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第一章 異世界で結婚相談所?
魔法使いローザご来店
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* * *
そして早速次の日から、ギルドのカウンターの一角で、結婚相談所でアドバイザーをすることになった。
アリサは、徹夜で描いた自作のチラシをギルドの前で道行く人に配っていた。
そこには、『フィルタウン初・結婚相談所はじめました♪ 初回入会料無料!』と書かれている。
「ギルドで結婚相談所はじめましたー!
独身の方、ぜひご登録ください!」
声高々に宣伝をする。
チラシをも受け取ったり、アリサの掛け声を聞いた通りすがりの冒険者たちは、その様子を物珍しそうに見ていた。
「結婚相談所……? なんだそりゃあ」
「ケビン、おかしくなっちまったのか?」
ギルドの常連らしき男性たちは、チラシを見ながらケビンの決断に疑問を持つ。
「プロフィールを登録していただければ、私が相性の良い異性をお探しします!」
異世界では、結婚相談所という概念がないようで、みな首を傾げては通り過ぎていってしまう。
しかし、そんなことではめげない。
きっとパートナーが欲しいと思っている人がいるはずだ。
現世でも、相談所に登録するのが友人や家族にバレるのが恥ずかしいという会員様も多かったので、プライバシーを確保するためギルドの裏口から入り、個室での相談を受けられると強調する。
チラシを配り始めてから数時間が経過した。
なかなか良い反応がもらえず、アリサはため息をつき額の汗を拭った。
すると、入り口の扉からケビンが顔を出した。
「アリサ。……君あての来客だ」
チラシの効果に違いない。
アリサはガッツポーズを取り、ケビンに返事をしてギルドの中へと入って電話へと出た。
* * *
異世界結婚相談所、開店から一晩明けた翌朝。
興味本位の冷やかしや、馬鹿にしてくるような人もいたが、初日から興味を持った人が何人か相談に来てくれた。
結婚相談所の説明をし、真剣交際の相手を探すお手伝いをする、と伝えると、会員になることを決意してくれる人も居て安心した。
今から来るのは、魔法使いだという女性。
本人のプロフィールや、結婚相手に求める条件などを直接聞くため、面談をすることになったのだ。
プライバシーを確保するためにギルド内の個室を借り、アリサは相談者を待っていた。
コンコン、と扉を叩く音がした。
「どうぞお入りください」
扉を開けて入ってきたのは、ロングパーマ髪の気の強そうな女性だ。
「ローザよ」
「アリサと申します。よろしくお願いします」
椅子から立ち上がり、深く礼をしてアリサはローザを迎え入れる。
「チラシ見てギルドで面白いことやってる見たいだから、ちょっと興味本位で来てみただけだからねっ」
本気で相手を探しているわけじゃない、そこまで困ってない、と強調している。
(ふふ、ちょっと気になっただけ、と強がっちゃってるわ。初めて利用する会員様によくあることね。
でも、そんな緊張や恥ずかしさは、すぐにほぐしてみせる)
アリサは会員様のその程度の強がりには慣れっこのため、笑顔で席へと促す。
「ありがとうございます。
まずはこのプロフィールカードをご記入ください。
少し失礼なことも書いてあると思いますが、嘘はつかずにお願いいたします」
こちらも手作りのプロフィールカードを手渡すアリサ。
ふーん、と中身を確認し、ペンを手に取ったローザはその紙に順に記入をしていく。
『名前:ローザ 年齢:26歳 職業:魔法使い
趣味:新しい魔法の特訓、ネイル 特技:炎魔法
休日の過ごし方:料理、ガーデニング
好きな食べ物:シチュー、ケーキ
結婚願望:いい人がいれば
子供が欲しいか:結婚して数年後には
好きなタイプ:強くて男らしい
デートに行きたい場所:レストラン、カフェ』
「書けたわよ」
「ありがとうございます。拝見いたします」
几帳面な丁寧な字で書かれたプロフィールカードを手に持ち、読み進める。
(なるほど……。趣味と特技に魔法を書くあたり、自分の仕事に誇りを持ち努力をしている。
ネイルや服、メイクをが好きみたいだから自分磨きを怠らないタイプね。実際お綺麗だわ。
年齢も適齢期だし、すぐに来てくれたこともあり結婚願望は強そうね。
共働き希望の美意識高い、キャリアウーマンタイプだわ)
アリサは項目一つ一つを確認しながら、ローザの人となりを分析した。
「ご記入ありがとうございます。
好きなタイプが強くて男らしい方とありますが、具体的には…?」
「そうね、やっぱり男は私より強くなくちゃ話にならないわ。
レベルの高い戦士や賢者じゃなきゃ嫌よ」
「なるほど」
ローザは腕を組みながら、理想の男性像について語る。それ以下の男なんて相手にしないわ、というような気の強さが窺える。
(自分が日々努力している女性によくある、いわゆる『ハイスペ男子』狙いね……。
ただ、本当にハイスペな人は忙しいか、昔からの彼女がいて相談所には来ない事が多い)
前世でもよくあることだった。
やはり女性は高収入・高学歴・高身長の、いわゆる三高の男性を望むのだ。
しかしそういう男性は競争率が高く、入会してもすぐに成婚してしまう。
そもそも、女性には困らないので相談所の登録は少ない。
相談所に来るハイスペ男子は転勤が多かったり、激務すぎて出会いが無い方が多い印象だ。
(異世界だから、婚活アドバイザーとしてうまくできるか心配だったけど。
キャリアウーマンはハイスペ狙いだったり、結婚願望のある人ほど強がったり。
職業がファンタジー風なだけで、前世と傾向は同じね。
これなら、私の積み重ねた経験と知識が、ここでも通用するはず……!)
ならば、私のやり方でやればいい。
アリサは手元にあるファイルの入れた、すでに来た相談者の男性のプロフィールカードを眺める。
そして、その中の一人の男性を見つけると、この人が良いのではないか、と心の中で頷いた。
そして早速次の日から、ギルドのカウンターの一角で、結婚相談所でアドバイザーをすることになった。
アリサは、徹夜で描いた自作のチラシをギルドの前で道行く人に配っていた。
そこには、『フィルタウン初・結婚相談所はじめました♪ 初回入会料無料!』と書かれている。
「ギルドで結婚相談所はじめましたー!
独身の方、ぜひご登録ください!」
声高々に宣伝をする。
チラシをも受け取ったり、アリサの掛け声を聞いた通りすがりの冒険者たちは、その様子を物珍しそうに見ていた。
「結婚相談所……? なんだそりゃあ」
「ケビン、おかしくなっちまったのか?」
ギルドの常連らしき男性たちは、チラシを見ながらケビンの決断に疑問を持つ。
「プロフィールを登録していただければ、私が相性の良い異性をお探しします!」
異世界では、結婚相談所という概念がないようで、みな首を傾げては通り過ぎていってしまう。
しかし、そんなことではめげない。
きっとパートナーが欲しいと思っている人がいるはずだ。
現世でも、相談所に登録するのが友人や家族にバレるのが恥ずかしいという会員様も多かったので、プライバシーを確保するためギルドの裏口から入り、個室での相談を受けられると強調する。
チラシを配り始めてから数時間が経過した。
なかなか良い反応がもらえず、アリサはため息をつき額の汗を拭った。
すると、入り口の扉からケビンが顔を出した。
「アリサ。……君あての来客だ」
チラシの効果に違いない。
アリサはガッツポーズを取り、ケビンに返事をしてギルドの中へと入って電話へと出た。
* * *
異世界結婚相談所、開店から一晩明けた翌朝。
興味本位の冷やかしや、馬鹿にしてくるような人もいたが、初日から興味を持った人が何人か相談に来てくれた。
結婚相談所の説明をし、真剣交際の相手を探すお手伝いをする、と伝えると、会員になることを決意してくれる人も居て安心した。
今から来るのは、魔法使いだという女性。
本人のプロフィールや、結婚相手に求める条件などを直接聞くため、面談をすることになったのだ。
プライバシーを確保するためにギルド内の個室を借り、アリサは相談者を待っていた。
コンコン、と扉を叩く音がした。
「どうぞお入りください」
扉を開けて入ってきたのは、ロングパーマ髪の気の強そうな女性だ。
「ローザよ」
「アリサと申します。よろしくお願いします」
椅子から立ち上がり、深く礼をしてアリサはローザを迎え入れる。
「チラシ見てギルドで面白いことやってる見たいだから、ちょっと興味本位で来てみただけだからねっ」
本気で相手を探しているわけじゃない、そこまで困ってない、と強調している。
(ふふ、ちょっと気になっただけ、と強がっちゃってるわ。初めて利用する会員様によくあることね。
でも、そんな緊張や恥ずかしさは、すぐにほぐしてみせる)
アリサは会員様のその程度の強がりには慣れっこのため、笑顔で席へと促す。
「ありがとうございます。
まずはこのプロフィールカードをご記入ください。
少し失礼なことも書いてあると思いますが、嘘はつかずにお願いいたします」
こちらも手作りのプロフィールカードを手渡すアリサ。
ふーん、と中身を確認し、ペンを手に取ったローザはその紙に順に記入をしていく。
『名前:ローザ 年齢:26歳 職業:魔法使い
趣味:新しい魔法の特訓、ネイル 特技:炎魔法
休日の過ごし方:料理、ガーデニング
好きな食べ物:シチュー、ケーキ
結婚願望:いい人がいれば
子供が欲しいか:結婚して数年後には
好きなタイプ:強くて男らしい
デートに行きたい場所:レストラン、カフェ』
「書けたわよ」
「ありがとうございます。拝見いたします」
几帳面な丁寧な字で書かれたプロフィールカードを手に持ち、読み進める。
(なるほど……。趣味と特技に魔法を書くあたり、自分の仕事に誇りを持ち努力をしている。
ネイルや服、メイクをが好きみたいだから自分磨きを怠らないタイプね。実際お綺麗だわ。
年齢も適齢期だし、すぐに来てくれたこともあり結婚願望は強そうね。
共働き希望の美意識高い、キャリアウーマンタイプだわ)
アリサは項目一つ一つを確認しながら、ローザの人となりを分析した。
「ご記入ありがとうございます。
好きなタイプが強くて男らしい方とありますが、具体的には…?」
「そうね、やっぱり男は私より強くなくちゃ話にならないわ。
レベルの高い戦士や賢者じゃなきゃ嫌よ」
「なるほど」
ローザは腕を組みながら、理想の男性像について語る。それ以下の男なんて相手にしないわ、というような気の強さが窺える。
(自分が日々努力している女性によくある、いわゆる『ハイスペ男子』狙いね……。
ただ、本当にハイスペな人は忙しいか、昔からの彼女がいて相談所には来ない事が多い)
前世でもよくあることだった。
やはり女性は高収入・高学歴・高身長の、いわゆる三高の男性を望むのだ。
しかしそういう男性は競争率が高く、入会してもすぐに成婚してしまう。
そもそも、女性には困らないので相談所の登録は少ない。
相談所に来るハイスペ男子は転勤が多かったり、激務すぎて出会いが無い方が多い印象だ。
(異世界だから、婚活アドバイザーとしてうまくできるか心配だったけど。
キャリアウーマンはハイスペ狙いだったり、結婚願望のある人ほど強がったり。
職業がファンタジー風なだけで、前世と傾向は同じね。
これなら、私の積み重ねた経験と知識が、ここでも通用するはず……!)
ならば、私のやり方でやればいい。
アリサは手元にあるファイルの入れた、すでに来た相談者の男性のプロフィールカードを眺める。
そして、その中の一人の男性を見つけると、この人が良いのではないか、と心の中で頷いた。
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