僕は僕に恋をする。

社畜くま

文字の大きさ
3 / 13

第三話 あの時の気持ち

しおりを挟む
彼女に会えた。
憧れのあの人に
でもその結果、僕の心はぽっかりと何かを失った。
いやぁ元々、空いていたものを思い出したのだろう。
彼女が僕に言った。
大事なものを捨てたと
いったい僕は何を捨ててしまったんだろう
薄暗い天井を見つめて何もない虚無感だけが僕に残った。

「まあいい、声は見つけた。
後はこれにキャラクターをつけて動かそう」
とりあえず僕は自分の失ったものを思い出せないまま今日は寝る事にした。

お昼頃に起きた。
今日は本格的にキャラクターが動くように
作っていた。
でも作業をする中、彼女の言葉が引っかかっていた。
「君は他にも大事なものを捨てたよね?
何を捨てたか覚えている?
僕はそれを知っている。」

大事なもの……
どちらにせよ彼女に会わない限りわからないままだ。
だが僕の気持ちは少し落ち着いてしまった。
会えば何か変わると思っていた。
勝手に期待をしていてそのまま拍子抜けしたのだ。
「なんであんなに好きだったのに…」
気持ちも感情も失い
抜け殻のようになってしまった。
ただやるせない気持ちだけが
残ってしまったのだ。

その時だった。
ふと叶恵の事を思い出した。
このモヤモヤな気持ちを誰かに晴らしてもらいたかったのだろう。
なんでそんな事を考えたのかはよくわからなかった。

「僕だけじゃ思い出せないし、叶恵に相談してみるか」

叶恵に連絡をした。

叶恵が僕の家についた。
玄関まで迎えに行き
部屋に案内した後
僕はそのまま昨日の事を相談する事にした。

叶恵は部屋に入ると
ぎこちない感じで僕に尋ねてきた。
「望ちゃんから連絡するなんて珍しいね…
どうしたの?」

僕はそのままその問いに対して
叶恵と同じようにぎこちない感を出しながら恥ずかしながらも答えた。
「いやぁ…その…なんとなく相談したい事があってさ…
変な話じゃないよ!全然そんな気にしてないんだけど!
僕って何か昔と比べてさ
変わってしまった事あった?」

叶恵はその質問を聞いた瞬間、
大きく笑い笑顔で答えた。
「望ちゃん面白い!急に連絡来たから何か
大変な事があるかと思ったけど
そんな事で相談したの?!
それならそのまま直接じゃなくて
携帯のメッセージで聞いたら良かったじゃん
会って話がしたい~とか言うから心配しちゃったよ!」

確かにそうだ、なんで僕はメッセージじゃなくて直接、会って話がしたいって送ってしまったのだろう。まるで僕が決心して幼馴染に何かを告白するみたいなシチュレーションじゃないか!!!
すごい恥ずかしい事をしてしまったと感じた僕は赤面した。

そんな赤面した僕を見て笑いながら
叶恵は僕の質問に対して答えてくれた。
「そうだな~望ちゃんは昔は一緒に
お人形遊びとかしてくれてぬいぐるみとか大好きで本当に望ちゃん!って感じだっけど今の望ちゃんはなんかすごくいつも遠くを見つめて私と比べて大人っぽくなったな~みたいな、すごく遠くに行っちゃったなって感じかな」

僕はそれを聞いて意外な解答だと思った。
叶恵が僕に対してそんな風に見えていたのかと意外な一面を感じたのだ

叶恵はそのまま僕に質問をした。
「ねぇ、逆に望ちゃんは私の事どう思ったりとかあるの?」

僕は考えながらそのまま答えた。
「そうだな、いつも叶恵は明るくて僕とは違くて気さくで誰とでも仲良くできているのがすごいなって感じだよ」

叶恵もそうなんだと思った顔をして
また話、始めた。
「そっか…私は望ちゃんと違って昔とそんなに変わってないんだね」
叶恵は少し落ち込んだ顔した。

そんな顔を見た僕はとっさに
「変わってないわけじゃないんだ!叶恵も大人っぽくなったよ!今なんて…そうだ!
その髪飾り!いつもつけてないし
めっちゃ大人っぽいすごく似合うよ!
本当に大人の女の子って感じ!」

そんな当てつけのような事を言った僕に対して叶恵は少しだけさびそうに笑って
「それ見た目の話じゃん、中身の話をして欲しかったな~本当に望ちゃんって不器用でずるいよね」
と色々と見透かされたように言われた。

その日は叶恵と昔話をして終わった。
懐かしい話ばかりで久々に楽しいと感じた。

話が終わった後、玄関まで叶恵を見送った。

帰り道で叶恵は一人、呟いていた。
「昨日は見向きもしてくれなかったのに
今更になって髪飾りの事を言って
本当に望ちゃんはずるいよ。
また一緒に遊びたいと思っちゃったじゃん。
はやく気づいて欲しいな…」
寂しさともどかしさの気持ちのまま
彼女は夕暮れの中を帰っていった。

僕は彼女を見送ったあと部屋のクローゼットを漁っていた。

叶恵と話していた際に
「昔と比べたいなら…確か…小学生の時に未来への自分に書いた手紙とかあったじゃん!
あれ見返してみたら?私は無くしちゃったんだけどね」

その事を思い出したのだ。
「未来への自分?そんなの書いたか?
どこにあるんだ?」
手紙を探している中
1つの大きな箱を見つけた。

「この箱なんだ、こんな大きな箱、置いていたか?」
僕はその大きな箱を開けてみた。


開けてみるとそこにはたくさんのぬいぐるみと人形と手紙が入っていた。
「夢で見たぬいぐるみだ……
捨てたはずじゃ…」
思わずゾッとしてしまった。
なんせ自分の中では捨てていたと思っていたからだ。
箱の中には昔に気に入っていたぬいぐるみと叶恵とよく遊ぶ時に使っていた人形と……
未来の僕へと書いてある手紙が入っていた。

「これが言っていた、手紙か…なんでこの中にあるんだ」

ますます気味が悪かった。
そんな中、僕は恐る恐る手紙を開けて読んだ。

未来への僕へ
君がこの手紙を読んでいる頃には私のことなんてとっくに忘れているんだろうね。
君は自分を忘れる事で普通になろうとした。
周りに変と言われて、おかしいと言われて
どう?
今の生活は楽しい?
満足している?
それとも……
どうしょうもない寂しさに飢えている。
いつでも僕は君のことをなんでも知っている
だって僕は君なんだもん。
僕は君で君は僕なんだ。
あの頃はずっと楽しかったね
だから私はあの頃に戻るためにいつもの場所でずっと待っとくね。
これからもずっと君の側にいるよ。
それじゃあ……あの頃の続きをしょうか。
12月24日  もう一人の僕









カナエより









その名前を見た瞬間
僕は全てを思い出した。

吐き気と頭痛と
後味の悪い苦味が襲ってきた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!なんで!
なんで僕は!!!!!!ああああ!!!!」
そしてそのまま気を失って倒れたのだ。

あの場所に誘われるように。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...