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二章 大都市カエルレウム
〜探す者探される者〜 一話
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「…はぁ~…ハックシュ!」
ネロは大きなあくびをした後くしゃみをした。
もう既に時間は20時を回って、寒さが増していった。
「ガッハッハ!!今日は色んな事がありすぎたからな!!さすがにワシら全員疲れてるだろう!!」
「う、うん…。今日は本当大変だったし暴れ回ったよ…。ヴィオレさん、確か泊まれる宿があったんだよね?」
「そうね、今日はひとまず宿に向かいましょう」
ヴィオレはロートの問いかけに返事し、一行を宿舎まで案内した。
ヴィオレに続いて歩いてゆくと、都市の近未来的な景観から外れ徐々に寂れた古町の景観に変わっていった。
灯りも少なくなって、より暗闇が深くなっていった。
「…到着したわよ。ここが私たちの拠点」
ヴィオレが指差した建物は近未来とは外れた古風で小さな宿舎であった。
しかし、小さな村出身の彼らはむしろ暖かみを感じ宿舎の扉を開けた。
宿舎のフロントには老婆が座っており、入口から既に上の階には3部屋、フロントにも2部屋、老婆用の部屋も合わせ計6部屋しかない事が分かった。
ロビーの角には長めのソファとテーブル、観葉植物が置いてありいかにも古めかしい雰囲気は漂っていた。
「お婆ちゃん、帰ってきたよ。今日はいっぱい友達を連れてきたから4人分の料金払うね」
「あら~、ヴィオレちゃん、人気者なのね~」
ヴィオレは老婆に対して、孫のような接し方になっていた。
ネロ達も朗らかな気持ちになり、みんなで老婆に感謝の意を伝えた。
男3人は上の階の部屋にそれぞれ入り、ネロ、ロート、カルコス、それぞれが部屋の中にあるベッドに飛び込んですぐ就寝した。
夜は深くなっていき、2時を回った。
ふとネロが目を覚まし、部屋から出た。
出ると、ロビーにはモニターやPCを動かしている眼鏡姿のヴィオレがいた。
「なんだ、ヴィオレ。まだ起きてたのか…」
目を擦りつつ階段に降りながらネロは言った。
「…ふふ。寝れないの?」
ヴィオレはPCやモニターを眺めながらネロに問いかけた。
「いや、今日の話で散々出た「地下」ってのが気になってな…。行ってみたくなった。」
「今なの?ふふ、思い立ったらすぐ行動したくなるところ私そっくりね」
ネロは頭をかきながら頷いた。
「分かった。一応宿の鍵とこの都市の地図を渡しておくわ」
「ここから右手を50mくらいで地下に行ける梯子があるからすぐ戻ってくると思うけど、あんまり遅くならないでね」
ヴィオレは我が子に語りかけるように優しい声で言った。
ありがとうとネロは鍵と地図を受け取り、出口のドアノブに手をかけた。
「なぁ、あの昼間の時、悪態ついて悪かった」
急に素直なネロを見て驚いたヴィオレだが、ネロはこう続けた。
「お前が色々背負ってるのはなんとなく分かる。でも、これからはお前が背負ってるモン、俺らも一緒に抱えてやるからな」
「…ふふ、急にどうしたの?もしかしたらまだまだ私は隠してる事たくさんあるかもよ…?」
ヴィオレは意地悪そうに言った。
「仲間に隠し事はしてもいいよ、人間誰しも隠し事はある」
「だけど、助けが必要な事は隠しても意味ないからな」
「そん時に助けられるのが仲間だ」
ネロはニコッと笑い、ヴィオレに言った。
「ありがとう、これからも助けが必要な時はあなた達に頼るわ」
ヴィオレもニコッと笑った。
そして、ネロは宿舎の扉を開けた。
そこから翌朝になっても
ネロは宿舎に帰って来なかった。
ネロは大きなあくびをした後くしゃみをした。
もう既に時間は20時を回って、寒さが増していった。
「ガッハッハ!!今日は色んな事がありすぎたからな!!さすがにワシら全員疲れてるだろう!!」
「う、うん…。今日は本当大変だったし暴れ回ったよ…。ヴィオレさん、確か泊まれる宿があったんだよね?」
「そうね、今日はひとまず宿に向かいましょう」
ヴィオレはロートの問いかけに返事し、一行を宿舎まで案内した。
ヴィオレに続いて歩いてゆくと、都市の近未来的な景観から外れ徐々に寂れた古町の景観に変わっていった。
灯りも少なくなって、より暗闇が深くなっていった。
「…到着したわよ。ここが私たちの拠点」
ヴィオレが指差した建物は近未来とは外れた古風で小さな宿舎であった。
しかし、小さな村出身の彼らはむしろ暖かみを感じ宿舎の扉を開けた。
宿舎のフロントには老婆が座っており、入口から既に上の階には3部屋、フロントにも2部屋、老婆用の部屋も合わせ計6部屋しかない事が分かった。
ロビーの角には長めのソファとテーブル、観葉植物が置いてありいかにも古めかしい雰囲気は漂っていた。
「お婆ちゃん、帰ってきたよ。今日はいっぱい友達を連れてきたから4人分の料金払うね」
「あら~、ヴィオレちゃん、人気者なのね~」
ヴィオレは老婆に対して、孫のような接し方になっていた。
ネロ達も朗らかな気持ちになり、みんなで老婆に感謝の意を伝えた。
男3人は上の階の部屋にそれぞれ入り、ネロ、ロート、カルコス、それぞれが部屋の中にあるベッドに飛び込んですぐ就寝した。
夜は深くなっていき、2時を回った。
ふとネロが目を覚まし、部屋から出た。
出ると、ロビーにはモニターやPCを動かしている眼鏡姿のヴィオレがいた。
「なんだ、ヴィオレ。まだ起きてたのか…」
目を擦りつつ階段に降りながらネロは言った。
「…ふふ。寝れないの?」
ヴィオレはPCやモニターを眺めながらネロに問いかけた。
「いや、今日の話で散々出た「地下」ってのが気になってな…。行ってみたくなった。」
「今なの?ふふ、思い立ったらすぐ行動したくなるところ私そっくりね」
ネロは頭をかきながら頷いた。
「分かった。一応宿の鍵とこの都市の地図を渡しておくわ」
「ここから右手を50mくらいで地下に行ける梯子があるからすぐ戻ってくると思うけど、あんまり遅くならないでね」
ヴィオレは我が子に語りかけるように優しい声で言った。
ありがとうとネロは鍵と地図を受け取り、出口のドアノブに手をかけた。
「なぁ、あの昼間の時、悪態ついて悪かった」
急に素直なネロを見て驚いたヴィオレだが、ネロはこう続けた。
「お前が色々背負ってるのはなんとなく分かる。でも、これからはお前が背負ってるモン、俺らも一緒に抱えてやるからな」
「…ふふ、急にどうしたの?もしかしたらまだまだ私は隠してる事たくさんあるかもよ…?」
ヴィオレは意地悪そうに言った。
「仲間に隠し事はしてもいいよ、人間誰しも隠し事はある」
「だけど、助けが必要な事は隠しても意味ないからな」
「そん時に助けられるのが仲間だ」
ネロはニコッと笑い、ヴィオレに言った。
「ありがとう、これからも助けが必要な時はあなた達に頼るわ」
ヴィオレもニコッと笑った。
そして、ネロは宿舎の扉を開けた。
そこから翌朝になっても
ネロは宿舎に帰って来なかった。
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