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目覚め
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雲ひとつない青空の元、爽やかな風が吹いている。
海辺に隣接する近代的な建物は病院だ。風は、最上階の小さく開いた特別室の窓へ海風を連れてくる。
白い部屋の真ん中に、大きなベッドがひとつ置いてある。そのベッドの中には一人の少年?
青年が気持ちよさそうに眠っていた。
今にも笑い出しそうになる程の自然な表情をしている。顔色も良く、意識不明の状態でいるなんて思えない程だ。
この寝ている青年は、三枝瞬(さえぐさしゅん)三年もの間この状態でいる。
目が覚めるのは果たして今日なのか明日なのか一年後か、もしかすると一秒後かもしれない……
肉体的にはいつ起きても良い状態なのだが、何故か目醒めないままだ。
病院関係者達はとても綺麗な神秘的な青年を皆、口には出さないが心の中で呼んでいる……
眠り姫と……
眠り姫の目を醒させるのは一体誰なのだろう。
病院関係者達の噂話では、担ぎ込まれて来たのは三年前の土砂降りの中だった。
観光に来て海岸張りを歩いている時に、足を滑らせてしまいそのまま海中へ落下したそうだ。その場所は、高さ五メートル以上あったらしい。
瞬は、仕事関係の仲間達と旅行の最中だった様で、瞬が落ちた瞬間は誰も見ていなかった。姿が無く居ないので騒ぎになり捜索中、海の岸に引っかかっていた彼を捜索隊が見つけた。
それはとても運の良い事だった。その時の潮の流れがタイミングよく岸に向かっていたのと、瞬は落ちた時意識をなくしていたので海水を大量に飲む事なく、岩辺に流れて引っかかっていたからだ。
奇跡としか言いようの無い出来事だった。
何故ならその場所は、自殺志願者が飛び込む場所で、落ちたら潮の流れにより戻って来れない場所だからだ。
瞬を最後に観た人間がその場所にひとりで佇んで居る所を見ていたから、後日そう推測された。
実際の所は瞬にしか分からないのだろう。瞬は、有名な芸術家であった。
今日も元気に各病室に声をかけて回るのは整形外科の名医と言われる、橘海斗(たちばなかいと)だ。
「おはようございます。三枝さん、おおっ! 今日も又、綺麗だね。この部屋に来ると女神が居るから僕は毎日頑張れるんだよ。
さあ!今日も頑張って身体を動かすよ! 今日はとても天気が良いんだよ。どうだろう主治医の元でお散歩でも行かない? 」
「橘先生車椅子持って来ますか?」
「寝てばかりもなんだし、身体の傷は全て綺麗だしね。後は本人が目覚めるだけだから、気分転換に行こうか。岬さん車椅子お願いできるかな」
「はい!」
車椅子が来るまで橘は、瞬の身体をベッドから下ろせるように準備している。
外は海風が強く寒いので、瞬に暖かそうな柔らかいコートを着せて身支度を終えて車椅子を待っている。
「三枝さんは起きているんだよね。僕はね、沢山の患者を見てきたんだけど、三枝さんの様な患者も居たんだよね。
でもね、三枝さんは何が違うんだ。
寝てても床ずれも起きないし、最初の頃とは顔つきも違うしね、変だよね。
僕が初めてみたあなたの顔は辛くて悲しそうだったんだ。けどね、僕やこの病院の人達が話しかけ続けているとどんどん優しい顔つきになってきたよね。
僕はあなたは起きていて、目は瞑っているけどね。意識下では起きていて僕達の会話を聞いて話して返事をしていると思っているんだよ。
違うかなぁ? あなたには、僕の内緒の話を一つ聞かせるね。
僕はね、あなたを初めて見た時から好きなんだ。愛しているんだよ。おかしいよね……
寝たままのあなたを好きになるなんて。変だね。でも、僕は三枝瞬という人間が好きだよ。
あなたが起きるまでずーっと待ってるから、起きたら僕の事を好きになってくれると嬉しいな。急がないから待ってるね。瞬」
「橘先生、車椅子お待たせしてしまいすみませんでした。吉田さんの調子が悪くてお話ししていたもので」
「大丈夫だよ。僕一人で連れて行けるから、吉田さんについていてあげなさい」
「そうですか、じゃあ宜しくお願いします」
看護師の岬は、笑顔で挨拶した後。心配な患者の元へと急いだ。
「さあ! 三枝さんお散歩へ出発しますか。僕は安全運転ですから、安心して下さいね。行きますよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「? ? ? ? ? ? ? ? ? ?このまっ白い世界はどこなのかな?
僕は何故こんな場所に? 病室の様な気もするけど、病室ってこんな場所だったのかな?」
「三枝さんどうですか?…………あ……あー先生ーーー三枝さんが目を覚まされましたーーーーーー!」
「えっ!?」
「うそっ!!」
「大変……!!」
「皆、落ち着きなさい。三枝さんが驚いている。静かに、深呼吸を一つしなさい」
「「「「はい」」」」
「ご家族に連絡入れてきなさい」
「はい」
「三枝さんはじめまして、僕はあなたの主治医の橘海斗です。
おはようございます。
海辺に隣接する近代的な建物は病院だ。風は、最上階の小さく開いた特別室の窓へ海風を連れてくる。
白い部屋の真ん中に、大きなベッドがひとつ置いてある。そのベッドの中には一人の少年?
青年が気持ちよさそうに眠っていた。
今にも笑い出しそうになる程の自然な表情をしている。顔色も良く、意識不明の状態でいるなんて思えない程だ。
この寝ている青年は、三枝瞬(さえぐさしゅん)三年もの間この状態でいる。
目が覚めるのは果たして今日なのか明日なのか一年後か、もしかすると一秒後かもしれない……
肉体的にはいつ起きても良い状態なのだが、何故か目醒めないままだ。
病院関係者達はとても綺麗な神秘的な青年を皆、口には出さないが心の中で呼んでいる……
眠り姫と……
眠り姫の目を醒させるのは一体誰なのだろう。
病院関係者達の噂話では、担ぎ込まれて来たのは三年前の土砂降りの中だった。
観光に来て海岸張りを歩いている時に、足を滑らせてしまいそのまま海中へ落下したそうだ。その場所は、高さ五メートル以上あったらしい。
瞬は、仕事関係の仲間達と旅行の最中だった様で、瞬が落ちた瞬間は誰も見ていなかった。姿が無く居ないので騒ぎになり捜索中、海の岸に引っかかっていた彼を捜索隊が見つけた。
それはとても運の良い事だった。その時の潮の流れがタイミングよく岸に向かっていたのと、瞬は落ちた時意識をなくしていたので海水を大量に飲む事なく、岩辺に流れて引っかかっていたからだ。
奇跡としか言いようの無い出来事だった。
何故ならその場所は、自殺志願者が飛び込む場所で、落ちたら潮の流れにより戻って来れない場所だからだ。
瞬を最後に観た人間がその場所にひとりで佇んで居る所を見ていたから、後日そう推測された。
実際の所は瞬にしか分からないのだろう。瞬は、有名な芸術家であった。
今日も元気に各病室に声をかけて回るのは整形外科の名医と言われる、橘海斗(たちばなかいと)だ。
「おはようございます。三枝さん、おおっ! 今日も又、綺麗だね。この部屋に来ると女神が居るから僕は毎日頑張れるんだよ。
さあ!今日も頑張って身体を動かすよ! 今日はとても天気が良いんだよ。どうだろう主治医の元でお散歩でも行かない? 」
「橘先生車椅子持って来ますか?」
「寝てばかりもなんだし、身体の傷は全て綺麗だしね。後は本人が目覚めるだけだから、気分転換に行こうか。岬さん車椅子お願いできるかな」
「はい!」
車椅子が来るまで橘は、瞬の身体をベッドから下ろせるように準備している。
外は海風が強く寒いので、瞬に暖かそうな柔らかいコートを着せて身支度を終えて車椅子を待っている。
「三枝さんは起きているんだよね。僕はね、沢山の患者を見てきたんだけど、三枝さんの様な患者も居たんだよね。
でもね、三枝さんは何が違うんだ。
寝てても床ずれも起きないし、最初の頃とは顔つきも違うしね、変だよね。
僕が初めてみたあなたの顔は辛くて悲しそうだったんだ。けどね、僕やこの病院の人達が話しかけ続けているとどんどん優しい顔つきになってきたよね。
僕はあなたは起きていて、目は瞑っているけどね。意識下では起きていて僕達の会話を聞いて話して返事をしていると思っているんだよ。
違うかなぁ? あなたには、僕の内緒の話を一つ聞かせるね。
僕はね、あなたを初めて見た時から好きなんだ。愛しているんだよ。おかしいよね……
寝たままのあなたを好きになるなんて。変だね。でも、僕は三枝瞬という人間が好きだよ。
あなたが起きるまでずーっと待ってるから、起きたら僕の事を好きになってくれると嬉しいな。急がないから待ってるね。瞬」
「橘先生、車椅子お待たせしてしまいすみませんでした。吉田さんの調子が悪くてお話ししていたもので」
「大丈夫だよ。僕一人で連れて行けるから、吉田さんについていてあげなさい」
「そうですか、じゃあ宜しくお願いします」
看護師の岬は、笑顔で挨拶した後。心配な患者の元へと急いだ。
「さあ! 三枝さんお散歩へ出発しますか。僕は安全運転ですから、安心して下さいね。行きますよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「? ? ? ? ? ? ? ? ? ?このまっ白い世界はどこなのかな?
僕は何故こんな場所に? 病室の様な気もするけど、病室ってこんな場所だったのかな?」
「三枝さんどうですか?…………あ……あー先生ーーー三枝さんが目を覚まされましたーーーーーー!」
「えっ!?」
「うそっ!!」
「大変……!!」
「皆、落ち着きなさい。三枝さんが驚いている。静かに、深呼吸を一つしなさい」
「「「「はい」」」」
「ご家族に連絡入れてきなさい」
「はい」
「三枝さんはじめまして、僕はあなたの主治医の橘海斗です。
おはようございます。
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