《完結》僕は棄てたのだ。

皇子(みこ)

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救出

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落ち着け落ち着け落ち着け落ち着こう。

僕は、今は動けない逃げられない…でも、きっとどこかでチャンスはある筈だ。

隼人さんという人に逢えて、人生は楽しいんだと言うことを、教えて貰ったんだから、諦めたらいけないんだ。

まずは、状況を確認しよう。

僕は地下に居たようだ。
肩に荷物の様に抱えられ、暗い階段を登った先は、一瞬目が眩むような明るさだった。

白を基調とした部屋で、真ん中に大きなベッドがあり、周りにはライトが何台も立って眩しい光をてらしていた。


「やっと来たわね!さっさと始めようよ。
何でこんなに待つの、あの金持ちイケメンにも電話できないじゃないの」

「あらあらお嬢さん、ピリピリしちゃったら美容に悪いわよ。女の子は笑顔が大切なのよ」

「キモっ」

「うっせーな!ジジイそいつ早く持ってこいよ!
そんな上玉どんな事して泣かせてやろうか楽しみすぎてよ」


その場には愛美と、変な感じの雰囲気を纏った男達が数人居た。

チラッとしか見えないが、机の上によくわからない品物が錯乱している。この場の空気感は、淀んでる…


「え~どうしょうかなぁ?渡しちゃって何かしらされちゃったら、殺されそうで怖いわぁ~愛しのダーリンに」


その時、扉を乱暴に開ける音がしたと同時に、窓ガラスの割れる音と多人数の足音が、一斉に聞こえてきた。

視覚的には一瞬の事だったので、何が何だか解らなかった。

周りでは、ガラスの割れる音、叫び声恫喝様々な音が聞こえる。
愛美の甲高い悲鳴や僕に対する罵詈雑言も響いている。

その中で、僕自身の身体は誰かに受け渡されて、嗅ぎ慣れた安心する匂いに包まれた。


「はぁ……ゃ……………」

「もう大丈夫だ!此処は危険だ帰るぞ」

「ちょーっとまってえよぉ署は又で良いけど、薬の副作用教えとくから」

「猛さんその喋り方辞めてくれ。それに背後みてみな」

「え~こわぁーい。ドロドロオーラがぁ」


えっ?知り合い?髭の大きな男と隼人さんが話してる?


「楓、後で話してやる、帰るぞ。
猛さん透、後は2人に任せる」

「隼人、すまない。合法ものだが、薬を飲まさないといけない状況になったんだ。
副作用は、感覚的に鋭くなり性的欲求が増加するんだよ。
まあ…そういうことだ、署はいつでも良いからな頑張りな」

「このクソ馬鹿!何だよその格好は!楓君に変なものまで飲ませて!
この3ヶ月連絡着かないし…どれだけ心配したか!
仕事は仕方ないとは思うけど、一週間に一度ぐらいは生存報告ぐらいしてくれよ」


透さんがあの髭の大きな男に、殴りかかっている。嫌…泣いているのかなぁ。


「帰るぞ」


僕は隼人さんにきつく抱き締められたまま、外に出て隼人さんの車に乗せられた。
まだ、声も途切れ途切れしか出ないし、身体はピクリとも動かせないが、隣に隼人さんがいるということが僕にとっては、一番安心できる嬉しい事なんだ。

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