《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!

皇子(みこ)

文字の大きさ
52 / 62
国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?

支度中(レイファ)

しおりを挟む

「レイファちゃんも起きた事だし、着替えましょう。舞踏会に間に合わなくなるわよ。さあ! レオン殿下達も、お支度なさって」


ラティラさんは、レオン様とエドウィンさんを部屋から追い出し、ルラック君を風呂場にポイってしました。


「さあ! 着替えましょう! ミミさん、大変でしょうが2人分のお手伝いお願いするわね」

「かしこまりました」


ミミさんは深々とお辞儀をし、素早く準備を始めました。

 ラティラさんは、部屋の隅に置いてあった見覚えのある箱を、抱えて来て開き、中から出てきた煌びやかな衣装を、フワリと持ち上げベッドの上へ広げました。

 ドレスの箱の横にはもう一つ小さな箱があり、その箱をラティラさんは、手慣れた手つきで開いた。

 中には、真っ白な細いヒールの靴と、ウエストの黒の宝石と同じ宝石のネックレスと、イヤリングがとても輝き、存在感を発揮していました。

 それにしても、ラティラさんって……辺境伯夫人なのに、自身の支度をするなんて。

 それも手慣れて、素早い動きです。不思議で魅力的な方です。私の支度……ミミさんが、総てしてくださってました。反省です。


「化粧は私、苦手なのでお願いしていいかしら?」

「お任せください」

「薄くで良いわよ。あまり、塗りたくるの好きじゃないのよ」

「はい」


ミミさんは、凄いです! ラティラさんの綺麗なお顔が、妖艶な美女に早変わりしました。

 あのドレスを着たら、すっごく映えると思います。早く見たいです!ワクワクします。


「髪はいかが致しますか?」

「昨日、旦那様からいただいた。これをつけて貰えるかしら」


ラティラさんの掌には、虹色に輝く紐?リボンの様な長めの布が丸まってありました。


「お任せください」


ミミさんはしばらく考えたのち、光り輝くシルバーのラティラさんの、ふんわりウエーブの長髪を、輝く紐で編み込み結い上げ瞬く間に色気のあるカッコいい髪に仕上げてしまいました。

 ぼーっと眺めていた私を、ミミさんが椅子に座らせて。いつの間にか、化粧と髪を終わらせてしまいました。またまた反省。


「あらまあ! 可愛らしいわね。レイファちゃんは、本当に妖精に好かれるだけあって、なんていうのかしら? 澄んだ空気が取り囲んでいる感じがするわね。

 その空気感は、鋭い人には何となく察知できるんだと思うのよ…… ホッとする人と、自分と違うものに対して警戒してしまう人。

 その人の心の在り方で、貴女に対する態度に変化があるように思うわ……難しい問題ね」


「そうですね……なんとなく言われていることは解ります……自分では、どうすることもできないものだと言うことも」


少し、落ち込んだ私に対してラティラさんが。


「ごめんなさい! 褒め言葉が、変な感じになっちゃったわね。大丈夫よ。私も、周りの人とは異質な感じに育ってるから、色々苦労してきたの。

 でもね、解ってくれる人もいるのよ!
大勢の人の中に入れなくとも、1人でも理解してくれる人がいれば、どうにかなるわ。仮に1人もいなくても、明日にはその人に出逢うかも知れないと考えたら、生きていけるのよ」


私は泣きそうになりながら……


「わかります。誰も信用できなくて、辛く諦めそうになった時が、何度もありますから。

 私は今、その時諦めなくて良かったと、思っています。

 現在……離宮の方達やラティラさん達、動物達に出逢えて、とてもとても幸せです」


私の瞳から涙が、溢れると。


「ラティラ様。お話中失礼します。これ以上は、レイファ様のお化粧が台無しになってしまわれます」


ミミさんが、ハンカチで優しく目元を押し当ててくれました。


「ごめんなさいねミミさん。レイファちゃん。歳はとりたく無いわね、説教くさくなっちゃうわね。そろそろレオン殿下達が迎えに来ちゃうわね。ドレスに着替えましょうか」


ラティラさんのドレス姿が、とうとう見れます。楽しみで涙なんて引っ込んでしまいました。

 私のドレスをミミさんが準備してくれていたので、私はそれを着るだけで良いのですが……


「ミミさん、普通の下着だけでドレスを着ても良いのですか? よくは解らないけど、ドレスの下に色々なものを着ていたような気がしますが」


「それはね、アン創作のドレスだからよ。普通のドレスなら、下に矯正する物を何着か着ないといけないわね。アンのドレスはこう見えて、身体のラインを綺麗に魅せる様作られているのよ。これ一枚でしっかりキープしてくれるの、なおかつ苦しくないのよ」


ラティラさんが自身も着替えつつ話してくれました。自然と目線はラティラさんへ移り、私が目にしたのは下着姿のラティラさん。


「凄っ…………」

「凄いよね。ほんっとアンのドレスを一度着たら、他のドレスなど着れないのよ。

 私基本的に、ごちゃごちゃしたの嫌いだから、シンプルな服ばかり着てたんだけどね。アンの服なら多少はスカートが長かろうが袖が邪魔になろうが、すんなりと着れるのよ。不思議よね~」


ラティラさん……アンさんの服も凄いですが、私は貴女のスタイルが凄過ぎて……

 胸のボリューム感、ウエストの細さ、身体全体痩せているわけでは無く、筋肉もあり、とても綺麗なラインで造られているスタイルです。

 私は無理でしょうが、憧れます。

 ボーッと見てるうちに、またもやミミさんに勝手に着付けられていました。ふと気付くと、最後のリボンを結ばれていました。反省ばかりです。


「ありがとうございます、ミミさん。私見惚れてしまって」

「大丈夫ですよ。お気持ち察しますから」


ミミさんは黙々と、片付けながらも一言言葉を返してくれました。


「あら! レイファちゃん可愛らしいわ~ 妖精の泉から出てきた、妖精さんね」

「ラティラさんもとてもお似合いです。騎士団長様は、目が離せませんね。取られてしまう心配をされるのでは?」

「あははははは~ 無いわよ。レイファちゃん、私これでも旦那様とは恋愛結婚なのよ。それに、すこ~しだけ強いのよ。そこら辺の男など切り刻んで差し上げるわ」


ラティラさんは、スカートを少し上げて脚を出し太腿の方迄いくと、何か小さな物が太腿に括り付けてあります。


「ラティラさんそれは?」

「これはね、私の開発した愛剣よ。折り畳んであるけどね。何かあれば私の近くに来なさい、護ってあげるわ」

「格好良いですラティラさん」

「お二人共そろそろお時間です。お迎えの方々が来ております。それとラティラ様、ルラック様は宜しいのですか?」

「あーーー 忘れてたわ。ルラックごめんね!」


ラティラさんは急いで、ルラック君をお風呂場に、迎えにいかれました。

 同時に扉を叩く音が聴こえてきて、ミミさんが扉の方へ歩いていきます。

 ラティラさんは寝てるルラック君を、胸に抱いて優しく撫でながら、歩いて近づいて来ています。


「デイビーズ夫人、レイファ。二人ともとても似合っている」

「本当だ! 凄い変わったな。女は化けるよな」

「おい、エドウィンその言い方は駄目だ。お前ちゃんとしろよ、王族だろうが」

「レオン大丈夫だって、俺は表に出ればきちんとするから、安心しろよ。それに王族である事は、言わないから平気だよ。言うと面倒だからな」


相変わらずお二人は仲良く言い合いをしながらこちらに近づいて来てます。


「レオン殿下にも、お友達がいて良かった」


ラティラさんが、ボソリと呟いたのが私の耳に聞こえました。何だか安心した声でした。


「それでは、お二人共舞踏会に参りましょうか。デイビーズ夫人は、エドウィンが騎士団長が来るまでの間、護る様に重々言われているので。頑張れよエドウィン」

「おう! 任せてくれ。デイビーズ夫人行こうか」

「宜しくお願いします。エドウィン様」

エドウィンさんが、ラティラさんをエスコートすべく手を差し出し、ラティラさんはその手の上にスッと載せました。

 私も、いつにも増して煌びやかなレオン様に、エスコートされて部屋をでました。


さあ! 舞踏会に行きますよ。




しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

処理中です...