探偵災害 悪性令嬢と怪人たちのギリギリな日常と暗躍

鳥木木鳥

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虚ろな探偵を満たすもの

探偵、蛇宮ヒルメ

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 これは後から聞いたこと。

 演習場で暴走したわたしは、施設に損害を与える。
 それを制止しようとした蛇宮カキネ、フシメ両名に切断による攻撃を行う。その力は強く、ふたりの実力者を一瞬で行動不能にした。
 そのままでは被害は広がり、演習場の外へ際限なく切断現象は拡大していくのは明らかだった。

 しかし、再び異変が起きる。
 蛇宮ヒルメは外部への攻撃から一転して自傷、あるいは自壊のような行動に出たらしい。
 それにより周囲への被害は収まったが、そのままでは全身が崩壊するのは明らかだった。

 その時、蛇宮ユイカが娘に近づいて何かを囁いた。

 直後彼女の姿は掻き消えた。
 まるで裂け目に落ちたように。
 残されたわたしは、自壊反応が停止し、意識を失って倒れていた。

 暴走する能力が何故突然停止したのか。
 母さんが何かしたのは間違いないが、今となっては誰にもわからない。
 だけどわたしはあの時の言葉を覚えている。
 まるでこれから起こることを全て承知しているような口調で、彼女は娘に向き合っていた。

 蛇宮ユイカの見ているものは誰にも見えない。
 名探偵、神域の存在への同調の度合いが異常に高く、精神が常人から乖離した探偵。
 だから家族であっても、誰もその考えを読み取ることは出来ない。
 上位の領域に内面が繋がり過ぎているが為に、自らの内に自閉しているようにしか見えない。
 自分の子供にも決して心を開かなかった女性。
 それがわたしの母親、蛇宮ユイカだった。

 でももしも。
 あの時わたしが彼女の真実に触れていたのなら。
 自分が消えることを含め、全ては母さんが望んでいた・・・?

 そんなわたしの空回りする思考とは別に、歴然たる現実がある。

 蛇宮の演習場、地面に地割れが発生し、防壁各所が切断され損傷甚大。
 蛇宮ユイカ、行方不明。

 これがわたしが探偵として初めて能力を使用した結果だった。

「すまないね」
 心の底からすまなそうにフシメ兄さんは言う。
「非情とわかっているけど、このままヒルメをこの家に置いておくと他の家族からの突き上げが激しくて」
「・・・・・・・・・」

 少しは混乱が収まった頃合いを見計らって、治療という名目で厳重に監視されていたわたしの病室をフシメ兄さんが訪れた。
 話題はもちろん今後のわたしの扱いについて。
「幸い、と言ったらいいのかはわからないけど、ここから離れた地域で、誰でもいいから探偵を増員して欲しいと言っている探偵団があるんだ」
「探偵団・・・」
「ここ最近、化外が活性化しているそうで、新人でもいいから戦える人間が必要だそうだよ」
「でも・・・わたしは」

 暴走した能力の正体について。
 本人の証言を基にある程度の推測は可能だった。
 空間に裂け目を生み、それ諸共万物を切断した。あるいはその直後自らを崩壊寸前に追いやった。

 大まかな形はあれど、本人に制御が出来ていなかった以上、それの行使には非常な危険が伴う。

「それでも、蛇宮ヒルメは選ばれた」
「選ばれた?」
「決まっている。名探偵に。あれだけの権能をきみは与えられた。それはこの上なく名誉なことだろう?」
 あれだけの惨事を目にしてなお、フシメはそう断じていた。
 いつもと変わらず。四肢の欠損の再生も終わっていない状態でいつも通りの口調で語る。

 それがあまりに異常だったから。

「止めて。それ以上聞いていられない」

 耐えきれずに口を挟んだ。
「フシメ・・・カキネ兄さんも母さんは、わたしのせいで」
「ああ、確かに彼らに起こったことは悲劇だ、心が痛む、あってはならないことだった」
 演技じゃない。心から家族を悼む気持ちを込めてフシメは話す。

「でもこうして現実に起きた。なら世界にとってはいいことなんだ」

 ・・・・・・・・何を言ってるんだろう。
「きみに神が力を授け、それが発動した結果蛇宮ユイカが消失した。ならこれは名探偵が望んだことだ」

 名探偵はわたしたちを見ていない。

 あの時言われたことが脳裏に蘇る。

「だから、おめでとう。蛇宮ヒルメ。きみが生まれ、探偵になったことには意味があると証明されたのだから」
 朗々とそう祝福する兄の声が耳に入ってきて、それがたまらなく気持ち悪くて。

 わたしはその場で嘔吐した。


「はぁ・・・」
 その夜。
 病室のベッドにひとり横たわりわたしは虚空を仰いでいた。
 あの後、患者を刺激するなということで半ば追い出されるようにフシメ兄さんは退出していった。
「諸々の煩雑な手続きはこちらでしておくから」
 ついでのようにそう言って。
 わたしが探偵として働くのはもう決定事項なんだ。
「形だけでもわたしの言うことを聞いて欲しかったなぁ・・・・」
 思わず目を覆うと、腕に刺さった点滴がガタリと音を立てた。

「結局、母さんがどうなったのかは曖昧なまま流された・・・」
 普通に考えたら無事な訳はないけど。でもあの人が生きているとわたしが信じるのは、単なる希望的観測じゃない。
 あの時、母さんの蛇宮ユイカの心をほんの一瞬とはいえ垣間見ることが出来た。
 それがわたしの都合のいい妄想でないなら、母さんはきっと何か大きなことをしようとしていた。
 それが何かはわからない。
 でも少なくともわたしがこうしているのは、母さんの望みに沿ったこと。

 蛇宮は神様の心に適う形に周囲を変化させる探偵の一族。
 その根幹にあるのは、神に従う自分に全ては味方するはずと根拠もなく信じ、都合のいいように世界を解釈する究極的な自己中心性。

 ならわたしだって、そんな夢を見てもいいよね・・・・・・・・・・・・?

「いい訳がないだろう、無能」

 そしてその瞬間、わたしは極大の殺意を浴びた。
「無能な恥さらし程度と見くびっていた結果が、あの惨状だ」

 いつの間にか部屋の入口にカキネ兄さんが立っていた。
 あの時彼も負傷したと聞いていたけど、それを感じさせないほどの戦意が全身にみなぎっている。
「お前は失敗作ですらない」
 ガシャガシャ、と金属音を立てながら敵意をむき出しにして横たわるわたしに向かってきた。
「カキネ兄・・・」
「喋るな」
 無理矢理こちらの言葉を遮りつつ、左腕をこちらへと翳す。
「あの時確信した、お前は在ってはならない。放置しておけば必ずこの世界を害する」

 自分のズレを周囲に投射して、世界にヒビを入れた蛇宮ヒルメ。
 その力がさらに先に進めば、待っているのはあれ以上の惨劇以外にない。

「だから、今から私がお前にすることは報復でも制裁でもない。純粋な予防措置だ」

 それは将来自分たちを殺める可能性をここで潰すということで。
 わたしがそれを理解し、反論する前に異変が始まる。


 権能発動。

 蛇宮カキネの周囲が歪む。
 世界の色が変わる。
 始めは花瓶、そして椅子、次に小型のテーブル。彼とわたしの間にあるものが次々に吹き飛ばされる。
「・・・・・・・・やばっ」
 前提として、わたしは蛇宮カキネの能力を伝聞でしか知らない。実際に見るのはこれが初めてだけど、それは蛇宮らしく「外界に干渉し」「物を動かす」テレキネシスと呼ばれるものらしい。
 だけどこれは単に物を動かすだけじゃない。
「ひっ・・・・」

 瞬間、わたしの身体が持ち上げられた。

「ぐぎゃ・・・」
 抵抗する暇もなく、間抜けな声を出して後ろの壁へと叩きつけられた。
 っつ・・・・・・・痛い・・・・・・・!
 そのまま地面に落ちることなく、わたしは壁に磔にされる。
 その時点で病室にあるものは全て飛ばされていた。
 ガラス瓶など壊れやすいものも、勢いよく壁にぶつかったのにもかかわらず、破壊されることなくその場に固定されている。

「そのままジッとしていろ・・・といってもお前はそこから一切身動き出来ないが」
 動かない。
 単に力で抑えられてる感じじゃない・・・

 そのことで、今相手が何をしているのか朧気ながら理解した。
 最初は壁に叩きつけられたと思った。だけど違う。ぶつかった箇所に、おそらくは傷ひとつないはず。

 直接的な破壊ではなく目的はあくまで拘束。そういう力なんだ、これは。
「磔」
 蝶の標本をピンでとめるように、自分の周囲の全てを横の壁に磔にする。
 いったん磔にされたものは動くことも自壊すら出来ない。
 罪人を縛る。探偵に相応しい権能。
 その後に何をするか。決まっている。
「せめて私の手で葬る。それが蛇宮の者としての責任だろう」
 手にしたのは・・・注射器・・・?
「これならすぐ楽になる。公には病死・・・は苦しいか。まあ刀や銃よりはそれなりに言い訳は成り立つだろう」
 ああ、本気だ。本気でわたしをここで消そうとしている。
 わたしがあんなことを引き起こしたから・・・・・・・・・・?
「ここで世界の為に殉じろ。それが無能なお前が世界の、神の為に出来る唯一意味のあることなのだから」
 ・・・意味?
 ・・・・・・・・ふざけるな。
 お前たちなんか、しょせん何処まで行っても空っぽなままだろうに。
 そんな奴らが意味と宣う。
 その滑稽さ。
「えへへ・・・・・」
 おかしい。
「ひゃははははは!」
 我慢出来ずに笑いが漏れる。
 こちらが発狂したと思ったのか、憐れむような目を向ける兄。
 憐れなのはあなたなのに、なぁぁぁ?
 その有様。
 自分を卑下し、下を向いていた頃は見えなかった風景がようやく見えてきた。

「本当に・・・これが探偵になるってことなんだ」

 そして、その時わたしは真実の意味で自分がこの世界の一員となったと悟った。

「だから‥‥まずは好きにさせてもらう」
 母さん。こういうことだよね?

 そしてわたしは、壁から降りて前へと進み始めた。

「・・・あ? 貴様・・・・!」
 初めて驚愕の声をあげるカキネ兄さん。当たり前だ、これまでここに至った状態で彼の拘束を解く者はいなかった。
 それをこともあろうに先刻力を暴走させた無能な妹が成し遂げた。
「何を・・・したぁ!?」
 思わず叫んだのは半分は演技。動揺したように見せかけつつ、内心では冷静に再び相手を拘束する、世界の色を書き換えようと権能を駆動させる。

 だけど。そんなことは関係ない。
 もうだれもわたしを縛ることは出来ないのだから。

 ぱしゃっ。

「!?」
 今度こそ、本当の焦りが彼の表情に出た。それも当たり前か。
 いきなり自分の横に瞬間移動してきたわたしが、「薬品のようなもの」を頭にかけたのだから。

「・・・何だこれは?」
 恐れを隠すように強い口調で質問してきた。
「さぁ?」
「毒・・・いやそれはない。そんな都合のいいものがすぐ用意出来る訳がない・・・」

「それが出来るとしたら?」
 今度はわたしが彼の言葉を遮った。
「おかしいでしょう? 本当ならわたしなんて速攻で始末されるはずなのに、こうして未だにあなたの前に立っている」
「・・・・・・・・」
 無言でそれを肯定する。
「事実としてわたしはあなたの必殺の・・・そう、『磔』を打ち破った。それは単純にわたしがあなたより強いってことでしょぉ?」
 その指摘にプライドを刺激されたのか、怒りが一瞬カキネ兄さんの顔をよぎった。
 でもまだだ。我慢してよ。
「昼間にフシメ兄さんがお見舞いに来てくれたの」
「フシメが・・・・」
 その名前を聞いて若干動揺した・・・やっぱり今回の襲撃はこの人の独断専行ってことか・・・少し安心した。
「わたしの力を貸してほしい探偵団がいるそうなの」
「馬鹿な・・・」
 兄さんはそれを即座に否定する。
「お前のような無能、いやあんな暴走をする欠陥品を求める組織などあるはずがないっ!」
「でも現実にはあった。ということはわたしを評価してくれる人はいるってこと。こんな誰にでもわかる事実、探偵なら理解出来るはずよねぇ?」
 挑発的な口調に、何も言い返せずに屈辱で黙る・・・そろそろか。
「そんで蛇宮カキネ。あなたはそんな期待の蛇宮を勝手に殺そうとした。そんな愚行を聡明なフシメ兄さんが予想しなかったと思う?」
「・・・・・まさか」
「あなたが襲ってきた時の為に、いろいろと用意してくれたよ? それこそ遅効性で確実に効果を発揮する、ちょうど今あなたがわたしに注入しようとした薬品のようなものを・・・・・」
「・・・・・まさか」
 わたしの出まかせを信じて、カキネ兄さんは顔面蒼白になる。
「まあ、あなたと違って慈悲深い彼は、解毒薬も一緒に持たせてくれたんだけど」
「・・・・何が望みだ、ヒルメ」
「わたしのことを、ただ放っておいて欲しい。自分の力が危険なのは理解してるけど、それでも生きていたいから」
「本当にこれが私ひとりの判断だと思っているのか」
 それは予想していたこと。この人以外にあのユイカを消した存在を危険視する人間がお膳立てをしたんだろうな。
 だからこそ、こうしてわたしのハッタリが機能しているんだけど。
「同じ事。あなたや他の蛇宮が今夜のようにわたしの命を狙うことはないと誓って」
「私ひとりでそれをしろと?」
「出来なければ・・・・探偵がひとりこの世界から消えるだけ。自身の眷属を失うのは、名探偵の望むことではないでしょう?」
「・・・・・・・・・・」
「・・・悩んでもいいけど、あまり時間があると思わない方がいいよ、お兄ちゃん」

 カキネ兄さんにかけた液体は点滴のもの、当然毒性などない。
 腕に刺さった点滴がいつの間にか消えていたことに気付かれないかヒヤヒヤしたけど。結局はわたしを侮っていた彼の慢心に救われた。

「・・・おい、無能」
 不満そうな顔で「痛み止め」を飲んだ後、去り際にカキネ兄さんは振り返って声をかけてきた。
「私がここで引くのは、それなりにお前が有益になるとわかったからだ。もしこの世界に損害を与えるようなら・・・その時は一切関係なく蛇宮、いや探偵は蛇宮ヒルメを討つ」
「別にいいです」
 それにわたしは、返した。あの時の母さんのようにはっきり相手の目を見据えて。
「私は探偵として、せいぜい好き勝手生きていきますんで」
 この先どれだけ自分がこの世界とズレる場面があろうとも、あきらめない。
 そうすれば、いつか再び母さんに会えるとわたしは感じている。全く論理的じゃない。探偵らしくないことだけど。

 さて。
 そういえばわたしが配属されるのは、何処だったけ・・・確かフシメ兄さんが教えてくれたな・・・あ、思い出した。

 第19探偵団。
 迦楼羅街の第19探偵団、それが探偵蛇宮ヒルメが働く場所だ。
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