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第5章 婚活セミナー
多忙なクレイには恋愛スイッチを
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次はクレイに会いに、ガーネット城へとアリサは向かった。
貴族たちの中に紛れても浮かないよう、清楚なワンピース姿で城門前集合たが、クレイの姿はない。
悠然とそびえ立つ煉瓦造りのガーネット城。国の権威の象徴であり、豪奢で威厳が見える。
門の前をうろうろしていると、甲冑を着込こみ剣を持った門番に、怪しい目で見られた。
「失礼、アリサ殿。遅くなりました。
どうぞこちらへ」
栗色の髪をなびかせ、クレイがアリサを門の中へと招き入れた。
門番たちはクレイの姿を見ると胸に手を当て敬礼をする。
変質者扱いしていたアリサをクレイの客人だと解ると、重い門を開いた。
城内の庭のベンチに座り、クレイにも個人面談をする。
近くに咲いている色とりどりの花から、甘い香りがして、心が安らぐ。
「クレイさん。
あなたはガーネット王国の王子側近として仕事に誇りを持ってらっしゃる、素敵な男性です」
開口一番クレイの長所を誉めると、え、と目を丸くして、
「いえ、私などまだまだ未熟者でございます」
と謙虚に首を横に振った。
貴族としての品のある振る舞いを感じつつ、アリサはクレイの短所を指摘する。
「ですが、多忙ゆえに恋愛をする暇がないみたいですね」
「い、いかにも……」
自分でも自覚はあったのであろう。
しかし仕事が、あのわがまま放題なルビオの世話役だ。
忙しくて大変なのは端から見ても分かる。
そんな彼に、ふさわしい相手を探してあげたいと思うのが本心である。
「多忙なクレイさんのお仕事を理解してくれる方が望ましいと思います。
そして、休みの日はゆっくりとお互いの趣味を楽しめるような、穏やかな方」
アリサの言葉に、真っ直ぐに目を見つめ真摯に頷くクレイ。
今日はメモとペンは持っていないようだが、今にも書き留めそうだ。
「確かに、仕事に理解があり、おっとりした女性は私の理想ですな」
顎に手を置き、うんうんと納得するクレイ。
「そのためには、クレイさんがもっと恋愛スイッチを入れる必要があります」
人差し指を立て、スイッチを押すような動作をしながら語るアリサ。
「恋愛スイッチとは?」
ピンとこないのか、クレイが聞き返す。
アリサが勝手に作った造語なのだが、恋愛モードをオンにする、脳のスイッチみたいなものだと思っている。
仕事や勉強、他のことが忙しいと恋愛に割く時間も余裕もなくなり、始まる恋も始まらないと思うのだ。
「道ですれ違う女性や、店員さんや同僚の女性も、一度恋愛対象として意識してみるのです。
そうすると、女性としての長所が見えてきます。
この人と一緒にいたいな、という条件もわかってくるはずです」
あの人は背筋がスッとしていて姿勢が綺麗だなとか、話し方が好みだなとか、えくぼが可愛いな、とか。
年上年下、既婚未婚関係なく、異性を全員一回恋愛対象として見てみる方法だ。
恋多き男、行き過ぎれば節操なしのチャラ男になってしまいそうだが、ワーカホリックな仕事人間の矯正にはピッタリなのである。
「なるほど……。
お恥ずかしい話ですが、私は長らく恋愛をしていなかったので、ずっとその恋愛スイッチがオフだったのかもしれませんね」
遠い昔の恋人でも思い返しているのか、クレイが少し目を細めて宙を見ていたが、
「アリサ殿は、人にアドバイスしている時が一番イキイキしていて素敵ですね」
恋愛スイッチを入れてみたのか、クレイに急に褒められてアリサは恥ずかしくなった。
「ふふ、ありがとうございます。
そりゃあ、私は婚活アドバイザーですから!」
胸を張って、堂々と宣言した。
異世界のみんなを幸せにするために、私はきっと転生したんだ、と。
貴族たちの中に紛れても浮かないよう、清楚なワンピース姿で城門前集合たが、クレイの姿はない。
悠然とそびえ立つ煉瓦造りのガーネット城。国の権威の象徴であり、豪奢で威厳が見える。
門の前をうろうろしていると、甲冑を着込こみ剣を持った門番に、怪しい目で見られた。
「失礼、アリサ殿。遅くなりました。
どうぞこちらへ」
栗色の髪をなびかせ、クレイがアリサを門の中へと招き入れた。
門番たちはクレイの姿を見ると胸に手を当て敬礼をする。
変質者扱いしていたアリサをクレイの客人だと解ると、重い門を開いた。
城内の庭のベンチに座り、クレイにも個人面談をする。
近くに咲いている色とりどりの花から、甘い香りがして、心が安らぐ。
「クレイさん。
あなたはガーネット王国の王子側近として仕事に誇りを持ってらっしゃる、素敵な男性です」
開口一番クレイの長所を誉めると、え、と目を丸くして、
「いえ、私などまだまだ未熟者でございます」
と謙虚に首を横に振った。
貴族としての品のある振る舞いを感じつつ、アリサはクレイの短所を指摘する。
「ですが、多忙ゆえに恋愛をする暇がないみたいですね」
「い、いかにも……」
自分でも自覚はあったのであろう。
しかし仕事が、あのわがまま放題なルビオの世話役だ。
忙しくて大変なのは端から見ても分かる。
そんな彼に、ふさわしい相手を探してあげたいと思うのが本心である。
「多忙なクレイさんのお仕事を理解してくれる方が望ましいと思います。
そして、休みの日はゆっくりとお互いの趣味を楽しめるような、穏やかな方」
アリサの言葉に、真っ直ぐに目を見つめ真摯に頷くクレイ。
今日はメモとペンは持っていないようだが、今にも書き留めそうだ。
「確かに、仕事に理解があり、おっとりした女性は私の理想ですな」
顎に手を置き、うんうんと納得するクレイ。
「そのためには、クレイさんがもっと恋愛スイッチを入れる必要があります」
人差し指を立て、スイッチを押すような動作をしながら語るアリサ。
「恋愛スイッチとは?」
ピンとこないのか、クレイが聞き返す。
アリサが勝手に作った造語なのだが、恋愛モードをオンにする、脳のスイッチみたいなものだと思っている。
仕事や勉強、他のことが忙しいと恋愛に割く時間も余裕もなくなり、始まる恋も始まらないと思うのだ。
「道ですれ違う女性や、店員さんや同僚の女性も、一度恋愛対象として意識してみるのです。
そうすると、女性としての長所が見えてきます。
この人と一緒にいたいな、という条件もわかってくるはずです」
あの人は背筋がスッとしていて姿勢が綺麗だなとか、話し方が好みだなとか、えくぼが可愛いな、とか。
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恋多き男、行き過ぎれば節操なしのチャラ男になってしまいそうだが、ワーカホリックな仕事人間の矯正にはピッタリなのである。
「なるほど……。
お恥ずかしい話ですが、私は長らく恋愛をしていなかったので、ずっとその恋愛スイッチがオフだったのかもしれませんね」
遠い昔の恋人でも思い返しているのか、クレイが少し目を細めて宙を見ていたが、
「アリサ殿は、人にアドバイスしている時が一番イキイキしていて素敵ですね」
恋愛スイッチを入れてみたのか、クレイに急に褒められてアリサは恥ずかしくなった。
「ふふ、ありがとうございます。
そりゃあ、私は婚活アドバイザーですから!」
胸を張って、堂々と宣言した。
異世界のみんなを幸せにするために、私はきっと転生したんだ、と。
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