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第二章 間違い探しの日々
2-18
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入学してから一週間、私の周りには常に宵がつき纏っていた。
宵は、ものすごくモテる。
碧がモテてたくらいの勢いで、日に数人から告白されているようだ。
時空界の男性たちは、揃いも揃ってフェロモンという色気のようなものを人間女子に醸し出しているのかもしれない。
残念なことに私の嗅覚は、普通の人間女子ではないようで、ただただ宵から感じるのは肉食動物のような視線だけ感じていた。
完璧に狙われている。
「一ノ瀬さんはいいなあ、神原くんには好かれているし、蓮城くんは幼馴染みなんでしょう?」
そう言われてもどう対応したらいいのか。
きっと以前の私ならば、「くだらない」と一蹴していた場面だ。
今だって心の中の本音はそれ。けれど、口に出してしまえば、これから三年間また孤立が始まるのだろう。
正解はどれだ? 考えろ!
「……、私ね、他校に彼がいるんです、だから神原くんとは付き合えませんし、蓮城くんはずっと大切な幼馴染です」
……、そんなものはいない。架空の人物を作り上げた上でニコリと微笑む。
「やっぱり!? 一ノ瀬さん、大人っぽいし美人だもんね、彼氏がいて当然だよね」
大正解だ、彼氏のいる女子が、他の男に手を出したりなどするわけがない、という女子たちに安心感を与えて見たら、皆の私への視線が何だか優しく柔らかくなった。
「いつできたの? 彼氏」
帰り道、碧の薄ら笑いにウルサイと呟いた。
「宵《アイツ》除けに丁度いいじゃない?」
「まあ、そんなんじゃ引き下がるような宵《ヤツ》じゃないだろうけれどね」
碧の心配はきっとあたる、私もそう思うもの。
「今日も寄って行くの?」
「うん、だから、ここで」
碧と別れて私がここ三日訪れている場所へと急いだ。
「おかえり、紅」
「ただいま、ちょっと遅くなった、ごめん」
お母さんの働く保育園に寄るのが、ここ三日の日課となっている。
それというのも……。
「ああ、もう、中で休ませてもらいなよ。砂場は私が見ててあげるから」
「でも紅一人じゃ大変だよ?」
「今のお母さんじゃ一人に満たなくない?」
ああ、それもそうか、と苦笑いして痛たたた、と必死に立ち上がった母。
「じゃあ、紅にお願いしようかな。チャイムが鳴ったら手洗いさせて子供たち中に連れてきてくれる?」
「わかった」
「助かる、本当にありがとう、紅」
ニッと笑った瞬間にまた痛みが走ったのだろう。
痛たたた、と腰を抑えながらゆっくりと職員室に向かって歩いていくその後ろ姿を見送ってから子供たちに声をかける。
「さて、何作ろう? 何がいい?」
子供たちも既に私には慣れているし今日も懐いてくれる。
母がぎっくり腰になってしまったのは四日前の夜だった。
仕事帰りに買ってきた米を、無理な体制で持ち上げちゃったようだ。
普段ならそれよりも重たい子供たちを抱っこしているというのに、油断した、と痛みに泣き笑いしていた。
ここのところ、産休の先生たちもいて保育園は人手不足、新しい先生が入ってくるまでの丁度大事な時期に休めるわけがない、と無理を通そうとするのは母の悪い癖だ。
母だって年を取るし心配にはなる。
『……夕方のお外遊び、私行こうか? 手伝いに』
そう言ったら驚いて、嬉しいって泣き出した。
罪悪感しか感じない。
前の人生だって母が具合悪いことだってあった。
風邪をひいて辛そうな時もあった。
それでも母は笑顔を絶やさないで私には泣き言一つ言わなかった。
こんなに喜んでくれるなら、もっと早く手伝ってあげたら良かったな。
「コウ先生、お城作って、三階建ての」
「三階建て!? 難しそうだね、よし、皆で作るぞ~!!」
おーっとちっちゃな拳を突き出す子供たちの笑顔に最近癒されているんだ。
宵は、ものすごくモテる。
碧がモテてたくらいの勢いで、日に数人から告白されているようだ。
時空界の男性たちは、揃いも揃ってフェロモンという色気のようなものを人間女子に醸し出しているのかもしれない。
残念なことに私の嗅覚は、普通の人間女子ではないようで、ただただ宵から感じるのは肉食動物のような視線だけ感じていた。
完璧に狙われている。
「一ノ瀬さんはいいなあ、神原くんには好かれているし、蓮城くんは幼馴染みなんでしょう?」
そう言われてもどう対応したらいいのか。
きっと以前の私ならば、「くだらない」と一蹴していた場面だ。
今だって心の中の本音はそれ。けれど、口に出してしまえば、これから三年間また孤立が始まるのだろう。
正解はどれだ? 考えろ!
「……、私ね、他校に彼がいるんです、だから神原くんとは付き合えませんし、蓮城くんはずっと大切な幼馴染です」
……、そんなものはいない。架空の人物を作り上げた上でニコリと微笑む。
「やっぱり!? 一ノ瀬さん、大人っぽいし美人だもんね、彼氏がいて当然だよね」
大正解だ、彼氏のいる女子が、他の男に手を出したりなどするわけがない、という女子たちに安心感を与えて見たら、皆の私への視線が何だか優しく柔らかくなった。
「いつできたの? 彼氏」
帰り道、碧の薄ら笑いにウルサイと呟いた。
「宵《アイツ》除けに丁度いいじゃない?」
「まあ、そんなんじゃ引き下がるような宵《ヤツ》じゃないだろうけれどね」
碧の心配はきっとあたる、私もそう思うもの。
「今日も寄って行くの?」
「うん、だから、ここで」
碧と別れて私がここ三日訪れている場所へと急いだ。
「おかえり、紅」
「ただいま、ちょっと遅くなった、ごめん」
お母さんの働く保育園に寄るのが、ここ三日の日課となっている。
それというのも……。
「ああ、もう、中で休ませてもらいなよ。砂場は私が見ててあげるから」
「でも紅一人じゃ大変だよ?」
「今のお母さんじゃ一人に満たなくない?」
ああ、それもそうか、と苦笑いして痛たたた、と必死に立ち上がった母。
「じゃあ、紅にお願いしようかな。チャイムが鳴ったら手洗いさせて子供たち中に連れてきてくれる?」
「わかった」
「助かる、本当にありがとう、紅」
ニッと笑った瞬間にまた痛みが走ったのだろう。
痛たたた、と腰を抑えながらゆっくりと職員室に向かって歩いていくその後ろ姿を見送ってから子供たちに声をかける。
「さて、何作ろう? 何がいい?」
子供たちも既に私には慣れているし今日も懐いてくれる。
母がぎっくり腰になってしまったのは四日前の夜だった。
仕事帰りに買ってきた米を、無理な体制で持ち上げちゃったようだ。
普段ならそれよりも重たい子供たちを抱っこしているというのに、油断した、と痛みに泣き笑いしていた。
ここのところ、産休の先生たちもいて保育園は人手不足、新しい先生が入ってくるまでの丁度大事な時期に休めるわけがない、と無理を通そうとするのは母の悪い癖だ。
母だって年を取るし心配にはなる。
『……夕方のお外遊び、私行こうか? 手伝いに』
そう言ったら驚いて、嬉しいって泣き出した。
罪悪感しか感じない。
前の人生だって母が具合悪いことだってあった。
風邪をひいて辛そうな時もあった。
それでも母は笑顔を絶やさないで私には泣き言一つ言わなかった。
こんなに喜んでくれるなら、もっと早く手伝ってあげたら良かったな。
「コウ先生、お城作って、三階建ての」
「三階建て!? 難しそうだね、よし、皆で作るぞ~!!」
おーっとちっちゃな拳を突き出す子供たちの笑顔に最近癒されているんだ。
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