8 / 44
第一章 数学の賢者
7歳の洗礼と【積分魔法】⑤
しおりを挟む
「さて、貴方がた転生者は学問を発展させるために転生しました。これより、それぞれの学問を司る魔法を授けましょう」
ピタラスは残りの三人──【地学の支配者】、【生物学の覇者】、【化学の不死者】となる者たちをグラルたちと同じく喚ぶと、三人の少年が現れた。
「【地学の支配者】、ミスト!!」
「【生物学の覇者】、ビオル!」
「か、【化学の不死者】、ケルン……」
「「「我ら三人揃って……【科学の伝導者】だ!!」」」
三人揃って香ばしいポーズをとった。しかし口調もポーズも何もかも揃っておらず、揃っているのは台詞くらいのものだった。
「なんだ、ただの痛い奴か」
「あはは、こんな感じの図をどこかで見たような……」
「なんだとぉ!? お前だって転生者なんだから“これくらい”想像したりするだろうが!!」
【地学の支配者】ミストが言った言葉に【生物学の覇者】ビオルは堂々と腕を組んで頷き、【化学の不死者】ケルンは少し顔を赤らめてコクリと頷いた。
「……俺はただの数学オタクなだけでお前らみたいな趣味は持ち併せていない」
「いやいやいや! 異世界だぞ、少しはそういう想像をしたりしないのか!?」
「断じて一度もないな」
「無い、かな……? それよりもその、戦隊ものみたいなポーズをとってて恥ずかしくはないの?」
「……そりゃ、恥ずかしいに決まってるよ」
香ばしいポーズをとって硬直していた【化学の不死者】ケルンは頷いた。
「け、ケルンお前……! 俺たちを裏切る気か!? おい! ビオルやれっ!!」
「オーケー! オンドゥルルラギッタンディスカー!?」
「……滑舌が悪くなってるな。一度病院に行ったらどうだ? この世界に病院があるかは知らないが」
「っ……!? っるっせえよ! ネタだよ、ネタ!! そんなのも通じないのかよ……!?」
ビオルは渾身の滑舌ネタを披露したのだが、グラルに真面目に返されてしまいグラルを怒鳴る。
「お前ら、頭……大丈夫か?」
「あー駄目だこいつ! ネタが通じないとか、一体どんな頭してんだ……!?」
「ずっと数学漬けの毎日だったからな……!」
「ビオル、言葉ではきっと勝てないんじゃないかな? それに……なんか可哀想だよ」
「誰が可哀想に見えるんだ?」
不意にケルンが口を滑らせてしまう。
すると、抑揚のない口調で言葉を発するグラルの姿がケルンの前に現れた。
「なあ、一体誰が可哀想なんだ? 一応初デートで死んだんだから少なくともお前らよりかはマシだ」
「は? お前……! それでリア充だったのか!?」
「世界とはどうしてこんなにも残酷なんだろうか……」
「ちょっ、皆! 落ち着いて!!」
「──もう! うるさぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
収拾つかなくなりかけたところをアイズの一喝で全て沈黙に変わる。
「「「「……す、すいません」」」」
四人揃って【科学の伝導者】はアイズに謝罪した。
「ふぅ……やっと話ができます。では【物理学の勇者】には【加重魔法】を、【地学の支配者】には【化石魔法】を、【生物学の覇者】には【変性魔法】を、【化学の不死者】には【粒子魔法】を授けます。そして、【数学の賢者】には【積分魔法】を授けましょう……!」
ピタラスの言葉に五人全員が頷いた。
そして順番に虹色の光の粒子が集まって一つの大きな光になると胸の中に入り込んでいく。
「それでは、“ステータス”と唱えてください!」
「おお、【積分魔法】だ……! これで俺はジェットコースターを積分出来る……!!」
────────────────────
グラル・フォン・インテグラ─Lv13
HP:534/534
MP:3125/3125
SP:420/420
称号:【賢者】【エフダッシュ辺境伯次男】【転生者】【数学の探求者】【数学を極めし者】【シスコン】
固有魔法:【積分魔法】
使用可能魔法:【積分魔法(不定積分)】
状態:【疾風迅雷付与】
────────────────────
(ステータスが前よりも少し上がってるな……!)
盗賊との戦いで身体を使ったため、それに応じてレベルとステータスが上昇したのだ。
「おおっ! す、スゲー!!」
「お、おお……!」
「これが異世界……!」
三馬鹿も自身のステータスを見て少し興奮気味であるようだ。その証拠に三人の眼光がギラギラと輝いている。
「おい、アイズ……大丈夫か?」
「えっ!? う、うんん……何でも、ないよ……」
グラルがアイズに声をかけると、アイズは背筋を跳ねさせて後ろを振り返った。
彼らとは対照的にアイズは自身のステータスを見て目を輝かせるのではなく、むしろ怯えていたのだ。
「何かヤバいものでも見たのか……?」
「…………」
アイズは軽く頷いただけで言葉で答えようとはしなかった。
「また今度……会うことが出来たら教えてあげるよ。そのときまでに私は、きっと──」
「……?」
単純にグラルはアイズを心配しただけだったのだが、アイズの今の言動の理由が掴めずに首を傾げた。
「あら? そろそろお別れのようですね……。では最高に、皆さんが学問を発展させることを期待していますよ?」
五人は頷き返すと、たちまち五人の意識は“色の無い光”に包まれるのだった。
※※※
「い、今の激しい光は、一体……!」
ディクスが目に手をかざして光が収まると手を下に下ろした。
「まさか……! ピタラス様に会ったのか!?」
「まあ、会うには会ったな」
「グラル様! 実際にピタラスと会ったのならば、ピタラス様はどのようなお姿をしていたのでしょうか? やはりお美しいのでしょうか……?」
「一気に捲し立てられるとかなり困るんだが……。それよりも洗礼が終わったのならばここを後にしてもいいんだよな……? 帰って早く父さんに対してすべきことがあるからな」
「せ、せめて少しだけでもお話を!」
「……時間の無駄だな」
そしてグラルは司祭の真横を素通りして洗礼の間を後にしたのだった。
ピタラスは残りの三人──【地学の支配者】、【生物学の覇者】、【化学の不死者】となる者たちをグラルたちと同じく喚ぶと、三人の少年が現れた。
「【地学の支配者】、ミスト!!」
「【生物学の覇者】、ビオル!」
「か、【化学の不死者】、ケルン……」
「「「我ら三人揃って……【科学の伝導者】だ!!」」」
三人揃って香ばしいポーズをとった。しかし口調もポーズも何もかも揃っておらず、揃っているのは台詞くらいのものだった。
「なんだ、ただの痛い奴か」
「あはは、こんな感じの図をどこかで見たような……」
「なんだとぉ!? お前だって転生者なんだから“これくらい”想像したりするだろうが!!」
【地学の支配者】ミストが言った言葉に【生物学の覇者】ビオルは堂々と腕を組んで頷き、【化学の不死者】ケルンは少し顔を赤らめてコクリと頷いた。
「……俺はただの数学オタクなだけでお前らみたいな趣味は持ち併せていない」
「いやいやいや! 異世界だぞ、少しはそういう想像をしたりしないのか!?」
「断じて一度もないな」
「無い、かな……? それよりもその、戦隊ものみたいなポーズをとってて恥ずかしくはないの?」
「……そりゃ、恥ずかしいに決まってるよ」
香ばしいポーズをとって硬直していた【化学の不死者】ケルンは頷いた。
「け、ケルンお前……! 俺たちを裏切る気か!? おい! ビオルやれっ!!」
「オーケー! オンドゥルルラギッタンディスカー!?」
「……滑舌が悪くなってるな。一度病院に行ったらどうだ? この世界に病院があるかは知らないが」
「っ……!? っるっせえよ! ネタだよ、ネタ!! そんなのも通じないのかよ……!?」
ビオルは渾身の滑舌ネタを披露したのだが、グラルに真面目に返されてしまいグラルを怒鳴る。
「お前ら、頭……大丈夫か?」
「あー駄目だこいつ! ネタが通じないとか、一体どんな頭してんだ……!?」
「ずっと数学漬けの毎日だったからな……!」
「ビオル、言葉ではきっと勝てないんじゃないかな? それに……なんか可哀想だよ」
「誰が可哀想に見えるんだ?」
不意にケルンが口を滑らせてしまう。
すると、抑揚のない口調で言葉を発するグラルの姿がケルンの前に現れた。
「なあ、一体誰が可哀想なんだ? 一応初デートで死んだんだから少なくともお前らよりかはマシだ」
「は? お前……! それでリア充だったのか!?」
「世界とはどうしてこんなにも残酷なんだろうか……」
「ちょっ、皆! 落ち着いて!!」
「──もう! うるさぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
収拾つかなくなりかけたところをアイズの一喝で全て沈黙に変わる。
「「「「……す、すいません」」」」
四人揃って【科学の伝導者】はアイズに謝罪した。
「ふぅ……やっと話ができます。では【物理学の勇者】には【加重魔法】を、【地学の支配者】には【化石魔法】を、【生物学の覇者】には【変性魔法】を、【化学の不死者】には【粒子魔法】を授けます。そして、【数学の賢者】には【積分魔法】を授けましょう……!」
ピタラスの言葉に五人全員が頷いた。
そして順番に虹色の光の粒子が集まって一つの大きな光になると胸の中に入り込んでいく。
「それでは、“ステータス”と唱えてください!」
「おお、【積分魔法】だ……! これで俺はジェットコースターを積分出来る……!!」
────────────────────
グラル・フォン・インテグラ─Lv13
HP:534/534
MP:3125/3125
SP:420/420
称号:【賢者】【エフダッシュ辺境伯次男】【転生者】【数学の探求者】【数学を極めし者】【シスコン】
固有魔法:【積分魔法】
使用可能魔法:【積分魔法(不定積分)】
状態:【疾風迅雷付与】
────────────────────
(ステータスが前よりも少し上がってるな……!)
盗賊との戦いで身体を使ったため、それに応じてレベルとステータスが上昇したのだ。
「おおっ! す、スゲー!!」
「お、おお……!」
「これが異世界……!」
三馬鹿も自身のステータスを見て少し興奮気味であるようだ。その証拠に三人の眼光がギラギラと輝いている。
「おい、アイズ……大丈夫か?」
「えっ!? う、うんん……何でも、ないよ……」
グラルがアイズに声をかけると、アイズは背筋を跳ねさせて後ろを振り返った。
彼らとは対照的にアイズは自身のステータスを見て目を輝かせるのではなく、むしろ怯えていたのだ。
「何かヤバいものでも見たのか……?」
「…………」
アイズは軽く頷いただけで言葉で答えようとはしなかった。
「また今度……会うことが出来たら教えてあげるよ。そのときまでに私は、きっと──」
「……?」
単純にグラルはアイズを心配しただけだったのだが、アイズの今の言動の理由が掴めずに首を傾げた。
「あら? そろそろお別れのようですね……。では最高に、皆さんが学問を発展させることを期待していますよ?」
五人は頷き返すと、たちまち五人の意識は“色の無い光”に包まれるのだった。
※※※
「い、今の激しい光は、一体……!」
ディクスが目に手をかざして光が収まると手を下に下ろした。
「まさか……! ピタラス様に会ったのか!?」
「まあ、会うには会ったな」
「グラル様! 実際にピタラスと会ったのならば、ピタラス様はどのようなお姿をしていたのでしょうか? やはりお美しいのでしょうか……?」
「一気に捲し立てられるとかなり困るんだが……。それよりも洗礼が終わったのならばここを後にしてもいいんだよな……? 帰って早く父さんに対してすべきことがあるからな」
「せ、せめて少しだけでもお話を!」
「……時間の無駄だな」
そしてグラルは司祭の真横を素通りして洗礼の間を後にしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる