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帰還
52.堪忍袋の緒
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開いた扉の向こうへ足を踏み入れた瞬間、ぴりりと背筋に違和感が走る。
謁見の間の空気は、屋内だというのに外の気温よりも冷え切っているように思えた。
「おかえりなさい」
そう声を発したのはたった一人、王妃である母親だけ。
隣に座っている父王も、両親の両脇に座っている二人の兄王子も、極寒の空気を醸し出している母親を横目でチラリと見て視線をこちらに向けるのみ。父王の隣に立っていた次兄が「馬鹿」と口の動きだけで言葉を寄越すけれど、それがどういった意図なのかは理解しかねた。
「随分と羽を伸ばしていたようですね」
低く抑えられた声がやけにはっきりと響き、この場の空気が漂う魔力ごと張り詰める。
圧倒的な威圧感を伴って見据えてくる王妃の目は、まさしく支配者のそれだ。隣の国王を差し置いて、この場の主は己だと言わんばかりの苛烈さが見え隠れしている。
若かりし頃は淑女の鑑と言われていたらしいけれど、どうやらその姿は爪を深くしまい込んでいた仮初の姿だったらしい。
今まで数々の説教を受けてきたグラキエではあるけれど、これはまずいと頭の中で警鐘が鳴り響いている。
いつもは息を吸うように茶々を入れてくる次兄までもが、微動だにせず直立不動でいる状況は今まで見た事がない。得意の軽口すら憚られる状態だというのか。
「ええと、その……申し訳ありません。どうせなら故障したエンジンを修理できればと」
正直、そこまでの悪行をしたつもりはないけれど。
明らかに他国の人間としては出すぎた真似で、早く帰そうとしてくれていたヴィーゼル卿の親切心をはね除けた結果ではある。そこを咎められても文句は言えない――そう腹をくくって謝罪を口にした。
が。
「その話ではありません」
「……えっ?」
間髪入れずに一蹴され、出鼻を挫かれたグラキエは目を瞬かせる。
「離宮に滞在したいと、我儘を言ったそうですね」
その言葉が示すであろう出来事に思い至り、ぶわりと嫌な汗が湧いて出た。隣にいたラズリウ王子の手が遠慮がちに袖を掴んできて、ぼんやりとしていた懸念が現実味を帯びてくる。
「え、ええと、その……」
「先方のもてなしを無下にした挙句、その理由が――ラズリウ王子と交わりたいから、だったかしら?」
投げかけられた問いで反射的に身が強張る。
どうやらアルブレアへ報告をした遣いは、ありのままを包み隠さず伝えていたらしい。よりによって、誰に対しても貞淑であれと口酸っぱく説いている母に対して。
グラキエ達を見る顔は微笑む形をしていたけれど、その目は全く笑っていない。
「いや、その、ええと…………は、はい…………」
もはや観念する他に道はない。
恐る恐る返したグラキエの声を最後に、不自然な沈黙が落ちた。
「この……痴れ者が……!」
低く低く、この場の空気を押し潰すような声が響く。
魔力に圧された空気が震え、窓を覆うカーテンがうねるように大きく揺れた。置かれた調度品がカタカタと細かく音を立てて振動し、まるでこの空気に恐れ慄いている悲鳴のようだ。
この状況に顔を青くした兄二人が、慌てて母の両肩に手を置く。
「母上。母上、押さえてください。謁見の間が壊れます母上」
「お怒りはごもっともです母上。しかし今なさるべきは冷静な対応ではないでしょうか」
真剣な顔の息子二人に見つめられ、つり上がっていた眉がゆっくりと下がっていく。同時に張りつめていた魔力が解けて霧散して。
「………………そうだったわね。私としたことが」
ポツリと漏れ出す落ち着き払った声に、広間のあちこちで安堵のため息が転がった。
凍りついていた空気が落ち着いたところで、父の静かな咳払いがひとつ響く。
「グラキエよ。しでかしたことの報告は様々受けておるが、他はまぁトラブルの余波と理解しよう。しかし王宮での出来事は看過できぬ。それは承知しておるな?」
そこを言われるとぐうの音も出ない。
咎められると分かっていたことだ。だからこっそりと、テネスにばれないようネヴァルスト王に許可を取り付けたのだから。
「…………はい」
ただ俯くしかないグラキエの前に、ふと影がよぎる。
「あ、あの……っ、違うんです、グラキエ王子は」
「そなたの発言は許しておらぬ」
「……あ…………も、申し訳ございません」
庇って出てくれたラズリウ王子だったけれど、表情ひとつ動かさずにぴしゃりと一蹴されて肩を落とす。
その様子に眉をわずかに下げた父王は、こほんと小さな咳払いをまた一つ重ねた。
「グラキエの番の成り手はいたく希少ゆえ、多少の粗相は見守っておった。しかしこれ以上甘やかすことはできぬ。以降の交わりは自重せよ」
淡々と告げられる言葉に黙って頷いていた長兄が、最後に少し考える仕草をする。
「陛下、それはヒートの間もですか? それはラズリウ王子の負担になるのでは」
Ωの性別を持つ人間には、男女問わず身動きが取れなくなる発情期間がある。
魔法の首輪をしているおかげで負荷が軽減されているとラズリウ王子は言うけれど。四六時中腕の中に収まるその時期は、傍から見ていても苦しそうなのだ。グラキエが触れていると落ち着く――そう言ってくれていたのだけれど。
ラズリウ王子がヒートの時期はいつにも増して抑えが効かない。手を出さぬようにと思えば、ずっと近くにいる事は難しいだろう。
それを知っているからか、兄達は少し気遣わしげな顔をしている。しかし父王は問題なかろうと一蹴した。
「その辺りの対処はシーナに尋ねればよい。前例はある。のう、テネスよ」
玉座からちらりと視線を向けられ、教育係が喉の奥に何かがつかえたような呻き声を出した。
「……お、仰るとおりでございます……」
しおしおと言葉尻が萎んでいく姿は初めて見るかもしれない。どうやら若気の至りで何かやらかしていたようだ。
無遠慮に向けられるグラキエからの視線に気付くと気まずそうに目を泳がせ、そのまま深く頭を下げてしまった。
謁見の間の空気は、屋内だというのに外の気温よりも冷え切っているように思えた。
「おかえりなさい」
そう声を発したのはたった一人、王妃である母親だけ。
隣に座っている父王も、両親の両脇に座っている二人の兄王子も、極寒の空気を醸し出している母親を横目でチラリと見て視線をこちらに向けるのみ。父王の隣に立っていた次兄が「馬鹿」と口の動きだけで言葉を寄越すけれど、それがどういった意図なのかは理解しかねた。
「随分と羽を伸ばしていたようですね」
低く抑えられた声がやけにはっきりと響き、この場の空気が漂う魔力ごと張り詰める。
圧倒的な威圧感を伴って見据えてくる王妃の目は、まさしく支配者のそれだ。隣の国王を差し置いて、この場の主は己だと言わんばかりの苛烈さが見え隠れしている。
若かりし頃は淑女の鑑と言われていたらしいけれど、どうやらその姿は爪を深くしまい込んでいた仮初の姿だったらしい。
今まで数々の説教を受けてきたグラキエではあるけれど、これはまずいと頭の中で警鐘が鳴り響いている。
いつもは息を吸うように茶々を入れてくる次兄までもが、微動だにせず直立不動でいる状況は今まで見た事がない。得意の軽口すら憚られる状態だというのか。
「ええと、その……申し訳ありません。どうせなら故障したエンジンを修理できればと」
正直、そこまでの悪行をしたつもりはないけれど。
明らかに他国の人間としては出すぎた真似で、早く帰そうとしてくれていたヴィーゼル卿の親切心をはね除けた結果ではある。そこを咎められても文句は言えない――そう腹をくくって謝罪を口にした。
が。
「その話ではありません」
「……えっ?」
間髪入れずに一蹴され、出鼻を挫かれたグラキエは目を瞬かせる。
「離宮に滞在したいと、我儘を言ったそうですね」
その言葉が示すであろう出来事に思い至り、ぶわりと嫌な汗が湧いて出た。隣にいたラズリウ王子の手が遠慮がちに袖を掴んできて、ぼんやりとしていた懸念が現実味を帯びてくる。
「え、ええと、その……」
「先方のもてなしを無下にした挙句、その理由が――ラズリウ王子と交わりたいから、だったかしら?」
投げかけられた問いで反射的に身が強張る。
どうやらアルブレアへ報告をした遣いは、ありのままを包み隠さず伝えていたらしい。よりによって、誰に対しても貞淑であれと口酸っぱく説いている母に対して。
グラキエ達を見る顔は微笑む形をしていたけれど、その目は全く笑っていない。
「いや、その、ええと…………は、はい…………」
もはや観念する他に道はない。
恐る恐る返したグラキエの声を最後に、不自然な沈黙が落ちた。
「この……痴れ者が……!」
低く低く、この場の空気を押し潰すような声が響く。
魔力に圧された空気が震え、窓を覆うカーテンがうねるように大きく揺れた。置かれた調度品がカタカタと細かく音を立てて振動し、まるでこの空気に恐れ慄いている悲鳴のようだ。
この状況に顔を青くした兄二人が、慌てて母の両肩に手を置く。
「母上。母上、押さえてください。謁見の間が壊れます母上」
「お怒りはごもっともです母上。しかし今なさるべきは冷静な対応ではないでしょうか」
真剣な顔の息子二人に見つめられ、つり上がっていた眉がゆっくりと下がっていく。同時に張りつめていた魔力が解けて霧散して。
「………………そうだったわね。私としたことが」
ポツリと漏れ出す落ち着き払った声に、広間のあちこちで安堵のため息が転がった。
凍りついていた空気が落ち着いたところで、父の静かな咳払いがひとつ響く。
「グラキエよ。しでかしたことの報告は様々受けておるが、他はまぁトラブルの余波と理解しよう。しかし王宮での出来事は看過できぬ。それは承知しておるな?」
そこを言われるとぐうの音も出ない。
咎められると分かっていたことだ。だからこっそりと、テネスにばれないようネヴァルスト王に許可を取り付けたのだから。
「…………はい」
ただ俯くしかないグラキエの前に、ふと影がよぎる。
「あ、あの……っ、違うんです、グラキエ王子は」
「そなたの発言は許しておらぬ」
「……あ…………も、申し訳ございません」
庇って出てくれたラズリウ王子だったけれど、表情ひとつ動かさずにぴしゃりと一蹴されて肩を落とす。
その様子に眉をわずかに下げた父王は、こほんと小さな咳払いをまた一つ重ねた。
「グラキエの番の成り手はいたく希少ゆえ、多少の粗相は見守っておった。しかしこれ以上甘やかすことはできぬ。以降の交わりは自重せよ」
淡々と告げられる言葉に黙って頷いていた長兄が、最後に少し考える仕草をする。
「陛下、それはヒートの間もですか? それはラズリウ王子の負担になるのでは」
Ωの性別を持つ人間には、男女問わず身動きが取れなくなる発情期間がある。
魔法の首輪をしているおかげで負荷が軽減されているとラズリウ王子は言うけれど。四六時中腕の中に収まるその時期は、傍から見ていても苦しそうなのだ。グラキエが触れていると落ち着く――そう言ってくれていたのだけれど。
ラズリウ王子がヒートの時期はいつにも増して抑えが効かない。手を出さぬようにと思えば、ずっと近くにいる事は難しいだろう。
それを知っているからか、兄達は少し気遣わしげな顔をしている。しかし父王は問題なかろうと一蹴した。
「その辺りの対処はシーナに尋ねればよい。前例はある。のう、テネスよ」
玉座からちらりと視線を向けられ、教育係が喉の奥に何かがつかえたような呻き声を出した。
「……お、仰るとおりでございます……」
しおしおと言葉尻が萎んでいく姿は初めて見るかもしれない。どうやら若気の至りで何かやらかしていたようだ。
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