浅葱優よろず事務所

天汐香弓

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教祖影斗

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荘厳な神殿のように装飾された大広間。そこには、「神秘光輪教」の幹部たちが一堂に会していた。
教団の成長は目覚ましく、信者はすでに数十万を超え、政財界にも影響を及ぼし始めている。集まった幹部たちは皆、影斗の指示を待ちながら静かに座していた。
壇上に現れたのは、長い黒髪をたなびかせ、黒い衣に身を包み、闇に溶け込むような姿の影斗だった。
その姿は、まさに神としての威厳を放っていた。

「我が信徒たちよ――」
影斗が口を開くと、空気が張り詰めた。
「我が力は、すでにこの世を支配するほどに高まっている。だが、まだ完全ではない。さらなる高みへと至るためには、真なる神妃を迎えねばならぬ」
信者たちは息を呑む。
「そして、その神妃となる者は唯一、浅葱優である」
影斗の言葉に、幹部たちは一斉にどよめいた。
「教祖様……浅葱優という者は、特別な存在なのでしょうか？」
幹部の一人が恐る恐る問うと、影斗は冷ややかに微笑む。
「浅葱優は、アマテラスの加護を受けし者。そして、我が魂を織り交ぜることで、我が力は完全なるものとなる」
「魂を……織り交ぜる？」
「そうだ。我が真の神として君臨するため、『魂織りの儀』を執り行う」
影斗は天井を仰ぎ、夜を見据えるように告げる。
「新月の夜、浅葱優と我が魂を織り交ぜ、決して離れることのない結びつきを得る。これにより、彼は我のものとなり、この世は我が支配するものとなるのだ」
幹部たちは震えながらも歓喜し、影斗の言葉に頷いた。

幹部会の最中、一人の男が前へ出た。
「教祖様──」
それは、優が通う学園の理事であった。彼は、すでに影斗の信徒となり、その力を目の当たりにし、財を得ていた。
「浅葱優を貴方様の元へお連れする役目、ぜひこの私にお任せください」
影斗はその言葉に満足げに微笑み、ゆっくりと理事を見下ろす。
「お前が確実に連れてこられるというのならば、その役目を任せよう」
「はっ……！」
「成功すれば、お前には宮司の位を与えよう。我が力を支える者として、神秘光輪教の最高位に就くのだ」
「光栄の極み……！」
理事は深く頭を下げた。彼にとって、これはただの忠誠ではない。影斗の力によって、自らの権威を高め、さらなる栄光を手にすることができるものだった。
影斗は優雅に微笑みながら、指先をわずかに動かす。すると、黒い霊力が彼の周囲を舞い、ゆっくりと形を成していく。
「お前に加護を与えよう。優を連れてくる時、もし邪魔者が現れたとしても、この力が守る」
黒い霊力が理事の体を包み込む。その瞬間、彼の瞳が暗く染まり、まるで影斗の意志に支配されるかのように身を震わせた。
「……この身に賜った加護、必ずや使命を果たします……！」
影斗は満足げに頷き、ゆっくりと目を閉じる。
「では、始めよう。我が神妃を迎えるための、最後の準備を――」
こうして、影斗は優を手に入れるべく、動き出したのだった。

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