終わりから始まる恋物語

ソル

文字の大きさ
3 / 5

第3話 会話

しおりを挟む
 キレイというよりは可愛い顔立ちだった。出会って四回目のデートを迎えた彼女は、いつも通り可愛かった。もう四回目だというのに待ち合わせよりも三十分早く駅に着く。一分もたたないうちに彼女も来た。多分、多くの人が初々しいカップルだと思うのだろうが、二回目のデート以外、俺たちは時間通りに集まることができていなかった。最初は彼女が、三回目は俺が。今回は、二人とも時間に遅れまいと早く集まったのだろう。考えたことが同じだったことに嬉しくなり少しにやつきながら彼女を迎える。

 「なんでにやついてるんですか気持ち悪いですよ。」

 小説や漫画とは違い、現実のツンデレにデレなんてない。そう思いつつ、腕を組んでくる彼女に勝てない俺は歩みを進めた。彼女はズルい。絶対自分の可愛さを分かってやっている。こんなことなら今までたくさん可愛いって言わなければ良かった。

 「お前って、本当に可愛いよな。」

 俺は彼女が大好きだった。

 気を持ちなおして俺は初デートで行った猫カフェへ向かう。あの子達どうしてるかな?と、彼女と話しつつ、目的地に着く。さっそく中に入り、彼女と会話を続ける。中にはかわいい猫たちがたくさん。そこでは、今までのことを話した。
 三回目のデート。お化け屋敷に行った。確かお化けの嫌いな彼女に良いとこ見せようとして気を張り詰めてたら、彼女が手を繋ごうとして、触れた手にビックリして変な声が出ちゃったっけな。ものすごく笑われたことを覚えている。あの時の彼女の輝く笑顔が素敵だった。
 二回目のデート。部活帰りにカフェへ行った。そこで食べたシフォンケーキが美味しくて、彼女をそっちのけで食べてたら少し機嫌が悪くなっちゃったな。あれは悪いことをしたと反省してるよ。でもその時彼女はあまり食べなかったけど、今になって食いしん坊だと嫌われると思って我慢してただなんて分かって笑っちゃった。あの時の彼女の淡いピンクの唇が素敵だった。
 一回目のデート。初めて二人で出かけたから、会話がなくただ猫と遊んでるだけだった。事前に猫が大好きだって聞いてたから喜んでくれると思って頑張って考えたけど、会話が続かなくて、寂しくて。部活の先輩と後輩だった頃は気軽に話せたのに、恋人になるとなんだかうまく言葉が出てこなかった。でも話さなくても彼女が猫を大好きなのは見ててわかった。あの猫を見た時の彼女のキラキラとした目が素敵だった。
 彼女の笑顔が好き。唇が好き。目が好き。鼻が好き。耳が好き。黒い髪が好き。やわらかい体が好き。甘い香りが好き。彼女が大好き―――。

 ああ、離れたくないな。

 「大事な話があるんだ。俺は卒業したら愛知県に行く。別れるか、関係を続けるのか、選んでほしい。」
 
 彼女は戸惑った表情で答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

カメリア――彷徨う夫の恋心

来住野つかさ
恋愛
ロジャーとイリーナは和やかとはいえない雰囲気の中で話をしていた。結婚して子供もいる二人だが、学生時代にロジャーが恋をした『彼女』をいつまでも忘れていないことが、夫婦に亀裂を生んでいるのだ。その『彼女』はカメリア(椿)がよく似合う娘で、多くの男性の初恋の人だったが、なせが卒業式の後から行方不明になっているのだ。ロジャーにとっては不毛な会話が続くと思われたその時、イリーナが言った。「『彼女』が初恋だった人がまた一人いなくなった」と――。 ※この作品は他サイト様にも掲載しています。

セラフィーネの選択

棗らみ
恋愛
「彼女を壊してくれてありがとう」 王太子は願った、彼女との安寧を。男は願った己の半身である彼女を。そして彼女は選択したー

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

走馬灯に君はいない

優未
恋愛
リーンには前世の記憶がある。それは、愛を誓い合ったはずの恋人の真実を知り、命を落とすというもの。今世は1人で生きていくのもいいと思っていたところ、急に婚約話が浮上する。その相手は前世の恋人で―――。

処理中です...