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第五章「アイルちゃん争奪戦」
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「ええ? そうなの? だったらわかんないよね。じゃあさ、抱っこするの手伝ってあげるから、まずはちゃんと座ってくれる?」
神社の社の階段の上、四つん這いになってた彼は、ミサキちゃんの言う通りアイルちゃんを捕まえたまま体勢を変えて、腰かける。
「でね、膝の上に優しくのせるんだけど。あ、逃げられたら困るからアタシが抱っこするね?」
そういうなりミサキちゃんは、アイルちゃんに手をそえた。
「膝の上にのっけたら、包むように優しく抱きしめてね、さっきみたいに乱暴なのはダメ! 百万円貰える前に、ネコちゃんになにかあったら困るでしょ?」
さあ、手を離してとニッコリ笑ったミサキちゃんに対し、彼はすっかり信用しきった顔で手を離した、その時だった。
「走れ、ヒューガくん! メイちゃん!」
「え!?」
ミサキちゃんが一目散にヒューガの元に走ってきて、抱きかかえていたアイルちゃんを引き渡す。
「逃げて! ヒューガくんのネコちゃんなんでしょ? あとは、あたしが何とかしておく」
「うん、だけど」
振り向くとネコを奪われたことに気づいた三組の子たちが、こちらににじり寄って来ている。
「行けよ、ヒューガ! 学校で会おう。アイツらは、俺たちが食い止める」
「そうよ、あんなやつらに可愛いネコちゃんは渡せない! 学校に戻ったら、スマホ持って歩いていることも、ネコちゃんいじめてたことも、言いつけてやるんだから!」
野々村くんと神田くん、そしてマオちゃんまで、ミサキちゃんと同じように腕を広げて私たちを守るように立っていた。
「早く行って! 時間がないから! 十二時十五分、学校に集合よ、遅れないでね!」
「ありがとう、坂本、みんな! メイ、行くぞ! 走れ!」
「うん、みんな、また後でね! ミサキちゃん、ありがとうね!」
わたしの声に振り向くことなく、ミサキちゃんがピッと親指を立てた。
その頼りがいのある背中は、わたしの大好きだった、かっこよくて正義感あふれる、しっかり者のミサキちゃんだった。
「待て、お前ら! 返せよ、オレの百万円!!」
追いかけてくるそんな声を背中に、わたしとヒューガは一目散に走り出す。
わたしたちは、腕の中にそれぞれ白と黒のネコを抱いて、家の方へと逃げたのだった。
神社の社の階段の上、四つん這いになってた彼は、ミサキちゃんの言う通りアイルちゃんを捕まえたまま体勢を変えて、腰かける。
「でね、膝の上に優しくのせるんだけど。あ、逃げられたら困るからアタシが抱っこするね?」
そういうなりミサキちゃんは、アイルちゃんに手をそえた。
「膝の上にのっけたら、包むように優しく抱きしめてね、さっきみたいに乱暴なのはダメ! 百万円貰える前に、ネコちゃんになにかあったら困るでしょ?」
さあ、手を離してとニッコリ笑ったミサキちゃんに対し、彼はすっかり信用しきった顔で手を離した、その時だった。
「走れ、ヒューガくん! メイちゃん!」
「え!?」
ミサキちゃんが一目散にヒューガの元に走ってきて、抱きかかえていたアイルちゃんを引き渡す。
「逃げて! ヒューガくんのネコちゃんなんでしょ? あとは、あたしが何とかしておく」
「うん、だけど」
振り向くとネコを奪われたことに気づいた三組の子たちが、こちらににじり寄って来ている。
「行けよ、ヒューガ! 学校で会おう。アイツらは、俺たちが食い止める」
「そうよ、あんなやつらに可愛いネコちゃんは渡せない! 学校に戻ったら、スマホ持って歩いていることも、ネコちゃんいじめてたことも、言いつけてやるんだから!」
野々村くんと神田くん、そしてマオちゃんまで、ミサキちゃんと同じように腕を広げて私たちを守るように立っていた。
「早く行って! 時間がないから! 十二時十五分、学校に集合よ、遅れないでね!」
「ありがとう、坂本、みんな! メイ、行くぞ! 走れ!」
「うん、みんな、また後でね! ミサキちゃん、ありがとうね!」
わたしの声に振り向くことなく、ミサキちゃんがピッと親指を立てた。
その頼りがいのある背中は、わたしの大好きだった、かっこよくて正義感あふれる、しっかり者のミサキちゃんだった。
「待て、お前ら! 返せよ、オレの百万円!!」
追いかけてくるそんな声を背中に、わたしとヒューガは一目散に走り出す。
わたしたちは、腕の中にそれぞれ白と黒のネコを抱いて、家の方へと逃げたのだった。
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