかく言えないような。何にしても、この迫力にはさすがの如月も圧倒されるしかあるまい、なんて思っていた僕はまだまだ甘かったようだ。

「えー、サインくれないのぉ? つまんないにゃー」

 拗ねるようにそう言って、如月は頬を膨らませてそっぽを向く。勇者かこいつは。それとも、秋谷に喧嘩でも売っているのだろうか。

 そんなことを考えてながらおそるおそる秋谷を見ると、顔を真っ赤にして、ぶるぶると肩を震わせていた。なんとも分かりやすい怒り方だ。どうやら彼女は、後者の方に受け取ったらしい。これは如月が謝らないとまずいな、とか思っていたら、突然秋谷の視線が僕を捉えた。

「そこのあなた、この人の保護者でしょう? 何とか言ってやったらどうなんですか!」

 今まで兄妹とか恋人とかは噂されたことあったけど、保護者と勘違いされたのは初めてのことである。多分、今彼女の頭の中では、如月の立場がペット並みに下がっているからであろう。真剣に僕を見つめる秋谷に、僕は苦笑気味に首を振って、とりあえず如月を弁護することにした。

「まあ保護者じゃないけどさ……別に、こいつも悪気があってやってるわけじゃないんだよ。な、そうだろ? 如月」
「ぶー」 

 人がせっかく代弁してやっているというのに、如月は頬を膨らませてそっぽを向く。すっかり秋谷に興味をなくしてしまったようだ。目を細める秋谷の視線が怖い。

 しばらく如月を睨み続けていた彼女だったが、またため息を吐いてから、如月に手を差し出した。

「まあ、こんなクラスメートを正しい方向へ導くのも、委員長の務めなのでしょう。ええ、わかりました。今回だけですよ」
「にゃは? サインしてくれるの?」

 待て、まだあんたは委員長じゃないだろ、というつっこみは心の奥底にしまっておく。半ばやけくそ気味に頷く秋谷に、如月は思いっきり顔を綻ばせて、何を思ったかいきなり彼女に抱きついた。秋谷の顔が、みるみる紅潮していくのがわかる。

「わーい、樹里ちゃんだーいすき!」
「な、な、何なのですかあなたは一体! いいから、早く紙とペンを持ってきなさい!」

 慌てて引き剥がそうとする秋谷と、中々離れようとしない如月の様子を見ながら、なんか仲のいい姉妹みたいだな、なんてことをぼんやりと考えていた。



「にっしっし。貰っちゃったー」

 嬉しそうに笑みを浮かべながら僕の横を歩く如月の腕の中には、先ほどもらった秋谷樹里のサインが大事そうに抱えられている。といっても、色紙などではなくただのノートの切れ端なのだが。

 如月の押しに負けて渋々とサインを書いた秋谷は、紙を如月に押し付けると、一度僕の方を見て睨みを利かせ、逃げるように教室から出て行ってしまった。

 見ると、どこかの有名人が書いたような丁寧なサインが書かれていたので、実は彼女も意外と乗り気だったのかもしれない。

「それにしても、サインなんか貰ってどうする気なんだ? 部屋にでも飾っとくのか?」
「やれやれ、これだから庶民は困るよ……」

 首を傾げる僕に、如月は肩を竦めてため息を吐く。非常に腹が立つ仕草と言葉だったが、こいつに怒ったところで効果がないことは目に見えているので、ぐっと堪えて無視することにする。

 僕が黙っていると、如月がびしっと僕に指を突きつけてきた。

「私は、サインを集めることが趣味なのです!」
「……は?」

 突然のカミングアウトに、上手く思考が追いつかない。そんな僕を尻目に、如月は自信満々な顔で続ける。

「人のサインには、その人の魂が籠められているのです。なんてったって、自分の名前だもの。一生共に歩んでいかなければならない。そこには、その人の歴史、人生がある。私は、それを見るのが好きなのです」

 得意げにそう語って、にっこりと微笑む如月だったが、僕はどう反応したらいいのかわからず、眉を潜めて彼女を見つめていた。

 なんせ、いつもふざけてばかりいるこいつが急に真面目に語りだしたかと思えば、魂やら人生やらよくわからないことばかり並べてくるんだから、こちらとしては、変な物でも食ったんじゃないかと逆に心配になる。 

 訝しげな視線を送っていると、不意に如月が背中を向けた。

「あとはね。——『友達』の、印かな」

 後ろを向いたまま、如月はゆっくりと呟く。その言葉には、普段の彼女には感じられない慎重さが含まれているような気がした。

「『友達』……?」

 どうしたのだろう。なぜか、軽い頭痛を覚える。如月の自由な言動に疲れてきたのだろうか。

 痛みを飛ばすように頭を振って顔を向けると、如月が顔を強張らせて心配そうな目で僕を見ていた。彼女にしては珍しい表情だ。それほど、僕の気分が悪そうに見えたらしい。僕は、別に大丈夫だよと笑って伝える。

「……じゃあ、如月と秋谷樹里は、もう『友達』になったわけだ」
「ああ……うん、もちろんそうだよー。これで樹里ちゃんも晴れて一人前ってわけだね!」 

 多分あっちはそう思ってないだろうけどな、という言葉が喉まで出かかったけど、楽しそうに話す如月に水を差すのもなんなので、飲み込んでおく。あと、何の一人前なんだ。

 廊下は多くの生徒でごった返していた。この棟にあるのは一、二、三組だけのはずだが、明らかにそのクラスの者だけではないような気がする。きっと、他の棟から、この棟にいる友人を求めて集まってきたメンバーなのであろう。その辺は別にどうでもいいが、教室の前で集団で立ち止まっている奴らだけは許せない。まったく、邪魔で仕方がない。

 どうかわしながら進もうかと悩んでいると、急に如月が人混みの中に向かって駆け出した。

「こういうのはね、迷ったら負けなんだよ。全速前進あるのみ!」
「馬鹿、危ないって!」

 なにやらカッコよく台詞を決めた如月は、僕の注意も聞かずにそのまま集団に突っ込んで行ってしまう。相変わらず行動力が半端じゃないな、と絶句していると、二秒後にその中から誰かが吐き出されてきた。見ると、尻もちをついている如月の姿があった。

「くっそー、なんて防御力! 装備が足りないのか?」
「何の話だよ」

 お前こそなんて出鱈目な奴なんだ。心の中でそう呟いてため息を吐き、如月の正面にしゃがみこんでから、こつんと頭を小突いてやった。ひゃう、と変な悲鳴を上げる。

「お前なあ、もうちょっと考えて動けよ。怪我でもしたら危ないだろう?」
「むぅ、優君に説教されるとは。ちょっと心外」

 口を窄めて生意気な口をきく如月。なんかむかついたので頬でもつねってやろうかと思ったけど、周りがじろじろこちらを見ていることに気づき、慌てて立ち上がった。まるで何事もなかったかのように伸びをして、まだ座り込んでいる如月に手を差し伸べる。

「にゃはは、ありがとー」

 今度は素直に感謝の意を述べて、如月は僕の手を握った。まだ周りの目があるが、まあこのぐらいならいいだろう。

 彼女は立ち上がり、スカートの埃を手で払うと、前方の人混みをじっと見つめ始めた。今度は、少し道筋を考えてから行くつもりらしい。その様子を眺めていると、ふと、何かが足りないことに気づいた。数秒で、その何かを思い出す。

「そういえば、秋谷のサインは?」

 僕の質問に、如月ははっとこちらを向いて、しばらく動きを止めた。と思ったら、急に顔色がさーっと青ざめていく。血の気が引く、というのはこういうことだろうか。

「……な、な、ないにゃー! あの中か? あの鉄壁の布陣がいけないのか? 私の無力さ故か!?」
「待て、とりあえず一旦落ち着け!」

 パニックになりだす如月と、必死になってその暴走を抑える僕。ああ、周りの視線が痛いほどに突き刺さる。

「あのー」

 そんな騒がしい二人の背後から聞こえてきた、とても柔らかい声。振り返ってみると、金髪の美少女――確か、千条麗華だったか――が、首を傾げて立っていた。

「もしかして、これを探しているの?」

 おっとりとした口調でそう言って、何かを前に差し出す。その動作までゆっくりである。

「あー! それだ!」

 彼女が持っていたものは、秋谷のサインが書かれた紙だった。如月はすかさず千条の正面に立って、彼女からサインを受け取ると、すごい勢いで千条の両手を握った。

「ありがとう、マイエンジェル! おお、今日の良き日に感謝!」

 またもやわけのわからないことを言い出す如月。しかし、そんな彼女に千条は困った顔一つせず、にっこりと微笑んでその手を握り返す。

「いいえ、困った時はお互い様。役に立てたなら、私も嬉しいわ」

 不審そうな目で二人を見ていく周囲を尻目に、彼女たちはどこかの青春ドラマのように盛り上がっていた。会って数秒で息が合うこいつらは一体何なんだ。馬が合う、というやつか。

 しばらく友情ごっこを楽しんでいた二人だったが、ふと千条が、たった今僕に気づいたかのように目を向けた。じーっと僕の顔を見る。よく見ると、彼女は鮮やかなブルーの瞳をしていることがわかる。

「あなたは、だーれ?」

 相変わらずのしゃべり方で、彼女はそう尋ねた。自己紹介を聞いていなかったんだろうか、と思ったが、僕の発表はインパクトに欠けるものだったから、覚えていないのも無理はない。僕はなんとなく姿勢を正して、彼女の方に向き直る。

「僕は――」
「須野優君、だよね?」 

 僕が名乗ろうとした時、先に千条が僕の名前を口にした。呆気に取られて、拍子抜けしたような顔で千条を見つめると、彼女は口元に手をやり上品そうにくすっと笑って、今度は如月の方を向く。

「あなたは、如月由乃ちゃん、でしょ?」
「ほう、既に私の情報が漏れてたとは、さすがは我が恩人。なんという情報網!」
「ふふ、やっぱり面白いなあ」

 千条は、静かに笑いだした。如月のこの手のテンションに一切引かないとは、相当の強者である。やはり、マイペース同士で気が合うのだろうか。

 彼女は僕ら二人に交互に視線を送ると、優雅に頭を下げた。それは、お嬢様と呼ぶに相応しい仕草で、その美しさに思わず目を奪われた。

「私、そろそろ行かないと。じゃあ、また明日遊ぼうね」
「あ、ちょっと待った!」

 背中を向けようとした千条を、如月が制した。ゆっくりと千条が振り向く。

「なーに?」
「サイン、頂戴っ!」

 そう言って、紙とペンを押しつける。千条は首を捻っていたが、如月の言っていることをすぐに理解したようで、手際良く何かを書き始めた。数秒で書き終わり、紙とペンを如月に返すと、またおっとりと微笑んだ。

「また、明日」
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