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第6話 死者蘇生
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「くそっ! 離しやがれ! 俺は何もしてねえ! 冤罪だ!」
「黙れ! 女性を襲う犯罪者はみんな冤罪云々ぬかすんだ!」
「大人しくしろ! このダークエルフの小僧め! お前が宿から慌てて走って去って行くのを確かに見たぞ!」
「し、知らねえ! 知らねえ!」
私を暗殺した容疑者はダークエルフの少年らしい。兵士たちに連行されて私の部屋までつれられて来た。
ダークエルフというのは神話の時代に魔王が暗殺者として重用していた亜人種だ。見た目は人間とあまり変わらないが耳と寿命が長く浅黒い肌をしているらしい。帝国内には様々な種族の人たちが暮らしている。
「見てくださいシャジャル様、こいつヘビを操る魔笛を持っています。動かぬ証拠です」
ヘビは魔法がかかった魔笛を吹くことで自由に操れる。普通、旅芸人が街中で人々を楽しませるために使うものだが、どうやら毒ヘビを操ることで暗殺の道具としても応用できるらしい。
「ふむ。貴様、誰に雇われた? 素直に吐けば慈悲を持って寛大な処置を考えてやっても良い。こちらにおわす王女殿下は慈悲深いお方だ」
「こんばんはー。天使様の加護があなたにありますように」
「だから、知らないって言ってるだろ……。つーか、何で王女が生きてんだ。確かに殺したはずなのに……。あ、やべっ……」
「やっぱり貴様が犯人か! おい、洗いざらい吐け。指を一本ずつ切り落とすぞ。もうまともに飯を食うこともできんだろう。それが嫌なら素直に言え」
「や、やれるもんならやってみろ!」
こんな少年を拷問にかけるとかシャジャルは悪鬼か悪魔じゃないかしら。きっとこの子は貧しい家庭で育ち、悪い人に騙され、悪の組織からお金を受け取って仕方なく私を殺めたのだろう。
「ダメよ、そんな乱暴しちゃ。ねえ僕、お姉ちゃんに雇い主を教えて? そうしたら今回だけは許してあげても良いから」
「うるせえ! この不具の穀潰し姫! あまり俺のことを舐めるな。俺は120歳だ」
「ふーん、なら手加減いらないわね」
私はダークエルフの少年……、いや、成人男性の指を掴んで曲がってはいけない方向へ思いっきり曲げた。
メキ……。
「ぎゃあ!? いぎいいぃ……!」
そのアサシンは苦痛のうめき声をあげた。男の人をこうやって痛めつけるのは初めてだけど何だか新鮮な気分。
「どう痛い? 私ね、死んだせいかリミッター外れたみたいに力が強くなったの。あなたみたいな女の子のように細い腕ぐらい簡単に折れるわよ? さあ素直に吐きなさい」
「お、王女殿下。そういった拷問でしたら我々親衛隊がしますので……」
「そうだ、シャジャル。さっき言ってた指を一本ずつ切り落とすやつ、今やってよ。天使様に会って聖女の力が上がったから、傷を塞ぐことしかできない回復の奇跡で指を生やせるかもしれないの。実験に協力して」
「は、はあ……。さて、大逆人よ。王女殿下の慈悲により拷問後も再び手で飯を食えるようになるぞ。その慈悲に感謝するが良い」
「ぜ、全然慈悲深くねえ!」
「まずは右手からだ」
「ひいぃ!」
ザクッとシャジャルが曲刀を振り下ろした。
「ぎゃあああ! 指があああ!」
「この者の傷を癒やし失われた指を生やしたまえ。天使教会奇跡『回復』……。ん? おかしいわね。奇跡が発動しない。魔力不足かしら?」
「いてーよー! このヤブ聖女!」
「シャジャル、もう片方の手も人差し指を落としなさい」
「はい」
「ぎゃあああ!」
「変ね、どうして奇跡が発動しないのかしら。死霊になると天使教会の加護が失われるのかしらね?」
「王女殿下、かつてこの地には邪教とされた死霊教会がありました。何でも、冥界に存在する冥王と死の天使に帰依する教えだったとか。もしや、王女殿下は死霊教会の加護を新たにお受けになられたのでは」
「そう! それよ! 今日から私は天使教会から死霊教会へ改宗するわ。死を司る天使様に会ったのですもの」
「そうですか、死を司る天使とお会いに。王女殿下を生き返らせいただいたことに感謝を。自分も死霊教会に改宗します。部下たちと教会を守る騎士修道会を組織しましょう」
「ううう……。指が……指が……」
「あら、忘れてたわ。死霊教会奇跡『回復』」
「王女殿下! 指が生えてきています! 奇跡だ!」
私が奇跡を唱えると切断した指があっという間に生えてきたようだ。傷を塞ぐ程度しかできない天使教会の奇跡とは大違いだ。
「おおっ! 王女殿下は素晴らしい聖女です! おい、大逆人、王女殿下の慈悲に感謝しろよ」
「くっ、死霊教会とか邪教徒じゃねーか。邪神の力借りて恥ずかしくねーのか?」
「シャジャル、今度は両手両足を切り落として」
「承知。おい、覚悟しろよ」
「く、くそったれ……! うぐっ!」
アサシンのダークエルフは歯を思いっきり噛んだ。
「こいつ、歯のなかに自決用の毒を仕込んでました。ダメだ。死んでる」
「ちょうど良いわ。蘇生の奇跡も試してみましょう。以前学んだけど誰も使えない禁じられた奇跡と言われてたのよね」
「おおっ! 王女殿下がいれば死を超越した無敵の軍隊が組織できますね。すっかり消えたと思っていた自分の野心の火が燃えてきました」
「へー、シャジャルって出世欲有ったんだ。いがーい。まあ、試してみましょう。死霊教会奇跡『蘇生』」
「あ゛ーーーー」
死んだはずのダークエルフのアサシンが声をあげた。そこには元気に動く彼の魂が見える。
「やった。成功したわ」
「すごい……! おい、大逆人、王女殿下に今度こそ感謝しろよ」
「あ゛ー、あ゛り゛がどー、びめざま……」
「ちょっと頭にダメージ入ってるかも知れないけどまあ仕方ないわ。死を司る天使様のようにはいかないわね。たぶん時間が経てば回復するはずだけど」
「王女殿下は死霊使いになられたのですか。すっかり従順な下僕と化しているようです。おい、大逆人。王女殿下殺害を依頼した雇い主を言え」
「はい゛ー。らいらおうじょど、じはーるおうじにがねもらっだー」
「待って、ライラとジハールって言った?」
「ぞーでずー」
「くそっ、あいつら……」
「婚約相手を私からライラへ変えたいからって私のこと邪魔だから殺したってわけ? 呆れた。あー、本当に呆れた」
こうして私は死霊教会の敬虔な信徒となったのだ。
「黙れ! 女性を襲う犯罪者はみんな冤罪云々ぬかすんだ!」
「大人しくしろ! このダークエルフの小僧め! お前が宿から慌てて走って去って行くのを確かに見たぞ!」
「し、知らねえ! 知らねえ!」
私を暗殺した容疑者はダークエルフの少年らしい。兵士たちに連行されて私の部屋までつれられて来た。
ダークエルフというのは神話の時代に魔王が暗殺者として重用していた亜人種だ。見た目は人間とあまり変わらないが耳と寿命が長く浅黒い肌をしているらしい。帝国内には様々な種族の人たちが暮らしている。
「見てくださいシャジャル様、こいつヘビを操る魔笛を持っています。動かぬ証拠です」
ヘビは魔法がかかった魔笛を吹くことで自由に操れる。普通、旅芸人が街中で人々を楽しませるために使うものだが、どうやら毒ヘビを操ることで暗殺の道具としても応用できるらしい。
「ふむ。貴様、誰に雇われた? 素直に吐けば慈悲を持って寛大な処置を考えてやっても良い。こちらにおわす王女殿下は慈悲深いお方だ」
「こんばんはー。天使様の加護があなたにありますように」
「だから、知らないって言ってるだろ……。つーか、何で王女が生きてんだ。確かに殺したはずなのに……。あ、やべっ……」
「やっぱり貴様が犯人か! おい、洗いざらい吐け。指を一本ずつ切り落とすぞ。もうまともに飯を食うこともできんだろう。それが嫌なら素直に言え」
「や、やれるもんならやってみろ!」
こんな少年を拷問にかけるとかシャジャルは悪鬼か悪魔じゃないかしら。きっとこの子は貧しい家庭で育ち、悪い人に騙され、悪の組織からお金を受け取って仕方なく私を殺めたのだろう。
「ダメよ、そんな乱暴しちゃ。ねえ僕、お姉ちゃんに雇い主を教えて? そうしたら今回だけは許してあげても良いから」
「うるせえ! この不具の穀潰し姫! あまり俺のことを舐めるな。俺は120歳だ」
「ふーん、なら手加減いらないわね」
私はダークエルフの少年……、いや、成人男性の指を掴んで曲がってはいけない方向へ思いっきり曲げた。
メキ……。
「ぎゃあ!? いぎいいぃ……!」
そのアサシンは苦痛のうめき声をあげた。男の人をこうやって痛めつけるのは初めてだけど何だか新鮮な気分。
「どう痛い? 私ね、死んだせいかリミッター外れたみたいに力が強くなったの。あなたみたいな女の子のように細い腕ぐらい簡単に折れるわよ? さあ素直に吐きなさい」
「お、王女殿下。そういった拷問でしたら我々親衛隊がしますので……」
「そうだ、シャジャル。さっき言ってた指を一本ずつ切り落とすやつ、今やってよ。天使様に会って聖女の力が上がったから、傷を塞ぐことしかできない回復の奇跡で指を生やせるかもしれないの。実験に協力して」
「は、はあ……。さて、大逆人よ。王女殿下の慈悲により拷問後も再び手で飯を食えるようになるぞ。その慈悲に感謝するが良い」
「ぜ、全然慈悲深くねえ!」
「まずは右手からだ」
「ひいぃ!」
ザクッとシャジャルが曲刀を振り下ろした。
「ぎゃあああ! 指があああ!」
「この者の傷を癒やし失われた指を生やしたまえ。天使教会奇跡『回復』……。ん? おかしいわね。奇跡が発動しない。魔力不足かしら?」
「いてーよー! このヤブ聖女!」
「シャジャル、もう片方の手も人差し指を落としなさい」
「はい」
「ぎゃあああ!」
「変ね、どうして奇跡が発動しないのかしら。死霊になると天使教会の加護が失われるのかしらね?」
「王女殿下、かつてこの地には邪教とされた死霊教会がありました。何でも、冥界に存在する冥王と死の天使に帰依する教えだったとか。もしや、王女殿下は死霊教会の加護を新たにお受けになられたのでは」
「そう! それよ! 今日から私は天使教会から死霊教会へ改宗するわ。死を司る天使様に会ったのですもの」
「そうですか、死を司る天使とお会いに。王女殿下を生き返らせいただいたことに感謝を。自分も死霊教会に改宗します。部下たちと教会を守る騎士修道会を組織しましょう」
「ううう……。指が……指が……」
「あら、忘れてたわ。死霊教会奇跡『回復』」
「王女殿下! 指が生えてきています! 奇跡だ!」
私が奇跡を唱えると切断した指があっという間に生えてきたようだ。傷を塞ぐ程度しかできない天使教会の奇跡とは大違いだ。
「おおっ! 王女殿下は素晴らしい聖女です! おい、大逆人、王女殿下の慈悲に感謝しろよ」
「くっ、死霊教会とか邪教徒じゃねーか。邪神の力借りて恥ずかしくねーのか?」
「シャジャル、今度は両手両足を切り落として」
「承知。おい、覚悟しろよ」
「く、くそったれ……! うぐっ!」
アサシンのダークエルフは歯を思いっきり噛んだ。
「こいつ、歯のなかに自決用の毒を仕込んでました。ダメだ。死んでる」
「ちょうど良いわ。蘇生の奇跡も試してみましょう。以前学んだけど誰も使えない禁じられた奇跡と言われてたのよね」
「おおっ! 王女殿下がいれば死を超越した無敵の軍隊が組織できますね。すっかり消えたと思っていた自分の野心の火が燃えてきました」
「へー、シャジャルって出世欲有ったんだ。いがーい。まあ、試してみましょう。死霊教会奇跡『蘇生』」
「あ゛ーーーー」
死んだはずのダークエルフのアサシンが声をあげた。そこには元気に動く彼の魂が見える。
「やった。成功したわ」
「すごい……! おい、大逆人、王女殿下に今度こそ感謝しろよ」
「あ゛ー、あ゛り゛がどー、びめざま……」
「ちょっと頭にダメージ入ってるかも知れないけどまあ仕方ないわ。死を司る天使様のようにはいかないわね。たぶん時間が経てば回復するはずだけど」
「王女殿下は死霊使いになられたのですか。すっかり従順な下僕と化しているようです。おい、大逆人。王女殿下殺害を依頼した雇い主を言え」
「はい゛ー。らいらおうじょど、じはーるおうじにがねもらっだー」
「待って、ライラとジハールって言った?」
「ぞーでずー」
「くそっ、あいつら……」
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