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比翼之鳥
比翼之鳥 第一話
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逢いたかった。逢いたくて逢いたくて仕方が無かった。この手を血で染め上げてしまったとしても、それでも傍に居たいと心から思った。
「………どうして、こんなことしたの……なんで俺なんかのとこに帰ってきたんだ……」
そう言いながら、璃生が俺の足元で泣いている。
その表情はとても美しく、やはりこの人が好きだと改めて思った。
プレイルームによく似ている赤い壁は、自棄に色々な事を思い出させて仕方がない。
俺は璃生に微笑んで、静かにこういった。
「愛してる」
俺がそういうと璃生が、くっきりとした二重瞼の目を見開く。言葉を失くして頬を染めた璃生が、声を出せないままで口元を押さえる。
だから俺はもう一度、璃生に問いかけた。
「………愛してる。璃生は……俺の事もう嫌い?」
俺の返した言葉に対して、璃生が泣き崩れた。そして俺の脚に縋りつく。
やっと言えた。やっと本当の気持ちを、璃生に伝えることが出来た。同じ地獄にやっと一緒に堕ちることが出来たのだ。
「愛してる………!!!」
甘い甘い璃生の声が、するりと俺の中に染み込んでゆく。
そして俺はこの道を選んだ事が、やはり最善だったと確信した。
一緒に生きてゆくことが、今の俺のすべてだ。
「一緒にいてよ。俺と。ずっとずっと一緒に」
血塗れの俺の身体に璃生の手が伸びる。
久しぶりの璃生の温度が愛しくて、思わず泣きそうになってしまう。
色々な感情が俺の中を巡り、今にも破綻してしまいそうだ。
それでも今この美しい人をまた抱きしめる事が出来たことで、俺はいっぱいいっぱいだった。
璃生に身体を預けるように凭れ掛かれば、璃生が俺を抱き上げる。
心の底から安心したのなんて、本当に久しぶりだった。
小さなシャワールームの前で、璃生が俺の着ている作業着を脱がしてゆく。
久しぶりの璃生の俺を撫でる指先が愛しくて、身体の芯が熱くなった。
「………少し痩せたか?」
そう囁いて俺をシャワールームの床に降ろす。
璃生の手が優しく俺を撫でながら、俺の血をシャワーで洗い流してゆく。
この瞳に見つめられながら、この腕に久しぶりに抱かれたい。
璃生に視線を絡ませれば、璃生が頬を赤く染め上げる。
俺たちは今間違いなく同じ気持ちだ。
濡れたままの身体で璃生の首に腕を回せば、璃生が少しだけ恥ずかしそうに目を泳がせる。そして小さな声で囁いた。
「……この部屋でしたら、京條に見つかるかもしれないぞ?」
そう言って俺を制そうとする璃生の唇に、俺の唇を重ね合わせる。そして唇の前で囁いた。
「いいじゃんもう………見せつけてやろう?」
ほんの少しだけ呆れたような表情を浮かべながらも、璃生は満更でもなさそうに舌に舌を絡ませる。
濡れた手で璃生の着ているシャツに手を掛けて、丁寧にボタンを外してゆく。
そして久しぶりの璃生の肌に触れて、そのままシャワールームの中に引きずり込んだ。
シャワーの水の音と流れる水の音に、何度も何度も重ね合ったキスの音がかき消されて隠される。
「は………」
小さく息を漏らせば、璃生が俺の首筋を淡く撫でた。
お互いにシャワーで身体を濡らしたままで、視線を絡ませる。
見つめ合った目の瞳孔が開いた時、俺の身体が更に熱くなった。
シャワールームの床に座った璃生の上に乗るように座れば、璃生が俺の胸の突起に舌を這わせる。
太ももを撫でる手付きに心ばかりが焦ってゆく。
一つになりたくて仕方がない。
欲しくて欲しくてどうしようもなくて、漓生の事しか考えられない。
「なんかすごくいやらしくなったね……?もう、すごく感じてる」
璃生の舌が俺の身体を這う度に、俺の身体が更に甘くなっている事を理解する。
俺のものも璃生のものも既に熱くて、とても硬くなってしまっている。
俺は璃生に笑ってそっと耳元で囁いた。
「………ずっと璃生の事我慢してたんだから、仕方ないでしょ?」
璃生はほんの少しだけ嬉しそうに微笑んで、俺の口の中に指をねじ込む。
俺の口から唾液が溢れれば、それを指先に絡ませた。
俺の唾液で濡れた指先で、入り口を弄る。俺の身体が震えた瞬間に璃生は甘く囁いた。
「じゃあ、早く満たしてあげなきゃな……」
璃生の指先が俺の中に入り込み、俺の好きな場所をすぐに見付けて弄ってゆく。
すぐに体中から力が抜けて、身体を起こしていられない。
「は………まって璃生……それだめ………!!!」
そう言って囁けば、煽るように璃生が笑う。
「………もう、俺も待てない」
久しぶりの頭が真っ白になる感覚と、身体を駆け抜けてゆく冷たい衝撃。
俺のものが小さく脈打って、白濁を吐き出す。
それは璃生の濡れた身体の上に溢れて、璃生の身体を汚した。
息を乱したままでそれを指先に絡めとる。
そして璃生の口内にそれをねじ込めば、璃生が俺の指先を貪った。
久しぶりの熱に、久しぶりの快楽。理性なんてもう、とうに無い。
獣の様にただ求め合っている。
「あ……!!!はっ……んんん!!!」
身体を壁に凭れながら、後ろからの璃生が入り込んでくるのを感じる。
人に抱かれる感覚を思い返しながら、壁を使って身体を捻り璃生の方を見る。
久しぶりの璃生の余裕のない表情が愛しくて、懐かしい感情に心が揺れた。
やっとこの腕に帰ってこれた。
俺の身体を後ろから抱き寄せながら、璃生が甘く問いかけた。
「………涼、本当に俺と生きる事にして良かったのか?」
後悔が無いと言われれば嘘になる事位は、流石に俺も解っている。
けれど考え抜いた末の答えがこれだ。
それに俺にはどうしても、やりたいと思っていた事もある。
「うん……璃生と一緒に、生きたかった……璃生がいい……璃生じゃなきゃ嫌だ……」
そう囁いて甘い口付けを交わしながら、この地獄で生きてゆく事を覚悟する。
この地獄で生きる事は、今までよりも大変な事位は正直良く解っているのだ。
漓生に揺さぶられながら、何度も何度も絶頂に溺れる。
だからこそ今こうしていられるうちは、この熱に、快楽に溺れてしまいたいと思った。
***
「俺、正直ゼノちゃんがこんなに頭のおかしい奴だとは思ってなかったなー」
そう言いながらフェラーリのハンドルを切る京條さんの助手席で、俺は作り笑いを浮かべて見せる。
久しぶりの夜の街並みを横目に、俺は色々な気持ちを抱いていた。
「………......それは貶してるんですか?それとも褒めてるんですか?」
そう言い返してみれば、京條さんが少し考えたように首を傾げる。
赤信号で車を止めて京條さんが俺を見る。そして冷たい笑みを浮かべた。
「正直俺はね、今君を褒めてるよ。よく考えた事だよ。………ケーキの保護施設なんてさ」
ケーキの風俗店は確かに必要であり、ケーキの肉の密売だってある層には必要不可欠なものだ。
けれど京條漣のしている仕事に今足りていないものは、国からの安定した収入を得ることが出来る施設の存在だ。
それに身寄りのない社会的に消しても問題のないケーキの存在を、それで炙り出す事が出来る。
これが上手く回えば全てが円滑に回り、さらに金の入りが良くなる。
つまり俺は今、俺と全く同じ立ち位置にいるケーキを、ケーキでありながら狩る事に決めたのだ。
たった一つの愛の為だけに、同種の命に手を掛ける。
俺は完全に悪魔に、魂を売り渡したとしか思えないことを行っていた。
「…………その仕事を上手く回すのには、上に立つケーキの顔がどうしても必要になりますよね?」
赤いフェラーリから降りて、京條さんに連れ添って歩く。
今から向かう場所は権力のある金持ちの、フォークたちのパーティーだ。
今俺はどうしても力が欲しい。どんな事をしても構わない。兎に角俺には権力が必要なのだ。
「…………末恐ろしい子」
京條さんが皮肉めいた事を口にして、俺の腰に腕を回す。
そして俺は京條さんと二人で、パーティーのある大きなホテルの中に入った。
「………どうして、こんなことしたの……なんで俺なんかのとこに帰ってきたんだ……」
そう言いながら、璃生が俺の足元で泣いている。
その表情はとても美しく、やはりこの人が好きだと改めて思った。
プレイルームによく似ている赤い壁は、自棄に色々な事を思い出させて仕方がない。
俺は璃生に微笑んで、静かにこういった。
「愛してる」
俺がそういうと璃生が、くっきりとした二重瞼の目を見開く。言葉を失くして頬を染めた璃生が、声を出せないままで口元を押さえる。
だから俺はもう一度、璃生に問いかけた。
「………愛してる。璃生は……俺の事もう嫌い?」
俺の返した言葉に対して、璃生が泣き崩れた。そして俺の脚に縋りつく。
やっと言えた。やっと本当の気持ちを、璃生に伝えることが出来た。同じ地獄にやっと一緒に堕ちることが出来たのだ。
「愛してる………!!!」
甘い甘い璃生の声が、するりと俺の中に染み込んでゆく。
そして俺はこの道を選んだ事が、やはり最善だったと確信した。
一緒に生きてゆくことが、今の俺のすべてだ。
「一緒にいてよ。俺と。ずっとずっと一緒に」
血塗れの俺の身体に璃生の手が伸びる。
久しぶりの璃生の温度が愛しくて、思わず泣きそうになってしまう。
色々な感情が俺の中を巡り、今にも破綻してしまいそうだ。
それでも今この美しい人をまた抱きしめる事が出来たことで、俺はいっぱいいっぱいだった。
璃生に身体を預けるように凭れ掛かれば、璃生が俺を抱き上げる。
心の底から安心したのなんて、本当に久しぶりだった。
小さなシャワールームの前で、璃生が俺の着ている作業着を脱がしてゆく。
久しぶりの璃生の俺を撫でる指先が愛しくて、身体の芯が熱くなった。
「………少し痩せたか?」
そう囁いて俺をシャワールームの床に降ろす。
璃生の手が優しく俺を撫でながら、俺の血をシャワーで洗い流してゆく。
この瞳に見つめられながら、この腕に久しぶりに抱かれたい。
璃生に視線を絡ませれば、璃生が頬を赤く染め上げる。
俺たちは今間違いなく同じ気持ちだ。
濡れたままの身体で璃生の首に腕を回せば、璃生が少しだけ恥ずかしそうに目を泳がせる。そして小さな声で囁いた。
「……この部屋でしたら、京條に見つかるかもしれないぞ?」
そう言って俺を制そうとする璃生の唇に、俺の唇を重ね合わせる。そして唇の前で囁いた。
「いいじゃんもう………見せつけてやろう?」
ほんの少しだけ呆れたような表情を浮かべながらも、璃生は満更でもなさそうに舌に舌を絡ませる。
濡れた手で璃生の着ているシャツに手を掛けて、丁寧にボタンを外してゆく。
そして久しぶりの璃生の肌に触れて、そのままシャワールームの中に引きずり込んだ。
シャワーの水の音と流れる水の音に、何度も何度も重ね合ったキスの音がかき消されて隠される。
「は………」
小さく息を漏らせば、璃生が俺の首筋を淡く撫でた。
お互いにシャワーで身体を濡らしたままで、視線を絡ませる。
見つめ合った目の瞳孔が開いた時、俺の身体が更に熱くなった。
シャワールームの床に座った璃生の上に乗るように座れば、璃生が俺の胸の突起に舌を這わせる。
太ももを撫でる手付きに心ばかりが焦ってゆく。
一つになりたくて仕方がない。
欲しくて欲しくてどうしようもなくて、漓生の事しか考えられない。
「なんかすごくいやらしくなったね……?もう、すごく感じてる」
璃生の舌が俺の身体を這う度に、俺の身体が更に甘くなっている事を理解する。
俺のものも璃生のものも既に熱くて、とても硬くなってしまっている。
俺は璃生に笑ってそっと耳元で囁いた。
「………ずっと璃生の事我慢してたんだから、仕方ないでしょ?」
璃生はほんの少しだけ嬉しそうに微笑んで、俺の口の中に指をねじ込む。
俺の口から唾液が溢れれば、それを指先に絡ませた。
俺の唾液で濡れた指先で、入り口を弄る。俺の身体が震えた瞬間に璃生は甘く囁いた。
「じゃあ、早く満たしてあげなきゃな……」
璃生の指先が俺の中に入り込み、俺の好きな場所をすぐに見付けて弄ってゆく。
すぐに体中から力が抜けて、身体を起こしていられない。
「は………まって璃生……それだめ………!!!」
そう言って囁けば、煽るように璃生が笑う。
「………もう、俺も待てない」
久しぶりの頭が真っ白になる感覚と、身体を駆け抜けてゆく冷たい衝撃。
俺のものが小さく脈打って、白濁を吐き出す。
それは璃生の濡れた身体の上に溢れて、璃生の身体を汚した。
息を乱したままでそれを指先に絡めとる。
そして璃生の口内にそれをねじ込めば、璃生が俺の指先を貪った。
久しぶりの熱に、久しぶりの快楽。理性なんてもう、とうに無い。
獣の様にただ求め合っている。
「あ……!!!はっ……んんん!!!」
身体を壁に凭れながら、後ろからの璃生が入り込んでくるのを感じる。
人に抱かれる感覚を思い返しながら、壁を使って身体を捻り璃生の方を見る。
久しぶりの璃生の余裕のない表情が愛しくて、懐かしい感情に心が揺れた。
やっとこの腕に帰ってこれた。
俺の身体を後ろから抱き寄せながら、璃生が甘く問いかけた。
「………涼、本当に俺と生きる事にして良かったのか?」
後悔が無いと言われれば嘘になる事位は、流石に俺も解っている。
けれど考え抜いた末の答えがこれだ。
それに俺にはどうしても、やりたいと思っていた事もある。
「うん……璃生と一緒に、生きたかった……璃生がいい……璃生じゃなきゃ嫌だ……」
そう囁いて甘い口付けを交わしながら、この地獄で生きてゆく事を覚悟する。
この地獄で生きる事は、今までよりも大変な事位は正直良く解っているのだ。
漓生に揺さぶられながら、何度も何度も絶頂に溺れる。
だからこそ今こうしていられるうちは、この熱に、快楽に溺れてしまいたいと思った。
***
「俺、正直ゼノちゃんがこんなに頭のおかしい奴だとは思ってなかったなー」
そう言いながらフェラーリのハンドルを切る京條さんの助手席で、俺は作り笑いを浮かべて見せる。
久しぶりの夜の街並みを横目に、俺は色々な気持ちを抱いていた。
「………......それは貶してるんですか?それとも褒めてるんですか?」
そう言い返してみれば、京條さんが少し考えたように首を傾げる。
赤信号で車を止めて京條さんが俺を見る。そして冷たい笑みを浮かべた。
「正直俺はね、今君を褒めてるよ。よく考えた事だよ。………ケーキの保護施設なんてさ」
ケーキの風俗店は確かに必要であり、ケーキの肉の密売だってある層には必要不可欠なものだ。
けれど京條漣のしている仕事に今足りていないものは、国からの安定した収入を得ることが出来る施設の存在だ。
それに身寄りのない社会的に消しても問題のないケーキの存在を、それで炙り出す事が出来る。
これが上手く回えば全てが円滑に回り、さらに金の入りが良くなる。
つまり俺は今、俺と全く同じ立ち位置にいるケーキを、ケーキでありながら狩る事に決めたのだ。
たった一つの愛の為だけに、同種の命に手を掛ける。
俺は完全に悪魔に、魂を売り渡したとしか思えないことを行っていた。
「…………その仕事を上手く回すのには、上に立つケーキの顔がどうしても必要になりますよね?」
赤いフェラーリから降りて、京條さんに連れ添って歩く。
今から向かう場所は権力のある金持ちの、フォークたちのパーティーだ。
今俺はどうしても力が欲しい。どんな事をしても構わない。兎に角俺には権力が必要なのだ。
「…………末恐ろしい子」
京條さんが皮肉めいた事を口にして、俺の腰に腕を回す。
そして俺は京條さんと二人で、パーティーのある大きなホテルの中に入った。
応援ありがとうございます!
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